デザイナーたちが新境地を切り開き、愛好家たちが希少な一本を追い求めるなか、ギシェ式ジャンピングアワー・ウォッチは再び脚光を浴びている。
The History and Evolution of Guichet Watches
脚光を浴びるギシェ式ジャンピングアワー、その歴史と進化
デザイナーたちが新境地を切り開き、愛好家たちが希少な一本を追い求めるなか、ギシェ式ジャンピングアワー・ウォッチは再び脚光を浴びている。
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by Neha S Bajpai. Mar 16, 2025 |
デューク・エリントンの愛した時計
ジャズ界の伝説デューク・エリントンは1930年代にカルティエ〈タンク ア ギシェ〉を身に着け、自身のトレードマークとしていた。
しかし、そんなクールでアヴァンギャルドな時代よりはるか以前から、デジタル式機械時計の概念は、すでに何世紀にもわたって育まれてきた。
時計史の伝承によれば、その起源は1656年にまで遡る。カンパーニ兄弟が法王アレクサンダー7世のために初めて“ワンダリングアワー(さまよう時刻)”の時計を作ったとされているのだ。
法王の要望は「眠りを妨げない静かな時計が欲しい」というものだった。兄弟はその要求に応え、見事な作品を完成させる。小窓に回転盤の数字が現れ、それを油ランプの光で裏から照らし、暗闇でも時刻を読み取れる仕組みだった。
この時計は機能的であるだけでなく、芸術性にも満ちていた。兄弟は画家カルロ・マラッタやフィリッポ・ラウリと協働したとされ、精緻な装飾が時計の美をさらに高めた。
花や草木、神話の人物、天使などが施され、ときにはメメント・モリ(死の記憶)を想起させる図像が使われ、“時の儚さ”を鑑賞者に伝えていた。
こうした初期の創作が、後にジャンピングアワー(円盤数字が窓に現れる機械時計)へと発展していくのである。

▲ 1930年頃、タンク ア ギシェの時計を着けたデューク・エリントン。

▲ 17世紀のカンパーニ兄弟による卓上ナイトクロック。

▲ 文字盤に開けられたギシェ(小窓)より数字が覗く。
この17世紀の時計は、現代の時計ブランド、ウルベルクの3次元回転する“サテライト・ディスプレイ”の着想のもととなった。時計界において最も独創的で、まったく新しい“時の読み方”を作り出す礎となったのだ。
時を超えるエレガンス、ミニマルの美学
20世紀に入ると、ギシェ式時計は洗練されたミニマリズムの象徴となった。従来の針を排し、数字ディスクによって時を示すという構造は、極めてスリークでソフィスティケートされた佇まいを生み出した。
1928年に初登場し、その後ごく少数の限定で再発されたカルティエ タンク ア ギシェは、その最もアイコニックな存在である。
ギシェ式時計は、特定の時代とデザイン様式の結びつきをよく表している。この形式自体は1930年以前から存在していたものの、1929年の世界恐慌前後、1930年代初頭にかけて、腕時計という新たな舞台で大きく脚光を浴びるようになった。

▲ カルティエ〈タンク ア ギシェ〉
コレクターのロニ・マドゥバニはこう振り返る。
「このデザインは、困難で苦しかった第一次大戦時代の、禁欲的で質素な空気感を体現しています。そして腕時計におけるジャンピングアワーは、私が愛してやまないアールデコ様式を宿しているのです。時刻表示という機能性と簡潔なデザインが融合し、この時計は極めて特別な存在となったのです」
時計好きにとって、ジャンピングアワーの魅力は美学だけでなくメカそのものにある。ジャンピングアワーを1995年から集め続けるルード・ファン・ラインは言う。
「毎正時にディスクが跳ねて切り替わる機構を備える時計は、私はすべてジャンピングアワーと呼んでいます。できれば、時間がジャンプするときにはカチッと大きめの音がしてほしいものです!」
彼は続ける。
「ワンダリングアワーという形式もあります。これは、アワーディスクがジャンプするのではなく、時針のように滑らかに回転するタイプの時計です」
多くのブランドがこの機構を凝ったデザインに組み込んできた一方で、最近では純粋に、時だけを表示するジャンピングアワーに注目が集まりつつある。装飾を排し、純粋な機構だけで成立させるアプローチだ。それはルイ・ヴィトンの新作にも表れている。

▲ アトリエのルード・ファン・ライン(左)。
ルイ・ヴィトン〈タンブール コンバージェンス〉は、古典的なデジタル懐中時計に着想を得ており、ダイヤル上部の小窓ふたつから回転ディスクによって時間を表示する。しかし本来のジャンピングアワー機構とは異なり、コンバージェンスが採用するのはルイ・ヴィトンが“ドラッギング・アワー&ミニッツ”と呼ぶ方式だ。
時刻が瞬時に跳ねるのではなく、数字がゆっくりと移行する、柔らかな表情を見せるのが特徴である。この独創的な表示機構と37mmというコンパクトなケースが相まって、エレガントでヴィンテージ調の雰囲気を醸し出している。
さらに注目すべきは、新たに開発された自社製キャリバーLFT MA01.01だ。これは今後のルイ・ヴィトン ウォッチメイキングを支える新しいムーブメント・ファミリーの第一弾である。
コンバージェンスには、ポリッシュ仕上げの18Kローズゴー・ファン仕様と、合計1.71カラット、795石のスノーセッティングを施したプラチナ仕様という2モデルが用意されている。いずれも真鍮メッキの時間表示ディスクを採用し、ディスク上の数字とスケールは濃紺で統一されている。

▲ ルイ・ヴィトン〈タンブール コンバージェンス〉(ローズゴールド)

▲ ルイ・ヴィトン〈タンブール コンバージェンス〉(プラチナ/795石ダイヤモンド セッティング)
デザイナーたちが既存の枠を超え、コレクターたちが希少な一本を追い求める今、ギシェ式ウォッチは再び脚光を浴びている。時間表示は、少々謎めいているほうが魅力的なのだ。ルードは言う。
「ジャンピングアワーという技術は、過小評価されている複雑機構なのです。特に3枚ディスクを使うタイプは技術的に非常に高度です。だからこそ、それなりのコレクターなら最低1本はジャンピングアワーを持っているものです」
ジャンピングアワーの名作史
ジャンプアワーの歴史を遡ると、1656年のカンパーニ兄弟の“ナイトクロック”にさかのぼる。これは、いわばデジタル表示の原型だった。
最古のジャンピングアワー懐中時計として知られるのは、1700年頃にフリートベルクの時計師エッカルトが製作したもので、ここから時刻を針ではなく窓で示すという新たな時代が始まった。
この大胆な飛躍は単なる技術革新にとどまらず、芸術的表現でもあり、その後数世紀にわたり時計デザインに大きな影響を与えた。

▲ 1700年代のエッカルト作ジャンピングアワー懐中時計。
エッカルトの時計はジャンピングアワーというジャンルの先駆けとなり、のちに1883年にオーストリアの時計師・発明家ヨーゼフ・パルヴェーバーが特許を取得する機構へと道を開いた。
1915年にはスイスの時計師アーサー・デュボワとアルフレッド・スポリが、初のジャンピングアワー腕時計を設計。これによってコンセプトは懐中時計の世界を離れ、腕元で楽しめるようになったのである。

▲ 世界初のジャンピングアワー腕時計。
ブレゲ、ルロワ & フィス、ヴァシュロン・コンスタンタンといった名門時計師たちは、ジャンピングアワー形式を積極的に取り入れ、そのデザイン表現の可能性を大きく押し広げた。
さらに、あのパテック フィリップも、1889年から1928年にかけて複数のジャンピングアワーモデルを発表し、この形式の歴史に足跡を残している。

▲ 左:パテック フィリップ オープンフェイス・ジャンピングアワー懐中時計(1889年頃/Sotheby’s) 右:パテック フィリップ ジャンピングアワー懐中時計(1892年頃/Heritage Auctions)

▲ 左:パテック フィリップ プラチナ製ジャンピングアワー懐中時計(1921年頃) 右:パテック フィリップ 18Kイエローゴールド製ジャンピングアワー懐中時計(1928年頃/Image:Patek Philippe Museum)
1920年代初期の名高いモデルがカルティエ〈タンク ア ギシェ〉である。12時位置と6時位置にジャンピングアワーの小窓を備え、時間を独特の方式で表示し、分は5分刻みで示されていた。このデザインは、洗練と技術の象徴として広く知られるようになった。

▲ カルティエ プラチナ製〈タンク ア ギシェ〉(Image:Sotheby’s)
コレクターのロニ・マドゥヴァニはこう述べている。
「カルティエのタンク ア ギシェが際立つ理由は、ケースデザインをメゾン独自のスタイルで再解釈している点にあります。これはカルティエが得意としてきた領域です。ジャンプアワーという複雑機構は、必ずしも広く愛されたわけではなく、しばしば『素っ気ない』『シンプルすぎる』と評されてきました。しかし、その希少性とカルティエならではの洗練が相まって、今日では多くの愛好家の垂涎の的となっています」
1930年代に入ると、こうした時計はバリエーションが増え、光沢のあるラッカー仕上げのフェイスを持つものなどが現れた。
そして1957年、パテック フィリップは“コブラ”を発表する。時間表示の概念を根底から覆した革新的なタイムピースで、白地に黒の細いラインが連続的に進むことで分を示し、一方で時はジャンプによって表示されるというものだった。
美しく作り込まれたキャリバー9-90を搭載。左側にシリンダー駆動機構、右側に板バネ式のレトログラード機構を備える特異なムーブメントである。
しかしこの革命的デザインにもかかわらず、コブラは量産化されることはなかった。現存する唯一の個体は、現在パテック フィリップ ミュージアムに所蔵されている。

▲ パテック フィリップ“コブラ”Inv.P-110と内蔵されたキャリバー9-90。
1970年代になると、クォーツ式ムーブメントが市場を席巻する一方で、機械式ジャンプアワー時計は復活の兆しを見せた。クォーツ革命の時代にあって個性を打ち出そうとしたブランド各社は、より手に取りやすい価格帯のジャンプアワーを次々と投入した。
なかでも、アール・デコ調のデザインで人気を博したのがアメリカ発ブローバの〈ホワイトプリンス〉である。

▲ ブローバが1970年代に展開した代表的ジャンプアワー・モデル〈ホワイトプリンス〉
コレクターのルード・ファン・ラインはこう述べている。
「アメリカでは、ケースにカールした彫金が施されたジャンプアワーの時計が人気でした。ホワイトプリンスやレンジャーには、品質の高いスイス、フォンテーヌメロン(FHF)製のキャリバーが搭載され、実に洒落た印象を与えていました」
パテック フィリップやヴァシュロン・コンスタンタンに加え、新興勢力であったブローバなどのブランドがジャンプアワーをアメリカ市場へ持ち込み、コレクターにとって一段と身近な存在にしたのである。
1990年代に入ると機械式時計、とりわけ歴史的背景や技術的意味を持つモデルへの関心が再び高まりを見せる。パテック フィリップは創業150周年を記念し、1989年にRef. 3969を再発表。
一方カルティエは1996年から2005年にかけて、伝統を称える限定シリーズとして「タンク ア ギシェ」を再展開した。こうしたモデルは生産数の少なさゆえに、瞬く間にコレクター垂涎の的となった。
その希少性を象徴する例が、俳優ブラッド・ピットが2013年の『USA Weekend』誌のフォトシュートで着用した一本だ。世界限定わずか100本の27mm カルティエ〈タンク ア ギシェ〉Ref. 2817である。

▲ パテック フィリップ Ref. 3969(1989年/Image:Sotheby’s)

▲ 俳優ブラッド・ピットは、2013年の『USA Weekend』誌で、ケース径27mmのカルティエ〈タンク・ア・ギシェ〉Ref. 2817 を着用している。
ジャンプアワーの未来──その進化
ジャンプアワー式の時計は21世紀に入り再び注目を集め、IWCなどのブランドが新たな息吹を吹き込んだ。
2018年、IWCは1883年に開発されたパルウェーバー表示方式にオマージュを捧げた、〈トリビュート・トゥ・パルウェーバー “150 イヤーズ”〉を発表した。
1885年から1887年にかけて生産された初期のIWCパルウェーバー懐中時計は、すでに希少でコレクターズピースとなっている。
そして最新作であるトリビュート・トゥ・パルウェーバー “150 イヤーズ”は、鮮やかなレッドゴールドのケースにキャリバー94200を搭載し、世界限定わずか250本。その希少性から、発売当時からコレクターの間で非常に高い人気を博した。

▲ ふたつを並べて見比べれば、IWC〈トリビュート・トゥ・パルウェーバー “150 イヤーズ”〉(右)が、その名高い懐中時計の系譜を受け継いでいることがわかる。

▲ 〈トリビュート・トゥ・パルウェーバー “150 イヤーズ”〉
独立系時計師の台頭は、ジャンプアワーという複雑機構を現代に受け継ぐうえで、極めて重要な役割を果たしてきた。先鋭的なデザインで知られるウルベルクのフェリックス・バウムガートナーとマルティン・フライは、この機構を大胆に再解釈している。
彼らのデビュー作となった〈UR-101〉は、17世紀にローマ教皇のために作られたイタリア製のナイトクロックから着想を得たものだ。
1997年のバーゼルワールドで発表されたこのモデルは、スター・ウォーズに登場するハン・ソロのミレニアム・ファルコン号を思わせるケース形状によって、強烈な存在感を放っていた。
さらに革新的だったのが、その表示方式である。半円形のミニッツトラックに沿って“さまようように”時を示すワンダリングアワーを採用し、従来の時間表示の概念を根本から塗り替えたのである。

▲ ウルベルク UR-101(Image:Christies.com)
一方、ドゥ・ベトゥーンの〈ドリームウォッチ 5〉は、ギシェ方式を未来へと押し進める存在だ。機械式のデジタル表示と宇宙的美学を融合させたこの手巻きジャンプアワーは、回転ディスクによる分表示と、小さなムーンフェイズを備え、それらがスペースシップのようなケースに開けられたアパーチャー(小窓)から姿を現す。
ケースはミラーポリッシュ仕上げのチタン製で、その造形美は彫刻作品さながら。裏面に至るまで徹底して磨き上げられ、ドゥ・ベトゥーンの創業者たちのサインが刻まれている。
これはまさに高級時計のアートとしての再解釈であり、ジャンプアワーがメカニックとして魅力的であると同時に、どれほどアヴァンギャルドな表現へ到達できるかを示している。

▲ ドゥ・ベトゥーン〈ドリームウォッチ 5〉(©Revolution)

▲ ジャガー・ルクルトは2021年に〈レベルソ・トリビュート・ノナンティエム〉を発表した。ソリッドなピンクゴールド製のケースバックには大小ふたつの円形アパーチャーが“8”の字のように並び、上部の小さなアパーチャーにはセミ・ジャンピング式のデジタルアワー表示が収められている。レベルソにこの複雑機構が搭載されるのは初めてで、これは1930年代に同社が腕時計向けに開発したデジタル表示を想起させるものだ。
では、現代のコレクターたちはいったい何に惹かれてジャンプアワーを求めるのだろうか? 単なる機構以上の何か──芸術性、デザイン性、そして会話のきっかけとなる存在感が、その魅力を形づくっている。
ルードは語る。
「ジャンプアワーは単なる時計じゃない。ステートメント(主張)なんだ。ほかの時計とはまったく違う顔をしているし、人を振り向かせ、質問させる。まさに会話を生む時計なんだ」
ジャンプアワーの魅力は、その視覚的インパクトと、背後に隠された技術的創意工夫の両方に宿っている。
ルードは続ける。
「ジャンプアワーのディスクを正確に跳ねさせるためには、複数の軸受けルビーが必要で、毎瞬のジャンプがスムースに行われるよう精密に設計されている。この職人技のレベルこそが、コレクターを強く惹きつける理由なんだ」
ジャンプアワーの系譜の中でも特に際立つ1本が、オーデマ ピゲの〈ジャンプアワー・ミニッツリピーター〉である。デジタル式の時表示と高度な複雑機構を組み合わせた希少な一本で、1928年製ジャンプアワー時計のデザインを踏襲している。
スクエアケースにミニッツリピーターを搭載することで、複雑性とエレガンスの見事な融合を果たしている。

▲ ヴィンテージのオーデマ ピゲ ジャンプアワー。
現在、ジャンプアワーの世界は独立系クリエイターたちによって押し広げられている。ウルベルクの作品から、マイクロブランド、デレナム(DeRhenum)による〈スペース・ジャンプアワー〉のプロトタイプに至るまで、そこには限界を突破しようとするスピリットがある。

▲ デレナムの〈スペース・ジャンプアワー〉。宇宙的デザインとジャンプアワー機構を融合した前衛的なプロトタイプ。

▲ デレナム・スペース・ジャンプアワー・キャリバー。
「スペース・ジャンプアワーのプロジェクトは昨年始めたばかりで、2025年3月までに25本を用意できる予定です。スペースデザインと機械式デジタル時計を融合させた、ジャンプアワーの新しいアプローチなんです」とルードは語る。彼は新進気鋭の独立系時計ブランド、デレナムの主宰者でもあるのだ。
「それから、デレナムのジャンプアワー・ブルヘッド・クロノのプロトタイプは2025年4月に完成します。現在、2本が製作中です」

▲ デレナム・クロノ・ブルヘッド。
コレクター人気が高まりつつある“ニッチ”なのか?
ジャンプアワー時計はいまもなお時計界の中ではニッチな存在だが、その魅力は揺るぎないものがある。
「ラウンドケースの一般的な三針時計を10~20本集めたコレクターは、ある時点で“次の何か”を欲しがるものなんだ」とルードは語る。
その入口として最適なのが、マイスタージンガー〈サルトラ〉、レゼルボワールのレトログラード式パワーリザーブのようなモデルで、これらはジャンプアワー収集の第一歩として非常に人気が高いという。

▲ 左:マイスタージンガー〈サルトラ〉 右:レゼルボワール レトログラード・パワーリザーブ
ルードは語る。
「そこからコレクターは、ジェラルド・ジェンタやヴィンセント・カラブレーゼといったブランドの、よりハイエンドな作品へとステップアップしていきます。価格帯は5,000〜10,000ユーロほど。そして最終的には、ウルベルク、ランゲ&ゾーネのツァイトヴェルク、あるいはF.P.ジュルヌの〈ヴァガボンダージュ〉といった、より希少な世界へ足を踏み入れることになるでしょう」
ジャンプアワーの復活は、現代の時計コレクターの趣味嗜好が確かに変化していることを示している。精密さと個性が何より価値を持つ今の時代において、ジャンプアワーはその象徴的存在として浮上してきたのだ。
ルードはいう。
「保守的なロレックスを除けば、ほとんどのブランドがコレクションに少なくともひとつはジャンプアワーのデザインを持つようになると思います。しかし、それでもジャンプアワーはニッチのままだと私は見ています。歴史を振り返れば、ジャンプアワーは数年周期で人気が高まる時期があるだけなんです」
しかし、マドゥヴァニはこうも述べている。
「独立系ブランドからは興味深い解釈がいくつか登場していますが、メインストリームに返り咲くとは思いません。もしカルティエが〈タンク ア ギシェ〉を再発表したら、間違いなく狂騒が起きるでしょうけれどね」
ギシェ式の時計は万人向けではない。しかし、その機械的妙味と唯一無二のスタイルを理解する者にとっては、尽きることのない情熱の対象であり続けるのである。
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