Patek Philippe’s Rare Handcrafts Take an Italian Grand Tour
パテック フィリップが描く、美しきイタリア——ミラノに集結
パテック フィリップは「ウォッチアート・グランド・エキシビション(ミラノ2026)」の開催に合わせ、イタリア市場のために製作した25点の「希少なハンドクラフト」を発表した。アマルフィやプーリア、ヴェネツィア、ミラノ、そしてダンテまで——。エナメル、彫金、ギヨシェ、木象嵌といった伝統技法を駆使し、イタリアの風景や芸術、文化を時計という小さなキャンバスに描き出す。
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by Matthew De Jesus . Oct 1, 2026 |
イタリア風景・名建築を時計に
イタリアの多彩な風景や芸術、伝統は、パテック フィリップにとって尽きることのないインスピレーションの源だ。「ウォッチアート・グランド・エキシビション(ミラノ2026)」の開催に合わせ、マニュファクチュールはイタリア市場限定となる25点の「希少なハンドクラフト」を製作した。
その内訳は、ドーム・テーブルクロック6点、テーブルクロック1点、懐中時計4点、腕時計14点。チンクエチェントで巡るロードトリップから、ヴェネツィアのレース、さらにはダンテの肖像まで、題材も実に多彩だ。エナメル、彫金、ギヨシェ、木象嵌といった高度な装飾技法によって、それぞれに異なるイタリアの物語が描き出されている。
これらの作品は、10月2日から18日までミラノのCity Ovalで公開される。会場では約500点に及ぶ時計やオブジェが展示されるほか、パテック フィリップ・ミュージアムが所蔵する歴史的に重要なタイムピースも登場。さらに、時計師や職人による実演も行われる。時計好きにとっては、見逃すことのできないエキシビションといえるだろう。
「希少なハンドクラフト」の幕開けを飾るのは、イタリアを代表する小型車、フィアット 500(チンクエチェント)で各地を巡るロードトリップを描いた4種類の〈カラトラバ〉だ。
いずれもホワイトゴールドまたはローズゴールド製で、各6本限定。クロワゾネ七宝と七宝細密画を組み合わせ、ダイヤルにイタリア各地の風景を描き出している。ベゼルにはクルー・ド・パリ装飾が施され、時・分針にはクラシカルなドフィーヌ型を採用。ストラップには、それぞれのダイヤルの色調に合わせたアリゲーターが組み合わされる。
「アマルフィへの小旅行」Ref.5177G-053では、ターコイズカラーのチンクエチェントがアマルフィ海岸の断崖を走り抜ける。その先には、フローレのフィヨルドに架かる橋を望む有名なワインディングロードが広がっている。
「プーリアへの旅」Ref.5177G-054では、赤いチンクエチェントがプーリア地方をドライブ。背景には、この地を象徴する円錐形の屋根をもつ伝統的な石造住宅、トゥルッリが描かれている。
「キャンティの一時停車」Ref.5177R-010では、黄色のチンクエチェントがキャンティのブドウ畑を横切る。空は夕暮れとともに赤く染まり、トスカーナらしい穏やかな風景が広がる。
そして「コモへの到着」Ref.5177R-011が描くのはコモ湖畔への到着だ。鮮やかな色彩の家々が並ぶ街並み、水面に浮かぶヨット、そして丘を包む淡い霞まで、湖畔の情景が細密に表現されている。
▲左から:「アマルフィへの小旅行」Ref.5177G-053、「プーリアへの旅」Ref.5177G-054
▲左から:「キャンティの一時停車」Ref.5177R-010、「コモへの到着」Ref.5177R-011
ロードトリップだけではない。パテック フィリップは、イタリアの都市そのものをドーム・テーブルクロックや懐中時計の題材として取り上げている。
「イタリアの切手」Ref.20183M-001は、イタリア各都市の歴史的な噴水を描いた古い郵便切手から着想を得たドーム・テーブルクロックだ。側面に描かれた噴水と都市名は、七宝を施す前に手作業で彫金。さらに、イタリアの偉大な探検家たちへのオマージュとして、パイヨネ七宝による羅針盤のモチーフが配されている。
時計表示部には大理石製のアワーサークルを採用し、彫り込んだローマ数字をブルーラッカーで彩色。金めっき仕上げの台形型時・分針を配し、その内側には手作業によるギヨシェ装飾を施している。
「夜のローマ」Ref. 20184M-001は、より幻想的な雰囲気を漂わせる作品だ。白リモージュによるグリザイユ七宝を用いたモノクロームの表現によって、闇の中からローマの歴史的建造物が浮かび上がる。夜空には金色の星々が輝き、その下ではテヴェレ川の水面に街の光が映り込む。
ホワイトラッカーのアワーサークルの上には、手彫りによる2羽の鳩の装飾があしらわれ、静謐な夜のローマをさらに詩的に演出している。
▲「イタリアの切手」ドーム・テーブルクロック Ref. 20183M-001
▲「夜のローマ」ドーム・テーブルクロック Ref. 20184M-001
また、テーブルクロック「ミラノの街」Ref. 25028M-001には、ドゥオーモ広場を中心に、ブルー、グリーン、ターコイズのエナメルで同心円状に広がる地図が描かれている。街路はクロックの側面パネルにも続いており、文字盤上の街路と正確につながるよう、緻密な位置合わせが求められた。
▲テーブルクロック「ミラノの街」Ref. 25028M-001。
ヴェネツィアを題材とした2点の懐中時計は、それぞれまったく異なる質感を見せる。イエローゴールド製の「ブラーノ」Ref. 992/193J-001は、島の色鮮やかな家々と運河をクロワゾネ・エナメルで描いている。水面には波模様のギヨシェが施され、エナメルの下に封じ込められた金箔と銀箔が、水に映る景色にきらめきを添える。
一方、ホワイトゴールド製の「ベネチアン・クルーズ」Ref. 995/147G-001が捉えるのは、夜明けのカナル・グランデへと進むマホガニー製の遊覧ボートからの眺めだ。ボートの描写には、334個の小さな薄板片と、さらに小さな15個の象嵌パーツが組み合わされ、驚くほど写実的な質感を生み出している。
▲「ブラーノ」Ref. 992/193J-001
▲「ベネチアン・クルーズ」Ref. 995/147G-001
2本の〈ゴールデン・エリプス〉は、内陸へと舞台を移し、トリノのヴェナリア宮殿を題材としている。ローズゴールド製のRef. 5738/50R-027は、全長80メートルに及ぶ宮殿の大回廊ガレリア・グランデを見通す眺めを描いたもの。クロワゾネ・エナメルと細密画を用い、奥へと続く建築空間の遠近感を表現している。
一方、ホワイトゴールド製のRef. 5738/50G-050は、宮殿の天井画に焦点を当てている。限定数はそれぞれ5本と6本だ。
▲左:「グレート・ギャラリー」Ref. 5738/50R-027 右:「バロック装飾」Ref. 5738/50G-050
10本限定の〈ゴールデン・エリプス〉「トスカーナの夕日」Ref. 5738/50R-017では、木象嵌が主役となる。ローズゴールドのケースに収められた文字盤には、木の薄板を組み合わせ、夕焼けに染まる空の下に佇む村が描かれている。ゴールドカラーのカーフスキン・ストラップも、この情景の温もりに呼応している。

▲「トスカーナの夕日」Ref.5738/50R-017
3本の〈カラトラバ〉は、再び夏の海辺へと舞台を移す。いずれも6本限定で、エナメルで描かれた情景の下には、半透明の層を通して波模様のギヨシェが透けて見え、ベゼルとラグにはダイヤモンドが連なる。
イエローゴールド製の「ナポリ湾」Ref. 5077/100J-010には、カプリ島の海からそびえるファラリオーニの奇岩を背景に、レモンの木々が描かれている。
ローズゴールド製の「カプリの海岸」Ref. 5077/100R-072には、パラソルや海水浴客、岩に砕ける波の泡など、休暇の風景を彩る細やかな描写が満載だ。
ホワイトゴールド製の「ピンクの海辺」Ref. 5077/100G-082では、鮮烈なピンク、紫、赤のブーゲンビリアが前景を占め、移ろう空の下、海上にヨットが浮かんでいる。
▲左から:「ナポリ湾」Ref. 5077/100J-010、「カプリの海岸」Ref. 5077/100R-072、「ピンクの海辺」Ref. 5077/100G-082
シチリアからは、柑橘をモチーフにした2点のドーム・テーブルクロックが登場する。「シチリアのレモン」Ref.20185M-001は、シチリアの伝統的なマヨリカ陶器の鮮やかな色彩と装飾性を取り入れた作品だ。ファイヤンス焼にロンウィー七宝を施し、レモンの実と、地中海に映るエトナ山を描いている。細かな貫入が入ったアイボリーのアワーサークルには、オレンジ色のインデックスと針が配され、時を告げる。
「シチリアのオレンジ」Ref.20179M-001は、前景のオレンジの木々をクロワゾネ・エナメルで、遠景のパレルモを柔らかな細密画で表現。木々や果実の輪郭を形づくる金線は、約15メートルに及ぶ。ブルーをアクセントにしたアワーサークルは、シチリアの教会の時計に着想を得ている。
▲「シチリアのレモン」Ref. 20185M-001
▲「シチリアのオレンジ」Ref. 20179M-001
続く3点は、イタリアの職人技に目を向けた作品だ。〈カラトラバ〉のミニット・リピーター「フィレンツェのモザイク」Ref. 7040/250G-011は、17世紀のフィレンツェのテーブルを飾った花模様に着想を得て、硬石象嵌の表情をエナメルで再現している。微細な描き込みによって、天然石に見られる内包物までも表現。文字盤の周囲には168個のダイヤモンドが配されている。

▲〈カラトラバ〉ミニット・リピーター「フィレンツェのモザイク」Ref.7040/250G-011
ドーム・テーブルクロック「ラヴェンナ」Ref. 20180M-001は、ガッラ・プラチディア廟堂のモザイクに焦点を当てている。星をちりばめたモチーフは、ブルーのアラビア数字を配したアワーサークルの内側にも広がる。
続く小ぶりなドーム・テーブルクロック「ミルフィオリ」Ref. 10039M-001は、ムラーノ島の色鮮やかなガラス棒をエナメルで表現した作品だ。5点限定で製作され、マザー・オブ・パールのアワーサークルには、深いオレンジ色のサファイアをインデックスとして配している。
▲ドーム・テーブルクロック「ラヴェンナ」Ref.20180M-001
▲ドーム・テーブルクロック「ミルフィオリ」Ref. 10039M-001
イタリア絵画への敬意は、懐中時計「ダンテ」Ref. 995/151G-001にも込められている。サンドロ・ボッティチェリが描いた詩人の肖像に着想を得たこの作品は、クロワゾネ・エナメルと細密画を用い、金粉の星をちりばめた深いブルーの空を背景に、その横顔を描き出す。肖像を囲むのは、『神曲』の物語に着想を得た図柄だ。ホワイトゴールド製のこの懐中時計には、ルチルクォーツを組み込み、ラピス・パイライトを台座に用いたスタンドも付属する。
▲「ダンテ」Ref. 995/151G-001
このコレクションは、〈ゴールデン・エリプス〉「うずくまるライオン」Ref. 5738/50G-039で、イタリアの彫刻にもスポットライトを当てている。
ホワイトゴールドのケースに収められた文字盤には、ナポリのサン・フランチェスコ・ディ・パオラ聖堂を背景に、Pasquale Riccaの彫刻が描かれている。白リモージュによるグリザイユ七宝を用いた暗色のモノクローム表現が、ライオンの量感、石の質感、そして広場に落ちる影を捉えている。

▲〈ゴールデン・エリプス〉「うずくまるライオン」Ref. 5738/50G-039
続く2本の〈カラトラバ〉は、ブラーノ島のレース製作に敬意を表している。「ピンクのレース」Ref.5077/100R-069は、淡いピンクの刺繍を思わせる花々をローズゴールドのケースに収めたモデル。
また、ホワイトゴールド製の「ブルーのレース」Ref.5077/100G-080は、同じ工芸の世界を涼やかな色調で表現している。いずれも6本限定で、シャンルヴェ七宝で描いた花に銀箔を重ね、半透明の七宝で覆うパイヨネ七宝を組み合わせている。さらに、花模様に繊細な彫金を施して仕上げている。
▲左:「ピンクのレース」Ref. 5077/100R-069 右:「ブルーのレース」Ref. 5077/100G-080
最後を飾るのは、ルネッサンス期とバロック期の宮殿の華麗な天井装飾に着想を得た懐中時計「イタリアのスタッコ」Ref. 995/148G-001だ。ケースバック全体には、半透明のグリーンのエナメルを通して、放射状のギヨシェ模様が透けて見える。その一部に渦巻きや貝殻のモチーフを浮き彫り状に重ね、成形されたスタッコ装飾の立体感を再現している。内側の不透明なホワイトエナメルの文字盤も、漆喰を思わせる表現を完成させている。
▲懐中時計「イタリアのスタッコ」Ref. 995/148G-001
Brands:Patek Philippe
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