Bond is Back: The New Omega Seamaster Bond Watches are Perfect for Heroes or Villains
ボンドか、スペクターか? オメガ新作、正義と悪の〈シーマスター〉
ジェームズ・ボンドの洗練をまとうブルーか、宿敵スペクターの不穏な魅力を宿すブラックか。オメガの新作〈シーマスター ダイバー300M〉は、007の世界をふたつの視点から表現する。細部に遊び心を忍ばせたステンレススティールモデルから、各77本のリミテッドエディションまで。腕元で選ぶ、あなたのサイドはどちらだろう。
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by Felix Scholz . Oct 5, 2026 |
次のボンドはどうなる?
ボンドファンにとって、ここまでの道のりはずいぶんと長かった。ダニエル・クレイグが2021年公開の『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』で最後にタキシードをまとって以来、シリーズは製作体制や権利をめぐる混乱が続き、次なる007の姿は長らく霧の中にあった。
しかし、ここにきて状況は大きく動き始めている。まるでワインディングロードを駆け抜けるアストンマーティンのように、一気にギアが上がったのだ。クレイグの後継者こそいまだ明らかになっていないものの、新作ビデオゲームが登場し、それと連動したウォッチまで用意された。
さらに次回作では、ドゥニ・ヴィルヌーヴが監督を務めることも決まっている。
そして、ひとつ確かなことがある。今回登場した4本の新作ボンドウォッチが、実に見事な仕上がりだということだ。
興味深いのは、「ボンドウォッチ」というテーマをふたつの異なる方向から表現している点だ。ひとつは、ジェームズ・ボンド本人へのオマージュを込めたブルーダイヤル。そしてもうひとつが、長年にわたり彼の前に立ちはだかってきた謎の犯罪組織「スペクター」を象徴するブラックダイヤルである。
スペクターの歴史は古い。その存在はイアン・フレミングが1961年に発表した小説『サンダーボール作戦』にまで遡り、映画シリーズでは1962年公開の『007/ドクター・ノオ』から姿を現している。
ボンドとスペクター——決して交わることのない宿命の両者を、それぞれ異なるダイヤルで表現する。数多く生み出されてきた「007ウォッチ」という定番のテーマに、鮮やかなひねりを加えたアイデアだ。
さて、あなたならどちらを腕に選ぶだろうか。

▲左:オメガ〈シーマスター ダイバー300M ジェームズ・ボンド〉 右:オメガ〈シーマスター ダイバー300M スペクター〉
オメガ〈シーマスター ダイバー300M ジェームズ・ボンド〉
まずはジェームズ・ボンド側から見ていこう。このモデルは、ピアース・ブロスナンが『007/ゴールデンアイ』(1995年)で着用したシーマスターへのオマージュとして仕立てられた一本だ。42mmのケースにブルーダイヤル、チタン製ベゼルインサートという組み合わせは、一見すると実に端正。しかし近づいてみれば、そこかしこに007ならではの仕掛けが潜んでいる。
ブルーダイヤルを彩るのは、レーザーエングレービングによる繊細なウェーブパターン。シーマスターを象徴する意匠でありながら主張しすぎることはなく、光の加減によって表情を変えながら、ダイヤルに奥行きを与えている。
スケルトン仕様のソード型針も、このモデルには欠かせない。夜光は時針、秒針、インデックスがブルー、分針とベゼルのドットがグリーンに発光する。そして12時位置のダブルバーインデックスに目を凝らすと、さらに小さな秘密が見えてくる。そこに描かれているのは、ボンド家の紋章に由来するシェブロンと3枚のコイン。いかにもスパイウォッチらしい、知る人ぞ知るディテールだ。
ステンレススティール製ケースには、10時位置にヘリウムエスケープバルブを装備。そして時計を裏返すと、さらに大胆な演出が待っている。ナイアードロック式ケースバックには、007映画のオープニングでおなじみの「ガンバレル」モチーフをローターと一体化するように配置。ケースバックそのものを007の世界へと変えている。
付属するブルーのオメガ製ボックスにも「007」のメダリオンをセット。遠目には端正なブルーのシーマスター、しかし細部を覗き込めばボンドの秘密が次々と姿を現す。その控えめな遊び心こそ、このモデル最大の魅力である。



オメガ〈シーマスター ダイバー300M スペクター〉
一方、“悪の側”を担うのが〈シーマスター ダイバー300M スペクター〉だ。基本的な構成はブルーダイヤルのジェームズ・ボンドモデルと共通。ケースやブラッシュ仕上げのステンレススティール製メッシュブレスレットは同じで、ムーブメントにも約55時間のパワーリザーブを備えるコーアクシャル マスター クロノメーター キャリバー8806を搭載する。
もちろん、最大の違いはその表情にある。ダイヤルはブルーからブラックへと一変し、表面には細かな粒状のテクスチャーを施した。同じくブラックのセラミック製ベゼルと相まって、スペクターの名にふさわしい、精悍でどこか不穏な雰囲気を漂わせる。
ボンドモデルとは異なり、ダイヤルに007を思わせる隠しモチーフはない。その代わり、時計を裏返せばスペクターの存在感が一気に炸裂する。
ローターに大胆にあしらわれているのは、タコを思わせるおなじみのスペクターのシンボルだ。ケースバックをほとんど占拠するほどのサイズで、その姿はまさに秘密結社の紋章そのもの。これが実に格好いい。
007映画を観ていて悪役を応援することはまずないだろう。しかし時計となれば話は別だ。このブラックのシーマスターを身に着けて、“悪の側”に心を奪われるのも悪くない。付属するブラックのプレゼンテーションボックスにも、スペクターのシンボルを配置。ブルーのボンドか、ブラックのスペクターか。これはなかなか悩ましい選択になりそうだ。



オメガ〈シーマスター ダイバー300M ジェームズ・ボンド&スペクター リミテッドエディション〉
しかし、オメガの仕掛けはこれだけでは終わらない。ステンレススティール製の2モデルに加え、ジェームズ・ボンドとスペクター、それぞれをテーマとした特別なリミテッドエディションも用意された。いずれもプラチナゴールド製ケースを採用し、各77本のみが製作される。
ボンドモデルでまず目を奪うのが、ホワイトゴールド製ダイヤルだ。ブルーPVDによるグラデーションで、007映画を象徴する「ガンバレル」を大胆に表現。ブルーセラミック製ベゼルインサートを組み合わせ、ケースバックにもブルーとゴールドでガンバレルのモチーフをあしらっている。
対するスペクターモデルは、ダークグレーのダイヤルいっぱいに、タコを思わせるスペクターのシンボルを描いた。ブラックセラミック製ベゼルインサートを合わせ、ケースバックではブラック仕上げのローターにムーンシャイン™ゴールド製のスペクターのシンボルをセット。ボンドモデルとは対照的な、妖しくダークな世界観を作り上げている。
特別なのは時計だけではない。専用のプレゼンテーションボックスには、交換用NATOストラップとストラップ交換ツールをはじめ、カフリンクス、コードブレスレット、ルーペ、レザー製トラベルポーチとカードホルダー、さらに真正性を証明する証明書まで収められる。
そして、このリミテッドエディションにはもうひとつ重要なポイントがある。ボンドとスペクターは、それぞれ単品では販売されない。正義と悪、宿命の両者を揃えてこそ完成する――そんな007らしい趣向まで含めて、まさに特別仕様と呼ぶにふさわしいコレクションだ。


Brands:Omega
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