1956年に誕生した〈レディバード〉から70年。ブランパンは、その小型機械式時計づくりの系譜を現代へとつなぐ新作〈ブランパン Lady B〉を発表した。直径わずか19mm、体積2.9cm³の丸みを帯びたケースにマニュファクチュール キャリバー615を収め、時計とジュエリー、そしてオブジェの境界を軽やかに越えていく。そこに込められているのは、小ささそのものを目的とするのではなく、限られた空間の中で本格的な機械式時計を成立させるという、ブランパンが70年以上にわたり追求してきた哲学だ。
Blancpain Lady B: A Mechanical Jewel Reimagining the Ladybird Legacy
〈ブランパン Lady B〉──体積2.9cm³の“メカニカルジュエリー”
1956年に誕生した〈レディバード〉から70年。ブランパンは、その小型機械式時計づくりの系譜を現代へとつなぐ新作〈ブランパン Lady B〉を発表した。直径わずか19mm、体積2.9cm³の丸みを帯びたケースにマニュファクチュール キャリバー615を収め、時計とジュエリー、そしてオブジェの境界を軽やかに越えていく。そこに込められているのは、小ささそのものを目的とするのではなく、限られた空間の中で本格的な機械式時計を成立させるという、ブランパンが70年以上にわたり追求してきた哲学だ。
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by Revolution Japan. Sep 19, 2026 |
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▲ ベティ・フィスター。1912年、16歳でブランパンに入り、その後、製造・技術・営業部門を担う。1933年に創業家7代目フレデリック=エミール・ブランパンが死去すると同僚アンドレ・レアルとともに会社を引き継ぎ、スイスの主要時計メゾンで初の女性CEO/オーナーとなった。1950年には甥のジャン=ジャック・フィスターが経営に加わり、ブランパンは大きな発展の時代を迎える。
女性用時計が、単に男性用時計を小さくした存在として扱われることも珍しくなかった時代。ブランパンは早くから、女性のためにも本格的な機械式時計が必要だと考えていた。その中心にいたのが、ベティ・フィスターである。
1912年、16歳でスイス・ヴィルレのブランパンに見習いとして入り、1933年には同僚アンドレ・レアルとともにマニュファクチュールを取得。その後、フィスターは200名を超える従業員を擁する時計製造会社を率いた初の女性となった。女性の参政権さえまだ認められていなかった時代のことである。

▲ ブランパンの長い歴史の中でも、最も重要な時計のひとつ〈レディバード ブレット〉(1956年)。量産丸型機械式ムーブメントとして世界最小を誇った。
彼女がとりわけ力を注いだのが、女性のための機械式時計だった。そして1956年に誕生したのが、初代〈レディバード ブレット〉である。搭載された手巻きキャリバーR55は、直径11.85mm、厚さ3.7mm。当時、量産された丸型機械式ムーブメントとして世界最小を誇った。
単に小さかっただけではない。輪列に5番車を追加してエネルギー伝達を制御し、さらに小型ムーブメントでは省かれることも多かった耐衝撃機構をテンプに組み込むことで、小型化と堅牢性を両立していた。
そして、その誕生から70年を迎える2026年。ブランパンは、この思想をまったく新しい姿で表現した。それが〈ブランパン Lady B〉だ。

直径19mmではなく、「2.9cm³」という時計
〈ブランパン Lady B〉はケース径19mm、厚さ13.2mm。しかし、ブランパンが強調するのは、2.9cm³というその体積だ。磨き上げられた小石のように丸みを帯びたケースは、一般的なラウンドウォッチとも、いわゆるシェイプウォッチとも異なる。ラグすらなく、ストラップはケース背面側に設けられた開口部を直接通り抜けている。平面から時計をデザインするのではなく、最初から“立体”として考える。まさに「腕元に纏う、機械式のバブル」である。
そして〈ブランパン Lady B〉の“B”には3つの意味が込められている。ひとつは、ベティ・フィスターのBetty。もうひとつは、泡のような造形のBubble。そしてジュエリーを意味するBijouである。

▲〈ブランパン Lady B〉に搭載されるキャリバー615。
ジュエリーのサイズに、本格的な自動巻き
小さく柔らかな外観とは対照的に、その内部は紛れもない本格機械式時計だ。搭載するのは自動巻きのマニュファクチュール キャリバー615。直径15.70mm、厚さ3.90mmという小型ムーブメントながら、180個の部品と29石から構成される。
振動数は3Hz=毎時21,600振動で、パワーリザーブは38時間。ヒゲゼンマイにはシリコンを採用する。プレートにはコート・ド・ジュネーブが施されている。キャリバー615そのものは1995年に発表され、その後も継続的に改良されてきた実績あるムーブメントだ。

小さいからこそ難しい
〈ブランパン Lady B〉で興味深いのは、複雑機構を搭載していないにもかかわらず、その製造には極めて高い技術が要求されることだ。ケースはスティールと18Kレッドゴールドの2種類。ポリッシュ、サテン、マイクロブラストという異なる仕上げが、組み合わされている。
ダイアルは、温かみのあるオパリンカラー。ゴールド製のアプライドバーインデックスを配する。インデックスひとつのサイズは、わずか1.82×0.39mm。その上面と側面まで、きちんとポリッシュされている。全面を磨き上げたインナーリングは鏡のように周囲を映し込み、ケースの丸みをさらに強調する。

ストラップまでデザインの一部
ダブルトゥールのカーフレザーストラップは、ホワイト、ライトベージュ、ダークベージュ、バーガンディ、フューシャパープル、クラシックブルーの6色を用意。
10mm幅の細身のストラップをケース背面のスロットへ通す構造で、簡単に交換できる。ラグを消したことで、ストラップそのものがケースの造形を邪魔せず、時計というよりブレスレットやジュエリーに近い印象を生み出している。
70年前、ブランパンが〈レディバード〉で証明したのは、「小さな時計だから簡単なのではない」ということだった。そして〈ブランパン Lady B〉もまた、その考え方を受け継ぐ。
複雑さとは、必ずしもトゥールビヨンやミニッツリピーターのような複雑機構だけを意味するものではない。わずか2.9cm³という空間の中に、デザイン、仕上げ、装着性、そして機械式時計としての本質を完全な形で成立させることもまた、ひとつの高度なウォッチメイキングなのである。
〈ブランパン Lady B〉は、70年前にベティ・フィスターが提示した「女性のための本格的な機械式時計」という思想を、2026年のブランパンが“メカニカルジュエリー”として生まれ変わらせた時計なのだ。
Tech Specs
〈ブランパン Lady B〉 ケース:ステンレススティールまたは18Kレッドゴールド、直径19mm、厚さ13.2mm、体積2.9cm³ ムーブメント:マニュファクチュール キャリバー615、自動巻き、3Hz(21,600振動/時)、シリコン製ヒゲゼンマイ、パワーリザーブ約38時間 部品数:29石、180部品 ストラップ:ダブルトゥール カーフレザー製、ホワイト/ライトベージュ/ダークベージュ/バーガンディ/フューシャパープル/クラシックブルー ¥1,584,000(ステンレススティール) ¥2,420,000(18Kレッドゴールド)
Brands: Blancpain
