The Bulova A-11 JIMMY: Keeping Time With History
“戦争を勝利に導いた時計”——ブローバ〈A-11 Jimmy〉の物語
第二次世界大戦中、米軍の兵士たちの腕元で正確な時を刻み、後世に「戦争を勝利に導いた時計」とまで称されたA-11。その歴史的なミリタリーウォッチをブローバが37mm径の〈A-11 Jimmy〉として現代に蘇らせた。モチーフとなったのは、ハリウッドスターから爆撃機のパイロットへと転身した名優ジミー・スチュワートの半生を描く映画『JIMMY』。時計と映画、そしてひとりの俳優の知られざる戦争体験が、80年以上の時を超えて交差する。
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by Revolution. Oct 1, 2026 |
名優ジミー・スチュワート
1941年初頭、俳優ジミー・スチュワートは、まるでかけ離れたふたつの世界を行き来していた。同年2月、『フィラデルフィア物語』でアカデミー賞主演男優賞を受賞。その翌月には一兵卒として米陸軍に入隊した。
ハリウッドを代表するスターのひとりだったスチュワートは、ほどなくして米陸軍航空隊の軍用機パイロットとなり、俳優とはまったく異なる第二のキャリアを歩み始める。やがてB-24リベレーターの操縦桿を握り、ドイツ占領下のヨーロッパ上空へと出撃することになる。

▲ジェームズ・スチュワート(1908–1997年)は、「ジミー」の愛称で親しまれたアメリカの名優。『フィラデルフィア物語』(1940年)はアカデミー主演男優賞を受賞。代表作に『素晴らしき哉、人生!』(1946年)、『裏窓』(1954年)、『めまい』(1958年)などがある。同時に、実戦経験を持つ軍人でもあり、第二次世界大戦では米陸軍航空軍のB-24爆撃機部隊で任務に就き、戦後も予備役として勤務。1959年に米空軍予備役准将へ昇進した(Image: U.S. Air Force)
スクリーンのスターから実戦の飛行士へ、そしてハリウッドへの帰還。スチュワートの歩みを描く大作映画『JIMMY』(原題、2026年11月6日全米公開予定)では、ひとつの小さな品が、このふたつの世界を結びつけている。
ブローバのミュージアムが所蔵する当時の時計が撮影のために貸し出され、劇中で着用されたのだ。そのうちの1本、〈A-11 Hack Watch〉を着想源に、戦時中のオリジナルを現代的に再解釈したブローバ〈A-11 Jimmy〉が誕生した。

▲ブローバ〈A-11〉「Jimmy」
戦場のために作られた時計
ブローバは、エルジン、ウォルサムと並び、第二次世界大戦中にA-11規格に準拠した時計を製造したアメリカの主要メーカーのひとつだった。現存する個体には細部の違いがあるものの、この規格は明確な共通様式を生み出した。
堅牢なケースに、視認性の高い白いアラビア数字、明瞭なミニッツトラック、センターセコンド針を配したブラックの文字盤という構成だ。

▲米軍に支給された第二次世界大戦期のブローバ〈A-11〉。ハック(秒針停止)機能付き、1940年代頃(Image: Vintage Watch Specialist)
すべての要素に役割があった。対空砲火や雲、暗闇の中を飛ぶパイロットが必要としていたのは、装飾ではない。瞬時に読み取れる情報だった。日付表示も、注意をそらす余分な要素もない文字盤は、時計を本当に必要なものだけに絞り込んだ結果といえる。
A-11に「ハックウォッチ」という通称をもたらした機能は、外からは目立たないものの、同じくらい重要だった。リュウズを引き出すと、秒針が停止する。この動作を「ハック」と呼ぶ。複数の隊員が同時に時計を止め、正確な時刻を知らせる合図を待って、一斉に再始動させることができた。こうして時計を同期させることで、隊員たちは秒単位で足並みを揃え、作戦を遂行できたのである。

▲米軍に支給された第二次世界大戦期のブローバ〈A-11〉。ハック機能付き、1940年代頃(Image: Vintage Watch Specialist)
A-11は「戦争に勝利をもたらした時計」と呼ばれてきた。腕時計に対する評価としては、少々大げさだろう。しかしA-11が、シンプルで頑丈、しかも視認性に優れた時計で、正確な計時と時刻の同期を実現したことは確かだ。それによって、後世のフィールドウォッチの原型を築いたのである。
この時計はまた、ブローバの歴史における特別な存在でもあった。戦時中、ブローバは腕時計に加え、航法計器や精密計時装置も製造していた。A-11は、大規模な産業動員の中で作られたものだったが、常に身につけていられる、最も個人に寄り添うものだった。
ハリウッドから第8航空軍へ
スチュワートは陸軍に入隊した時点で、すでに民間パイロットとして豊富な飛行経験を持っていた。しかし、スターという立場が、そのまま戦争の英雄への道を開いたわけではない。
飛行教官を務めた後、1943年にイギリスへ派遣され、第8航空軍でB-24リベレーターに搭乗した。20回の戦闘任務を遂行し、戦時中に二等兵から大佐へと昇進。その勇気と行動により、殊勲飛行十字章を2度、エア・メダルを3度、そしてフランスのパルム章付き戦功十字章を授与された。

▲B-24の搭乗員と打ち合わせをするジミー・スチュワート少佐(Image: U.S. Air Force)
スチュワートは現場で任務に就いていた。そこでは、正確な計時と時刻の同期は、懐古趣味に訴えるセールスポイントではなく、実務上の必須条件だった。戦後も空軍予備役にとどまり、最終的には准将として退役した。彼の軍歴は、映画の合間に挟まれた宣伝のための一幕ではない。第二次世界大戦後の数十年にわたり、祖国と観客の双方に力を尽くしたのである。
KJ・アパ主演の『JIMMY』は、アカデミー賞受賞から戦時中の軍務、そして『素晴らしき哉、人生!』へと至るスチュワートの歩みを描く。1946年に公開されたフランク・キャプラ監督の同作は、スチュワートにとって戦後初の長編映画であり、それまで以上に心の内をさらけ出す演技を見せた作品だった。やがて、この映画は彼のイメージと切り離せないものとなっていく。

▲ブローバ〈A-11〉「Jimmy」
〈A-11〉を現代へ
新作〈A-11 Jimmy〉は、オリジナルの個性を受け継ぎながら、2026年の技術を取り入れている。ステンレススチール製ケースは直径37mmと控えめで、コンパクトかつ着けやすいサイズだ。マットブラックのダイアルには、白いアラビア数字、針、ミニッツトラックを配し、スーパールミノバBGW9によって暗所での視認性を高めている。
コインエッジのベゼルとダブルドーム型サファイアクリスタルが当時の雰囲気を引き立て、ケースバックには、原型となった軍用時計に着想を得た刻印を酸によるエッチングで施している。

▲〈A-11 Jimmy〉
〈A-11 Jimmy〉に搭載されるのは、手巻き機能と秒針停止機能を備え、約42時間のパワーリザーブを持つ自動巻きのミヨタ製キャリバー9039だ。オリジナルを特徴づけた秒針停止機能を受け継ぎながら、薄型のムーブメントによって時計全体も大幅に薄くなった。
ムーブメントの厚さは3.9mmで、ケース厚は従来のA-11モデルの14.2mmから11.2mmへと抑えられている。3mm、率にして21%強の薄型化は、手首に収まる感覚を大きく変える。現代の大型の復刻モデルと比べ、第二次世界大戦期の原型を、より身近に感じさせるものとなっている。

サファイアクリスタル、自動巻き機構、スーパールミノバBGW9、そして50m防水は、いずれも現代の仕様だ。オリジナルのA-11の魅力は、デザインのすべてに明確な目的があったことにある。直径37mmの〈A-11 Jimmy〉は、日付窓も余計なダイアル装飾も設けず、そのシンプルさを受け継いでいる。

ブローバ〈A-11 Jimmy〉は、2026年10月に出荷開始を予定しており、11月6日の映画『JIMMY』の全米公開に先駆けて登場する。映画とスチュワートの祖国への献身に着想を得たこの新作は、第二次世界大戦を戦い抜いた「偉大な世代」と現代の世代を結びつける。
軍用装備からミュージアムの収蔵品へ、映画の小道具から現代の復刻モデルへ。その歩みこそが、〈A-11 Jimmy〉に意味を与えている。この時計には、ブローバの歴史、スチュワートの軍務、そして現代のフィールドウォッチの原型を築いたデザインが重なり合っている。
Brands:Bulova
※こちらのモデルは日本未採用となります。
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