オイスター誕生100周年という節目に、ロレックスが発表した〈パーペチュアル パデローネ〉。かつての名作Ref.8171“パデローネ”やRef.6062にオマージュを捧げながら、新開発の瞬転式年次カレンダーを搭載し、ロレックスが70年以上遠ざかっていた複雑時計の世界へと本格的に回帰する。その歴史を振り返りながら、この新たなコレクションが示すロレックスの未来を読み解く。。
Rolex’s Future Is Complicated: The New Perpetual Padellone Family
ロレックス、複雑な未来へ──新作〈パーペチュアル パデローネ〉
ロレックスのコンプリケーション・モデルの歴史
オイスター誕生100周年という節目に、ロレックスが発表した〈パーペチュアル パデローネ〉。かつての名作Ref.8171“パデローネ”やRef.6062にオマージュを捧げながら、新開発の瞬転式年次カレンダーを搭載し、ロレックスが70年以上遠ざかっていた複雑時計の世界へと本格的に回帰する。その歴史を振り返りながら、この新たなコレクションが示すロレックスの未来を読み解く。
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by Wei Koh . Sep 16, 2026 |
- 〈パーペチュアル パデローネ〉、その第一印象
- ロレックスという時計界を支える巨人
- ロレックスを率いてきたリーダーたち
- “すれっからし”が涙する理由
- ロレックスのカレンダーウォッチ全史
- 1945年:〈デイトジャスト〉
- 1940年代後半〜50年代:「ダトコンパックス」クロノグラフ
- 1949〜53年:Ref.8171「パデローネ」
- 1950〜53年:Ref.6062
- 1956年:〈デイデイト〉がカレンダーウォッチの旗艦モデルに
- 2012年:〈スカイドゥエラー〉が久々の新たな複雑機構をもたらす
- 2017年:〈チェリーニ ムーンフェイズ〉で月表示が復活
- 2023年:〈パーペチュアル 1908〉
- そして、新たな〈パーペチュアル パデローネ〉へ
〈パーペチュアル パデローネ〉、その第一印象
祝福の言葉のなかで、私がとりわけ好きなのが、イタリアの乾杯の言葉「チェンターニ(Cent’anni)」だ。
「あなたと、あなたの大切な人たちが100年生きられますように」という願いが込められている。
そしてまさに、アイコニックな〈オイスター〉が誕生100周年を迎えるこの節目に、時計界でもっとも大きな存在であるロレックスは、自らの過去を振り返ると同時に、その目線を未来へと向けている。
新たな〈パーペチュアル パデローネ〉ファミリーは、かつての黄金期を象徴する複雑時計、“ダト・コンパックス” クロノグラフ、Ref.8171 “パデローネ”、そしてRef.6062というトリプルカレンダーの名作にオマージュを捧げている。
その一方で、まったく新たに開発された、瞬転式年次カレンダーを導入。それは紛れもなく、ロレックスがこれから進もうとする未来なのである。

▲ロレックスの新作〈パーペチュアル パデローネ〉。プラチナモデル(左)とエバーローズゴールドモデル(©Revolution)
これらの新作は、ロレックスというブランドをさらに高みへと押し上げる、実に見事な時計だ。ロレックスが複雑時計のカテゴリーに本格的に回帰するのは、実に70年以上ぶり。その復帰にあたっては大きな技術革新と、ノスタルジックかつモダンな素晴らしいデザインを融合させている。
言うまでもなく、私はこの新作の大ファンだ。実際、初めて目にしたときには、感動のあまり涙を流してしまったほどである。しかしここではひとまず時計そのものから目を離し、この新作が持つ、より大きな意味について考えてみたい。

▲ ロレックスは〈パーペチュアル パデローネ〉の年次カレンダーによって、70年以上ぶりに複雑時計のカテゴリーへと本格回帰を果たした(©Revolution)
ロレックスという時計界を支える巨人
まず、私たちが生きる現在の時計界において、ロレックスがどのような位置にいるのかを整理してみよう。2025年の卸売ベースの売上高は推定110億スイスフラン。その事業規模は、世界のどの高級時計ブランドをも大きく引き離している。
さらに2025年の中古市場規模は約56億米ドルと推定される。つまりロレックスは、新品市場で最大の時計ブランドであるだけでなく、二次流通市場においても圧倒的な首位に立っているのだ。新品と中古、その両市場で比類なき商業的支配力を発揮していることになる。
また、この中古市場の10%以上を「ロレックス認定中古時計(RCPO)」が占めている点にも注目したい(RCPO=Rolex Certified Pre-Owned/ロレックス認定中古時計は、2022年にスタートしたロレックス公式の中古時計認定プログラム。真正性や品質をロレックス自身が保証し、2年間の国際保証を付帯して正規品販売店の一部で販売する)。2022年にスタートしたばかりのプログラムでありながら、その比率は急速に拡大している。
しかし、なかでも最も重要な数字は、ロレックスの小売ベースの売上高が推定160億スイスフランに達していることだろう。これは2025年だけで、ロレックスが正規販売店とのパートナーシップを通じて、時計業界のエコシステムに約50億スイスフランもの価値をもたらしたことを意味する。
2025年にロレックスが生産した時計は推定115万本。仮にそのすべてを自社で直接販売しようと思えば、それも十分に可能だったはずだ。なぜなら、この膨大な生産本数をもってしても、需要はいまだ供給を大きく上回っているからである。

▲ ロレックス認定中古時計(RCPO)は2022年にスタートしたばかりだが、二次流通市場で急速に存在感を高めている。写真は2002年製のRCPO〈デイトジャスト 36〉
しかし、ロレックスはそうしなかった。ロレックスとその取締役会、そしてCEOのジャン-フレデリック・デュフォーは、自らがスイス時計産業を支える存在であることを深く認識し、正規販売店、伝統的なメディア、時計フェア、さらには数多くの関連イベントや慈善活動まで、業界を取り巻くエコシステム全体を支えている。
ロレックスは時計産業の長期的な持続可能性を守るために、これほど莫大な利益を自社で取り込むのではなく、業界全体に還元する道を選んでいる。そう考えれば、スイス時計産業全体がロレックスという巨大な存在によって支えられていると言っても、決して過言ではないだろう。

▲ エバーローズゴールド製ケースにアリゲーターストラップを合わせた、ロレックス〈パーペチュアル パデローネ〉
ロレックスを率いてきたリーダーたち
さて、ここまでを踏まえたうえで、オイスター誕生100周年を記念して発表されたばかりの時計と、その背後にある特別な意味について語ろう。
ロレックスは創業以来、6人のリーダーに率いられてきた。そのうち4人が、ブランドの形成に決定的な役割を果たしている。ブルーノ・マイヤーとジャン・リカルド・マリーニも、ロレックスを守り継ぐ経営者として見事に職責を果たしたが、とりわけ大きな足跡を残したのは、次の人物たちだ。
まずは、傑出した創業者ハンス・ウイルスドルフ。世界最高峰の時計ブランドを築き上げ、現代の腕時計の基本構造を生み出した人物である。
2人目はアンドレ・ハイニガー。彼はブランドの軸足をプロフェッショナルモデルへと移した。それらのスポーツウォッチは、20世紀を代表する、最も広く知られ、最も欲しがられる時計となった。
3人目のパトリック・ハイニガーは、ロレックスの製造体制の徹底した垂直統合を推進した。その内製化は、独自のゴールド合金の溶解と鋳造にまで及んでいる。

▲ 左から:ハンス・ウイルスドルフ(創業者、1905〜1960年にロレックス社長)、アンドレ・J・ハイニガー(1963〜1992年にロレックス社長兼ゼネラルディレクター)、パトリック・ハイニガー(1992〜2008年にロレックス社長兼CEO)
4人目は、6代目にして現CEOのジャン=フレデリック・デュフォーだ。創業者ハンス・ウイルスドルフが描いたビジョンに、ロレックスを明確に立ち返らせた人物だと思う。そのビジョンは、ロレックスをスポーツウォッチのブランドにとどめるものではなかった。
デュフォーは「スポーツウォッチの王者」としての地位を守りながら、ロレックスをそれをはるかに超える存在へと導いている。

▲ 左から:ブルーノ・マイヤー(2008〜2011年にロレックスCEO)、ジャン・リカルド・マリーニ(2011〜2014年にロレックス社長兼ゼネラルディレクター)、ジャン=フレデリック・デュフォー(2014年から現在までロレックスCEO)
その好例が、この数年間の生産本数と売上高の変化だ。デュフォーは、ロレックスの生産本数を大幅には増やしていない。2021年の推定105万本に対し、2025年は約115万本だ。
それでも、ロレックスの平均価格を2021年の1万1500スイスフランから2025年には約1万4000スイスフランへと大きく引き上げることで、推定売上高を80億5000万スイスフランから110億スイスフランへと成長させた。デュフォーは、ロレックスの時計1本あたりの価値と品質を飛躍的に高めることで、これを実現したのである。
さらに、かつてはスポーツウォッチを得意とするロレックスの領域外と見なされていた市場、とりわけ3万〜10万米ドルの価格帯でも、大きく躍進している。
今日では、デイトナ、GMTマスター、サブマリーナー、スカイドゥエラーといったスポーツモデルから、デイデイトやデイトジャストのようなドレッシーなオイスターまで、貴金属製、さらには宝石をセットしたロレックスが、この価格帯を席巻している。
しかし、ロレックスが1953年以来、明確に距離を置いてきた時計のカテゴリーがひとつある(唯一の例外であるスカイドゥエラーについては後ほど触れるが)、それは「複雑時計」の世界だ。
だからこそ、〈パーペチュアル パデローネ〉と名づけられた、この特別なコレクションが持つ意味は計り知れない。その核となるのは、瞬時に切り替わりながらも消費エネルギーを抑えた、見事な新開発の年次カレンダーである。
その表示レイアウトは、Ref.8171「パデローネ」や華麗なRef.6062など、ロレックスを象徴するトリプルカレンダーへのオマージュとなっている。
言葉遊びをお許しいただけるなら、ロレックスの未来は、いよいよ「複雑」になる。この時計は、そのことを力強く宣言しているのだ。

▲ ロレックス Ref.8171、通称「パデローネ」と、36mmのオイスターケースにムーンフェイズ付きトリプルカレンダーを搭載したRef.6062(Image:Phillips)
“すれっからし”が涙する理由
これはロレックスにまったく新しい章を開くものだ。複雑時計の時代の幕開けであり、自らのために新たな市場を切り拓く。技術面では、この革新的な年次カレンダーは、2025年に登場したランドドゥエラーに搭載される、ダイナパルス脱進機を備えたキャリバー7135に通じるところがある。
私のような時計愛好家にとって、新たな〈パーペチュアル パデローネ〉の登場には、胸に迫るものがある。ハンス・ウイルスドルフがロレックスを率いた晩年に生み出された、傑出した時計たちへのオマージュだからだ。
サブマリーナーとエクスプローラーがともに登場した1953年を境に、ブランドの重点が移るなかで、トリプルカレンダーはいつしか表舞台から姿を消していった。もちろん、コレクターの間では尊敬を集めていた。だが、これまでは遠い過去の時計にとどまっていた。
その精神が、新たな〈パーペチュアル パデローネ〉のなかで息を吹き返す。それは、ロレックスの歴史を愛する者なら誰もが胸を打たれる光景だ。長年この世界を見て、すっかり“すれっからし”になった老時計ジャーナリストの私でさえ、うれし涙を拭わずにはいられない。

▲ 〈パーペチュアル パデローネ〉は、ダイナパルス脱進機を備えた新型キャリバー7190を搭載。30件の特許出願によって保護され、そのうち2件はパデローネ独自のものとなる(©Revolution)
この新たなロレックスのコレクションを詳しく見ていく前に、まずは日付表示やカレンダー機構を備えた時計の歴史、とりわけ1940年代後半から50年代初頭に生まれたトリプルカレンダーの傑作を振り返ってみよう。
ロレックスのカレンダーウォッチ全史
今日、ロレックスは防水性能を備えたスポーツウォッチの代名詞となっている。しかし、日付表示やカレンダー機構もまた、1940年代以来、ブランドの歴史に脈々と息づいてきた。その歩みを、〈デイトジャスト〉からひもといていこう。
1945年:〈デイトジャスト〉
デジタルが主流となった今日、時計好きの一部が、どうにかして時計から日付表示をなくそうとしているのは、私にはおかしく思える。
彼らに言わせれば、日付表示さえなければ、文字盤は「禅」の精神を宿したミニマリズムの極致、時計仕掛けの「俳句」とも呼ぶべき完璧な美しさを湛えていたはずなのに、その小窓が目障りにも調和を乱している、というわけだ。
しかし、1945年という時代において、防水性と耐衝撃性を備え、自動巻きで動き、時・分・秒に加えて日付という重要な情報まで示す腕時計は、まさにモダニズムそのものだった。デイトジャストは、その代表格として、1945年に誕生したのである。

▲ 1945年に誕生した初代ロレックス デイトジャスト。
ねじ込み式リューズと裏蓋を備えた36mmのオイスターケースに収められたデイトジャストは、この種の時計として初めて、日常のさまざまな場面に対応する防水性を実現した。
手を洗うときにも、腫れ物に触るように扱う必要のない時計が、ついに登場したのである。ケースの内部も、それに劣らず重要だった。自動巻きムーブメントを搭載し、3時位置のシンプルな小窓に日付を表示。1953年には、日付を拡大するサイクロップレンズが加わり、視認性がさらに向上した。
自動巻きムーブメントと読み取りやすい日付表示を組み合わせることで、ロレックスは究極のデイリーウォッチを生み出した。81年を経た今も、デイトジャストはその称号を守り続けている、と私は思う。
同時に、この時計は、ロレックスが今なお貫くモデルづくりの方針も確立した。シンプルで、ひと目でそれと分かり、時を経ても変わらぬ個性を保つ時計というあり方だ。

▲ 1953年に初めて導入されたサイクロップレンズを備えるデイトジャスト Ref.6305(Image:H.Q. Milton Timepieces)
1940年代後半〜50年代:「ダトコンパックス」クロノグラフ
そのわずか2年後、1947年に、ロレックスはまったく異なる種類の時計を生み出した。分積算計と時積算計を備えた3つ目のクロノグラフで、文字盤外周の目盛りを専用の針で指して日付を示し、左の小窓に曜日、右の小窓に月を表示するトリプルカレンダーまで備えている。
1947年という時代に、この時計を腕に着けて歩くことは、今日、スーパーコンピューターを腕に巻いて歩くような感覚だったのではないだろうか。
クロノグラフ機能は、発展しつつあったモータースポーツから近代航空の冒険までを想起させる。一方、トリプルカレンダーは、通常なら手帳や壁掛けカレンダーで確認する重要な情報を手首で視認できるようにしたものだった。
当時、これはロレックスで最も複雑な腕時計だった。そして後に、この時計と深い結びつきを持つスキー界の伝説的選手であり、長年ロレックスのアンバサダーを務めた人物にちなみ、コレクターの間で「ジャン=クロード・キリー」と呼ばれるようになる。

▲ Ref.4768(Image:EveryWatch)、Ref.4767(Image:Sotheby’s)、Ref.5036(Image:EveryWatch)
このシリーズは、デザインの成熟とともに、いくつかのリファレンスへと展開していった。
・Ref.4768 — 最初期のモデル。非オイスターのスナップバック式ケースに装飾的なラグを備える。
・Ref.4767 — クロノグラフとフルカレンダーを引き継ぎながら、オイスター式のねじ込み式裏蓋を採用。
・Ref.5036 — 新旧のデザイン要素をつなぐ過渡期のリファレンス。
・Ref.6036 — モノブロック構造のオイスターケースへと移行。ケース本体を一体成形し、裏蓋を別体とした。
・Ref.6236 — 独立したベゼルを持つ本格的な3ピース構造のオイスターケースを採用。文字盤のレイアウトもよりモダンになり、日付目盛りの数字「6」は、輪の閉じた書体へと変更された。
これらのカレンダー付きクロノグラフは、同時代のロレックスを代表する、後のデイトナにつながる系譜のクロノグラフよりも、はるかに希少だった。生産数は極めて少なく、リファレンスによっては数百本、あるいはそれ以下しか製造されなかったと考えられている。
それにもかかわらず、オークションでは歴史的に、デイトナの前身モデルよりも低い価格で取引されてきた。そこには、複雑機構を備えた時計よりも、シンプルでスポーティなデザインを好んできたロレックス・コレクターの嗜好が表れている。

▲ Ref. 6036 (Image: Phillips) and Ref. 6236 (Image: Sotheby’s)
1949〜53年:Ref.8171「パデローネ」
デイトジャストの誕生から4年後の1949年、ロレックスはRef.8171「パデローネ」を発表した。直径38mmの大ぶりなケースは側面が平らで、薄いベゼルを備える。文字盤には、12時位置の下に曜日と月の小窓、外周に日付目盛り、そして6時位置の上に手彫りの装飾を施したムーンフェイズを配していた。
ロレックスがこれまでに生み出したなかでも、ひときわ遊び心にあふれ、愛らしいデザインのひとつだ。パデローネは、ただただ美しい。そして、今日の基準で見ても、ひときわ大ぶりな存在感を放っている。

▲ ロレックス Ref.8171「パデローネ」のステンレススティール製モデル(Image:Phillips)
その異色の存在感をさらに際立たせているのが、Ref.8171のケースに防水性がなかったことだ。すでにオイスターケースをアイデンティティの核に据えていたロレックスにとって、これは異例の選択だった。その理由は、いまだ誰も十分に説明できていない。
このモデルはわずか数年で姿を消し、1953年に生産を終了。その後、復活することもなかった。ムーンフェイズに描かれた月の、モナ・リザを思わせる表情と同じように、謎めいた美の創造だったのである。

▲ Ref.8171の曜日表示ディスク、月表示ディスク、ムーンフェイズディスク。
1949年から1953年までの総生産数は約1200本で、そのうち約600本がステンレススティール製だった。そのため、スティール製は最も目にする機会の多い仕様だが、それでもコレクター垂涎の存在である。
ケースに防水性がなかったことから、現存する個体の多くは数十年の間に湿気によるダメージを受けており、保存状態の良いものはとりわけ珍重される。このリファレンスは、広く人気を集めるというよりも、深い知識を持ち、互いに緊密につながる少数のコレクターたちに愛されてきた。
1950〜53年:Ref.6062
Ref.8171の登場からわずか1年後、ロレックスは、私を含む多くのコレクターが「史上最も美しいロレックス」と考える時計を発表した。1950年のバーゼル・フェアで披露されたRef.6062である。
基本的には、Ref.8171と同じムーンフェイズ付きトリプルカレンダーを、デイトジャストにも通じる、見事な36mmの防水オイスターケースに収めたものだった。本格的な複雑機構を備えた自動巻きムーブメントと、名高い防水ケースを組み合わせた、唯一のヴィンテージ・ロレックスである。
複雑機構と防水性の見事な融合に加え、Ref.6062はデザインの傑作でもある。その文字盤には美しく洗練された意匠が施され、スターン・フレールなどの文字盤専門メーカーが製造・供給を担っていた。なお、スターン・フレールのオーナー一族は、この時点ですでにパテック フィリップも所有していた。

▲ 「ステリーネ(星形)」と「エクスプローラー」スタイルのアワーマーカーを備えたRef.6062(Image:Christie’s)
・文字盤の種類 — オリジナルの文字盤には6種類のバリエーションがあり、アワーマーカーの形状で最も容易に見分けられる。2世代の星形文字盤(「ステリーネ」はイタリア語で「小さな星々」の意)に加え、ダガー形、エクスプローラースタイル、ピラミッド形(通称「エジプシャン」)、三角形のアワーマーカーを備えた仕様が存在する。希少なブラックラッカー文字盤もあり、そのうちダイヤモンドインデックスを備えた個体は3本が確認されている。
・ケース素材 — 大半を占めるイエローゴールドのほか、ピンクゴールドとスティールで製造された。全素材を合わせた総生産数は、1000本未満と推定されている。
・ムーブメント — 自動巻きのベースムーブメントにカレンダーモジュールを追加した、クロノメーター認定のキャリバー655を搭載。
・ケースメーカー — スティール製ケースはスピルマン、ゴールド製ケースはジェネックスが製造した。ジェネックスはブレスレットメーカー、ゲイ・フレアーの傘下にあり、ゲイ・フレアーは後に、1998年にロレックスに買収された。

▲ Ref.6062の6種類の文字盤バリエーション(Image:Monaco Legend Group)

▲ 「エクスプローラー」ダイヤルを備えたステンレススティール製ロレックス Ref.6062。そのツートーン文字盤のクローズアップ(Image:Phillips)
Ref.6062が誇る数々の栄誉のひとつに、オークションで史上最高額級の落札価格を記録したロレックスという地位がある。
ベトナム最後の皇帝がかつて所有していた、ブラック文字盤にダイヤモンドのアワーマーカーを備える通称「バオ・ダイ」は、2017年に約500万米ドルで落札された。もっとも、今日再び市場に出れば、その価格は大幅に上回ると考えられている。
同じ仕様を持つ別の個体も、2025年にモナコ・レジェンド・グループのオークションで約620万米ドルを記録した。この仕様で現存が確認されているのは、わずか3本である。

▲ ベトナム最後の皇帝がかつて所有していたロレックス Ref.6062「バオ・ダイ」。2017年に約500万米ドルで落札された(Image:Phillips)
Ref.8171とRef.6062は、ともに1953年に生産を終了した。それは、ロレックスがサブマリーナーとエクスプローラーを発表し、今日よく知られるスポーツウォッチのブランドへと決定的に舵を切った年でもある。
この2つのムーンフェイズモデルが復活することはなく、その後60年以上にわたり、ロレックスがムーンフェイズ表示とフルカレンダーを組み合わせた時計をつくることもなかった。

▲ 「バオ・ダイ」と同じ仕様を備えた別のロレックス Ref.6062。2025年にモナコ・レジェンド・グループのオークションで約620万米ドルで落札された(Image:Monaco Legend Group)
あくまで私見だが、ひとつの見方として、1950年代はハンス・ウイルスドルフからアンドレ・ハイニガーへと経営のバトンが渡されていく過渡期だったと捉えることができる。この3つの素晴らしいトリプルカレンダーモデルが物語るように、ウイルスドルフは自らのブランドの可能性に、明らかに限界を設けていなかった。
一方、ハイニガーは、ロレックスのプロフェッショナルウォッチに注力する道を好んだように思える。その路線によって、ロレックスは20世紀の残りの期間、そしてその先も、ツールウォッチとスポーツウォッチの分野で圧倒的な地位を築くことになる。

▲ Ref.6062のムーンフェイズに描かれた月は、Ref.8171「パデローネ」と同様に、モナ・リザを思わせる表情を浮かべている(Image:Phillips)
1956年:〈デイデイト〉がカレンダーウォッチの旗艦モデルに
スポーツウォッチ重視の路線における唯一の例外が、〈デイデイト〉だった。1956年、ロレックスは生産を終了したRef.8171とRef.6062に続き、はるかにシンプルで、結果としてはるかに大きな成功を収めるアイデアを形にした。
それは、3時位置の日付窓に加え、12時位置の小窓に曜日を省略せずフルスペルで表示する、世界初の腕時計だった。このレイアウトは、今日でも他ブランドの曜日・日付表示付き時計に踏襲されている。

▲ ロレックス〈デイデイト〉Ref.6611
〈デイデイト〉は、それ以来途切れることなく生産され、幾世代ものリファレンスを重ねながら進化を続けてきた。

▲ ロレックス Ref.6511(フルーテッドベゼルを備えた初代〈デイデイト〉)、Ref.1803、Ref.18038。
・Ref.6510/6511(1956〜57年) — 初代の36mmモデル。イエロー、ピンク、ホワイトの各ゴールドで展開され、当初はジュビリーブレスレット、その後は新開発のプレジデントブレスレットが組み合わされた。
・Ref.6611(1957〜59年) — キャリバー1055によって初期のムーブメントの問題を解消。現在も使われる「Superlative Chronometer Officially Certified」の表記が文字盤に加わった。ステンレススティール製の個体もごく少数確認されているが、〈デイデイト〉はそれ以外では貴金属製のみで展開されてきたため、一般に試作品と考えられている。
・Ref.1803(1959〜76年) — アクリル風防と、外周が一段低くなった「パイパン」文字盤を備える最後の〈デイデイト〉。今日では、ヴィンテージの〈デイデイト〉のなかでも比較的手の届きやすいモデルのひとつである。
・Ref.1803X(1977〜88年) — サファイアクリスタル風防とフラットな文字盤へ移行。日付のクイックセット機構を備えたキャリバー3055を搭載した。
・〈オイスタークォーツ〉Ref.1901X(1977〜2003年) — 1970年代のクォーツ危機のなかで開発されたクォーツ仕様。機械式モデルを上回る精度を備え、ブレスレット一体型のケースによって外観も明確に差別化された。
・Ref.1823X(1988〜2000年) — キャリバー3155の採用により、曜日と日付の両方を個別に早送りできるダブルクイックセット機構を搭載。
・Ref.11823X(2000〜19年) — ラグの幅を広げ、中空構造から無垢のリンクへと変更したプレジデントブレスレットを採用。一部の個体には、偽造防止のための刻印がルーレット部分に施された。
・〈デイデイト II〉Ref.21823X(2008〜15年) — ロレックス創立100周年に合わせて登場した、直径41mmの大型モデル。ただし、そのボリュームのあるプロポーションは、コレクターの間で必ずしも高い支持を得られなかった。
・〈デイデイト 40〉Ref.22823X(2015年〜現在) — 大型の〈デイデイト II〉を、よりすっきりとしたプロポーションの40mmケースへと洗練。高効率のクロナジー脱進機と約70時間のパワーリザーブを備えるキャリバー3255を搭載する。
・〈デイデイト 36〉Ref.12823X(2019年〜現在) — 36mmケースにキャリバー3255を搭載し、性能を向上させた。

▲ ロレックス〈オイスタークォーツ〉Ref.19018、〈デイデイト〉Ref.18238、Ref.118238。
今日も〈デイデイト〉は、貴金属製のみで展開されるロレックスの旗艦モデルであり、イエローゴールド、エバーローズゴールド、ホワイトゴールド、プラチナの4素材でラインナップされている。

▲ 現代のロレックス〈デイデイト II〉(Ref.218238)、〈デイデイト 40〉(Ref.228238)、〈デイデイト 36〉(Ref.128238)
2012年:〈スカイドゥエラー〉が久々の新たな複雑機構をもたらす
さて、ロレックスは1953年以来、複雑時計からおおむね距離を置いてきた、と先ほど述べた。しかし、そこには明らかな例外がある。年次カレンダー〈スカイドゥエラー〉だ。
まず、年次カレンダーとは何かを説明しよう。月ごとに異なる日数を自動的に判別し、日付の修正を年に一度、2月末にだけ必要とする機構である。一般に、永久カレンダーよりも機械的な構造はシンプルだ。ただし、〈スカイドゥエラー〉は、これまでに登場した年次カレンダーのなかでも、とりわけ型破りな存在だった。その理由は2つある。

▲ 2012年に登場した初代〈スカイドゥエラー〉
まず、従来のような月表示を設けず、各アワーマーカーの外側に配した小窓で月を示したことだ。12個のアワーマーカーが、それぞれ1月から12月を示す目印も兼ねている。
そして、リューズとリングコマンドベゼルを組み合わせて操作し、各種表示を設定する仕組みを採用したこと。
直径42mmという大ぶりな時計ではあるが、2012年当時の感覚では、標準的、あるいは中程度のサイズと受け止められただろう。

▲ 〈スカイドゥエラー〉で第2時間帯を表示する24時間ディスク。
〈スカイドゥエラー〉は、2つの機能を組み合わせている。
・デュアルタイムゾーン表示 — 12時位置の下にある固定式の赤い三角形と回転する24時間ディスクで、基準時刻(通常はホームタイム)を表示。中央の針は現地時刻を示し、時針は1時間単位で単独調整できる。
・年次カレンダー — ロレックスが「サロス」と呼ぶ機構を採用し、手動での日付調整は年に一度、2月末にのみ必要となる。月は、各アワーマーカーの外側に配された小窓のうち、該当する月の小窓が色で示される仕組みだ。

▲ ロレックス〈スカイドゥエラー〉のサロス年次カレンダー。この画像では、9時位置のアワーマーカーの外側にある小さな月表示窓が赤くなり、1年の9番目の月である9月を示している。
7件の特許によって保護されたキャリバー9001を搭載。当初は直径42mmのエバーローズゴールド、イエローゴールド、ホワイトゴールドの各モデルで展開され、2017年にはオイスタースチールを用いたモデルが加わった。

▲ 〈スカイドゥエラー〉のラインナップ。
2017年:〈チェリーニ ムーンフェイズ〉で月表示が復活
Ref.8171とRef.6062が姿を消してから64年後の2017年、ロレックスは〈チェリーニ ムーンフェイズ〉でムーンフェイズを復活させた。1950年代以来、初めて登場したロレックスのムーンフェイズウォッチだった。

▲ ロレックス〈チェリーニ デイト〉と〈チェリーニ ムーンフェイズ〉
ヴィンテージの先達とは異なり、〈チェリーニ ムーンフェイズ〉は本来のオイスターケースを採用していないものの、そのデザインの特徴を色濃く受け継いでいる。
直径39mmのラウンドケースは、ベゼルと裏蓋の縁にフルーテッド装飾を施し、50m防水を確保。ドーム状の裏蓋は1950年代の大型バブルバック、通称『オベットーネ』を思わせる。

▲ ロレックス〈チェリーニ ムーンフェイズ〉
その文字盤の美しさには、異論の余地がない。ムーンフェイズディスクには焼成エナメルを用い、Ref.6062のシャンルヴェ・エナメルによるムーンディスクの精神を受け継いでいる。
一方、月そのものはメテオライトから切り出し、エッチングによって天然のウィドマンシュテッテン構造を浮かび上がらせたうえで、ロジウムメッキを施し、ドーム状に仕上げている。
搭載するキャリバー3195は高精度クロノメーター認定を受け、ケーシング後で日差±2秒以内の精度を誇る。ムーンフェイズ表示も、誤差が122年でわずか1日という高精度を実現している。

▲ ロレックス〈チェリーニ ムーンフェイズ〉のムーンフェイズディスクには、薄く切り出した鉄隕石製の月の装飾が取り付けられている(Image:TimeAndWatches)
面白いことに、時計小売業界の伝説的人物であり、アワーグラスのグループ・マネージング・ディレクターを務めるマイケル・テイに、お気に入りのヴィンテージ・ロレックスをいくつか尋ねたところ、1枚の写真が送られてきた。そこには「ダトコンパックス」、Ref.8171、Ref.6062が並んでいた。
多くのコレクターにとって、この3本は複雑機構を備えたロレックスの「三位一体」を成す存在であり、見る者にどうしても「もしも……」と想像させる。
もしロレックスが複雑時計の世界に戻り、この美しい表示レイアウトを再び採用するとしたら、どのような時計をつくるのだろうか?
2023年:〈パーペチュアル 1908〉
ロレックスは、常に長期的な視野で計画を立てている。その戦略は、チェスの名手ガルリ・カスパロフを思わせる。一手一手の意味が明らかになるのは、時が経ってからだ。だが、その意図が見えたとき、時計通たちは見事な戦略に一様に感嘆のため息を漏らす。
きっと、私たちが2023年に〈パーペチュアル 1908〉を初めて目にした時点で、このコレクションを、ロレックスとジャン=フレデリック・デュフォーが思い描く未来の複雑時計の受け皿とする計画は、すでに定まっていたのだろう。

▲セッティモブレスレットを備えるロレックス〈パーペチュアル 1908〉(2025年)(©Revolution)
当初、私たちは〈1908〉を、〈チェリーニ〉コレクションの後継となる薄型ドレスウォッチとして捉えていた。腕に載せると、オイスターケースの意匠がひときわエレガントな方向へと導かれ、ウイルスドルフの時代に生み出された時計を強く思わせた。
その鍵を握るのが、ロレックスにとってまったく新しい世代の薄型・高性能ムーブメントとなる、キャリバー71XX系だ。〈1908〉に搭載されたキャリバー7140は、魅力的な薄さに加え、ロレックスの2つの重要な革新技術を組み合わせていた。シリコン製のシロキシ・ヘアスプリングと、レバー脱進機を再設計することで効率を15%高めたクロナジー脱進機である。
ムーブメントには美しい仕上げが施され、ゴールド無垢のローターを透明ケースバック越しに眺めることができた。さらに、時計全体も〈オイスター パーペチュアル〉コレクションのモデルより3分の1ほど小さく、将来の複雑機構を搭載するための理想的なベースとなっていた。
〈1908〉は発表と同時に高い評価を獲得し、貴金属製の〈オイスター パーペチュアル〉や〈デイトジャスト〉に代わる、エレガントな選択肢となった。エクスプローラースタイルの文字盤とオブザーヴァトリー針を組み合わせた意匠は、ブランドの歴史を感じさせる、どこかレトロな雰囲気を醸し出していた。
そして、新たな〈パーペチュアル パデローネ〉へ

▲ プラチナ製ケースにアリゲーターストラップを合わせた、ロレックス〈パーペチュアル パデローネ〉

▲セッティモブレスレットを組み合わせたエバーローズゴールドの〈パーペチュアル パデローネ〉
そして今、西暦2026年9月15日。見事な〈パーペチュアル パデローネ〉コレクションの全貌が、ついに明らかになったのである。
〈1908〉の系譜に連なるケースに収められているのは、瞬時切り替えと高いエネルギー効率を両立した、ロレックスの年次カレンダーだ。Ref.8171のトリプルカレンダーを思わせる配置で、中央の針が日付を示し、12時位置に並ぶ2つの小窓のうち、左に曜日、右に月を表示する。
その美しさには、思わず息をのむ。ノスタルジックなデザイン、伝統的な職人技、そして現代の技術が、見事に融合した時計なのである。

▲ エバーローズゴールド製ケースにアリゲーターストラップを合わせた、ロレックス〈パーペチュアル パデローネ〉(©Revolution)
従来はスティール製のブラシで施されていた文字盤のグレイン仕上げ、あるいはフロスト仕上げは、ここではレーザー彫刻によって生み出されている。その質感の繊細な変化と精緻な仕上がりに、ロレックスを称賛せずにはいられない。
6時位置には、2017年の〈チェリーニ ムーンフェイズ〉を想起させるムーンフェイズ表示が配され、見事なコントラストを描き出している。背景には、星々をちりばめたブルーのエナメルが、海のようにきらめく。
その上に配された2つの月は、メテオライト製だ。満月はシルバーカラーで、隕石特有の模様がはっきりと見て取れる。一方、新月にもメテオライトを用い、ダークブルーのPVD加工を施している。

▲ ムーンフェイズ表示は、2017年の〈チェリーニ ムーンフェイズ〉に通じるもの。ディスクのベースにはブルーのグラン・フー エナメルを用い、2つの月はメテオライトで製作されている。月には、初代「パデローネ」やRef.6062と同様に、モナ・リザを思わせる表情が描かれている。
ケースは、直径39mm、厚さ12.2mm。腕に載せると、プロポーションもバランスも申し分ない。ラグからラグまでの全長は45.1mmで、〈1908〉の45.2mmをわずかに下回る。内部に収まる新型キャリバー7190は厚さ5.56mm。私は、そのベースとなるのは〈1908〉に搭載されるキャリバー7140だと予想していたが、ロレックスは思いがけない、実に心躍るサプライズを用意していた。
実際にベースとなったのは、あの見事なダイナパルス脱進機を備え、〈ランドドゥエラー〉で登場したキャリバー7135だった。ダイナパルスは従来のスイスレバー脱進機とは根本的に異なる新設計の脱進機である。ブレゲのナチュラル脱進機を進化させたもので、シリコン製部品を用い、中央にインパルスロッカーを配置している。

▲ 左:ダイナパルス脱進機 右:セラミック製の天真、最適化された真鍮製のテンワ、シリコン製のシロキシ・ヘアスプリングで構成される、キャリバー7190の調速機。
つまり、〈パーペチュアル パデローネ〉コレクションを駆動するのは、時計業界でも最高水準の歩度性能を追求する5Hzのムーブメントなのだ。毎秒10振動という高振動によって、センターセコンドの針がひときわ滑らかに動くのも、うれしい魅力である。
極めて効率の高い年次カレンダーを駆動するのは、ロレックスが「ハプロス」と呼ぶシステムだ。この革新的な機構で最も重要な役割を担うのが、キャリアフィンガーと年次レバーである。両者が連動することで、月末から翌月への日付の瞬時切り替えを制御し、30日までの月には、30日から翌月1日へと瞬時に表示を進める。

▲ 〈パーペチュアル パデローネ〉に搭載されるキャリバー7190。年次カレンダーとムーンフェイズのディスクを備えている。
さて、〈パーペチュアル パデローネ〉のケース側面を見ると、カレンダー表示を調整するプッシャーがすぐに目に入る。当然、疑問に思うのは、現代の多くの年次カレンダーのように、すべてをリューズで操作する方式にしなかったのはなぜか、ということだ。
その答えは、Ref.8171へのオマージュだから、というものだった。ただし、重要なのは、これらのプッシャーはどの順番で操作しても、時計を傷めることがないという点である。

▲〈パーペチュアル パデローネ〉は伝統的なプッシャーを採用。どの順番で操作しても時計を傷めることなく、カレンダー表示を調整できる(©Revolution)
〈パーペチュアル パデローネ〉は、発売時に3つの仕様で展開される。ひとつ目は、エバーローズゴールド製ケースにインテンスホワイトの文字盤を合わせ、ブラウンのアリゲーターストラップを組み合わせたモデル。2つ目は、イエローゴールド製の〈1908〉で初登場したセッティモブレスレットを備える、エバーローズゴールド製モデルで、私のお気に入りだ。
もっとも、そう言いながらも、アイスブルーのフロスト仕上げの文字盤を備えた、まばゆく、胸が締めつけられるほど美しいプラチナ製モデルとの間で、心が揺れていることは認めざるを得ない。

▲〈パーペチュアル パデローネ〉のサファイアクリスタル製ケースバック越しに姿を見せるキャリバー7190。
同じく注目すべきなのが、これらの時計の価格戦略だ。エバーローズゴールド製のストラップ仕様、Ref.M53505-0002は4万8500スイスフラン。同じくエバーローズゴールド製のブレスレット仕様、Ref.M53505-0003は6万800スイスフラン。そしてプラチナ製のRef.M53506-0002は5万5000スイスフランに設定されている。いずれも付加価値税(VAT)を除いた価格である。
その価値を考えれば、これらの値段はまさに破格と言える。そして、ロレックスの複雑時計の未来が、すでに力強く幕を開けたことを、何よりも雄弁に証明している。
Tech Specs
ロレックス〈パーペチュアル パデローネ〉M53506-0002 キャリバー:自動巻き キャリバー7190、パワーリザーブ約66時間 機能:時・分・秒表示、ストップセコンド、ハプロスシステムによる瞬時切り替え式アニュアルカレンダー、ムーンフェイズ ケース:プラチナ950、39mm×12.2mm、50m防水 ダイアル:アイスブルー(マット、グレイン仕上げ)、ブルーエナメルのムーンディスク(満月・新月はメテオライト)、18Kホワイトゴールド製アラビア数字およびアワーマーカー ストラップ:マットブラックのアリゲーターストラップ、デュアルクラスプ 価格:55,000スイスフラン
ロレックス〈パーペチュアル パデローネ〉M53505-0002 キャリバー:自動巻き キャリバー7190、パワーリザーブ約66時間 機能:時・分・秒表示、ストップセコンド、ハプロスシステムによる瞬時切り替え式アニュアルカレンダー、ムーンフェイズ ケース:18Kエバーローズゴールド、39mm×12.2mm、50m防水 ダイアル:インテンスホワイト(マット、グレイン仕上げ)、ブルーエナメルのムーンディスク(満月・新月はメテオライト)、18Kピンクゴールド製アラビア数字およびアワーマーカー ストラップ:マットブラウンのアリゲーターストラップ、デュアルクラスプ 価格:48,500スイスフラン
ロレックス〈パーペチュアル パデローネ〉M53505-0003 キャリバー:自動巻き キャリバー7190、パワーリザーブ約66時間 機能:時・分・秒表示、ストップセコンド、ハプロスシステムによる瞬時切り替え式アニュアルカレンダー、ムーンフェイズ ケース:18Kエバーローズゴールド、39mm×12.2mm、50m防水
ダイアル:インテンスホワイト(マット、グレイン仕上げ)、ブルーエナメルのムーンディスク(満月・新月はメテオライト)、18Kピンクゴールド製アラビア数字およびアワーマーカー ブレスレット:セッティモブレスレット、コンシールド式フォールディング クラウンクラスプ 価格:60,800スイスフラン
※日本での販売価格・発売時期は未定(2026年9月16日時点)
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