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名機を受け継ぐ——ジャン マルク フュルーリー〈クロノグラフ FXR-4〉

Editorial

Editorial

Jean-Marc Fleury’s FXR-4: Carrying the Lemania 2310 Legacy Forward

名機を受け継ぐ——ジャン マルク フュルーリー〈クロノグラフ FXR-4〉

ボタンを押すと歯車が動き、針が時間を計り始める。クラシックなクロノグラフには、機械の働きを目で楽しむ魅力がある。その代表的なムーブメント、レマニア2310をもとに、自らの時計をつくり上げたジャン=マルク・フュルーリー。名門で経験を積んだ独立時計師の歩みと、丁寧な手仕事が光る作品を紹介する。

by Revolution Japan. Oct 13,2026

クラシックなクロノグラフの魅力

 プッシュボタンを押すと、レバーが動き、歯車がかみ合い、クロノグラフの秒針が走り始める。もう一度押せば止まり、リセットすればゼロへ戻る。ストップウォッチ機能を持つクロノグラフには、時間を計るだけでなく、その仕組みを眺める楽しさがある。とりわけクラシックな手巻き式では、複雑に組み合わされた部品や、その動きに心を引かれる。

 その魅力を語るうえで欠かせないのが、1942年に誕生したレマニアのキャリバー2310だ。直径27mmという小さなムーブメントに、計測の開始や停止を制御するコラムホイールを備え、時計の歴史に大きな足跡を残した。

 この設計をもとにしたオメガのキャリバー321は、〈スピードマスター〉に搭載され、宇宙飛行士とともに月へ渡った。さらに、派生型のレマニア2320を含むこのムーブメントの系譜は、パテック フィリップ、ブレゲ、ヴァシュロン・コンスタンタン、ロジェ・デュブイにも受け継がれている。

 同じ設計から生まれた時計でも、その表情は一様ではない。部品を支えるブリッジの形を変えたり、精度を調整する仕組みを改良したり、細かな仕上げを加えたり。それぞれのブランドが技術と美意識を注ぎ込むことで、異なる魅力を持つクロノグラフが生まれた。

▲レマニア2310と基本設計は同じだが、すべてをイチから作り直したクロノグラフ・ムーブメント、ジャン マルク フュルーリー「FM04」(オープンワーク仕様)

ジャン マルク フュルーリーとは?

 この伝統ある設計に向き合ったのが、独立時計師ジャン マルク フュルーリーである。彼はレマニア2310をもとに、5年の歳月をかけてキャリバーFM04をつくり上げた。それを搭載する〈クロノグラフ FXR-4〉には、名機への敬意と、自分の手で新しい時計を生み出す情熱が込められている。

 時計師ジャン=マルク・フュルーリーは、スイス時計業界で約30年の経験を持つ。微細機械工学を学び、パテック フィリップには10年以上勤務。製造責任者も務め、精密な部品づくりや高級時計の製造について知識を深めた。

 2017年には、ジュネーブ郊外のシュレに「フュルーリー マニュファクチュール」を設立。独立系の高級時計ブランドに向けて、ムーブメントや部品の開発・製作を手がけてきた。ほかの時計師たちのものづくりを支えてきた経験が、自らの作品にも生かされている。

 2020年には自身の名を冠したブランドを立ち上げ、初の自社製ムーブメント、キャリバーFM01を発表。そして2024年、ブランド初のクロノグラフとなる〈FXR-4〉を送り出した。

▲ムーブメントFM04の開発風景。

〈クロノグラフ FXR-4〉のこだわり

 搭載されるFM04は、直径32.5mm、厚さ6.5mmの手巻きムーブメント。レマニア2310と基本設計は同じだが、すべてをイチから作り直した。サイズを大型化し、振動数も2.5Hz→3Hzへ引き上げられている。針で日付を示すポインターデイトと、昼夜を知らせる表示も加えられた。時計師のクロノグラフに対する並々ならぬこだわりが感じられる。

 ケースは直径40mm、厚さ12.8mm。各11本限定のブルーとブラックのモデルでは、リサイクルステンレススティールを使い、ファブリックストラップを合わせた。文字盤と小さなインダイアルには、それぞれ異なる向きに細かな筋目を付けている。光の当たり方によって反射が変わり、表示に奥行きが生まれる。

 裏蓋越しに見えるムーブメントが見どころだ。ブルーとブラックのモデルでは、洋白と呼ばれる合金でつくられたブリッジに、マットブラックのコーティングを施している。その間から、「ブラックポリッシュ」が施されたレバーや、ブロンズ調に仕上げた歯車が顔をのぞかせる。

 ムーブメントの土台となる地板には、小さな円を重ねた「ペルラージュ」という模様を施した。光沢を抑えた黒い面と、きらりと光る部品。その違いによって、複雑に重なる機構が見やすくなる。伝統的な仕上げを使いながら、色の組み合わせには現代的な感覚がある。

▲ジャン マルク フュルーリー〈クロノグラフ FXR-4〉

 〈クロノグラフ FXR-4〉には、ほかの仕様も用意されている。ローズゴールドケースに濃いグレーの文字盤を合わせたモデルや、スティールケースにコッパー、サンドの文字盤を組み合わせたモデルだ。これらはムーブメントの仕上げも異なり、ブリッジに帯状の模様「コート・ド・ジュネーブ」を施した、よりクラシックな姿を楽しめる。

〈クロノグラフ FXR-4 オープンワーク〉

 機械を眺める楽しさをさらに広げたのが、〈クロノグラフ FXR-4 オープンワーク〉である。透明なサファイアクリスタル製のダイアルを通して、時計の表側からもブリッジや歯車を見ることができる。

 着想源は、スポーツカーのエンジン。部品がどのように並び、重なっているかが、そのまま時計のデザインになっている。地板やブリッジに色を付け、歯車やスティール製パーツとの違いを際立たせることで、機械の構造をより立体的に見せている。

 ケースには、軽量なグレード23チタンを採用。ローズゴールド仕様では、チタン製のケース中央部分を、2つの18Kローズゴールド製リングが上下から挟む。ムーブメントだけでなく、ケースにも異なる素材を重ねる工夫が見られる。

▲〈クロノグラフ FXR-4 オープンワーク〉。透明なダイアルを通して、ムーブメントの部品が重なり合う様子を表側から眺められる。

 2026年10月9日付の国内発表では、東京・南青山で開催の「Tokyo Watch Week 2026」が、日本初披露の場として案内された。

 「私たちは、時間を異なる視点から理解したいと願う人々のために時計を作っています」

 フュルーリーのこの言葉は、作品の楽しみ方にも重なる。文字盤で時刻を読み、ボタンを押して計測を始め、裏蓋から機械の動きを追う。さらに目を近づければ、小さな部品にまで施された手仕事が見えてくる。〈クロノグラフ FXR-4〉は、そんなふうに何度も眺めたくなる時計だ。

Tech Specs

ジャン マルク フュルーリー〈クロノグラフ FXR-4〉 ムーブメント:手巻き、キャリバーFM04。26石。毎時2万1600振動。パワーリザーブ約60時間 機能:時・分・スモールセコンド表示、ポインターデイト、デイ&ナイト表示、30分積算計付きクロノグラフ ケース:リサイクルステンレススティール。直径40mm、厚さ12.8mm。シースルーバック。3気圧防水 価格:ブラック&ブルーダイヤル各1045万円(税込) 限定数:ブラック&ブルーダイヤル各世界限定11本、その他のモデルは価格未定、限定数なし

ジャン マルク フュルーリー〈クロノグラフ FXR-4 オープンワーク〉 ムーブメント:手巻き、キャリバーFM04 オープンワーク。26石。毎時2万1600振動。パワーリザーブ約60時間 機能:時・分・スモールセコンド表示、ポインターデイト、デイ&ナイト表示、30分積算計付きクロノグラフ ケース:グレード23チタン、またはグレード23チタンと18Kローズゴールド。直径40mm、厚さ12.8mm。シースルーバック。3気圧防水 価格:未定(2026年10月9日発表時点) 生産:限定本数の設定なし。少量生産

Brands:Jean-Marc Fleury

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