Audemars Piguet’s CEO, Ilaria Resta, talks about her mission to lead boldly
オーデマ ピゲCEO、イラリア・レスタが語る未来
前体制からバトンを受け継いだ彼女が描く、ブランドにおける革新、情熱、そして真のエモーションの創出とは。
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by Wei Koh . Mar 18, 2024 |
新体制の幕開け
フランソワ-アンリ・ベナミアスが、トラヴィス・スコット(カクタス・ジャック:トラヴィス・スコットが設立したブランド兼レコードレーベル)とのコラボレーションモデル発表会でマイクを置いたとき、それは一つの時代の終わりを決定づける瞬間となった。そして、彼がオーデマ ピゲの指揮を執った10年間によって、彼の名は時計界における偉大なリーダーの一人として、その歴史に深く刻まれることになるだろう。
彼は、わずか10年でオーデマ ピゲの年間売上高を6億スイスフランから、23億スイスフランという驚異的な数字へと押し上げた人物である。だが何よりも重要なのは、ベナミアスがオーデマ ピゲというブランドの資産価値を、高級時計の枠を超え、いわば「ラグジュアリー界の神域」へと昇華させたことにある。

▲ スイス、ル・ブラッシュにあるミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ
彼が手掛けた戦略により、すべての〈ロイヤル オーク〉に対して数倍、数十倍もの購入希望者が殺到し、需要が供給を圧倒的に上回るという劇的な需給ギャップが生み出された。ジェイ・Zからマーベルに至るまで、彼が仕掛けたありとあらゆるコラボレーションに対しては賛否両論あるかもしれない。しかし、オーデマ ピゲが爆発的な世界的ブレイク(クリティカル・マス)を果たした最大の理由は、まさにブランドを現代社会の「時代精神(ツァイトガイスト)」と結びつけるという、彼の先見の明にあったのだ。
ベナミアスはレジェンド中のレジェンド、時計界のニーチェが言うところの超人といっても過言ではない。しかし今、新しいCEOがその指揮を引き継いだのだ。
新CEOの名前はイラリア・レスタ。彼女が時計業界の外から臆することなくやってきたことは、今や誰もが知るところだ。さて、前置きはこれくらいにして、本題に入ろう。

▲ オーデマ ピゲ CEO、イラリア・レスタ(2024年1月CEO就任)
イラリア・レスタは極めて聡明な人物である。彼女は自らのブランドの本質を深く理解している。すなわち、オーデマ ピゲの最大の価値とは、その根底において、並外れた恐れ知らずの精神、そして革新への妥協なき情熱、他とは違うことを恐れない勇気にあるということを彼女は完璧に理解しているのだ。
そして彼女は、この価値をさらに先の未来へと守り抜き、高めていくことに、並々ならぬ決意を抱いている。
インタビューのために私の隣に腰を下ろすと、彼女は私の1978年製〈ロイヤル オーク 5402BA〉に目を留め、褒めてくれた。そして、あえて磨き(ポリッシュ)をかけずに使い続けている私の姿勢に、賞賛の言葉を贈ってくれたのだ。
彼女は身を乗り出し、静かに私の目を見つめた。その立ち居振る舞いからは、自らの使命の核心に触れようとする強い意志がはっきりと伝わってきた。
その意志をしっかりと胸に刻み込んだところで、いよいよインタビューが始まった。
成長と戦略
Q: オーデマ ピゲは2023年に過去最高の売上高23億スイスフランを達成し、ブランド価値も向上しています。今後、生産量を急激に増やしすぎれば、ブランドの希少性を損なうリスクがあります。そこで、メンズウォッチの価値を守りつつ、レディース部門を成長の原動力として注力するという考え方がありますが、それが現在の計画なのでしょうか?
ブランドの成長は、成功のための一つの要素にすぎません。オーデマ ピゲでの旅の始まりにおいて、私は成長だけに過度に集中したくありません。ブランドのすべての基盤が健全であることを確認し、長期的な成長を可能にしたいと考えています。これが現段階での私の使命であり、執着と言っても良いでしょう。なぜなら、基盤が強固であれば、成長は必ずついてくるからです。
もちろん、その気になれば二桁成長も可能でしょう。製作できる時計の数よりも、はるかに多くのお客様に待っていただいている状態ですから。しかし、私たちは完璧さへの探求、最高峰の仕上げ、そして一切の妥協を許さない時計作りを貫いています。だからこそ、あえて生産数を制限しているのです。私たちは、膨大な手作業でのみ時計を製造できると決めているからです。
成長に執着はしません。代わりに、私は「未来の革新」に執着します。新素材、新機構、そして新キャリバー。未知の領域を切り拓き、新たな発見を追い求めるという志には、膨大な人的努力と研究開発、そして言うまでもなく、多額の資金が必要となります。
例えば、私たちが新たに開発したカモフラージュ模様のゴールドやセラミックを見てください。これらの新素材を生み出すためには、まったく新しい製造プロセスを開発する必要がありました。
発見とは、試行錯誤のプロセスです。非公開企業(プライベートカンパニー)である私たちは、たとえ他から非効率に見えたとしても、そこに注力することを自ら選択できるという大きな強みを持っています。なぜなら、結局のところ、創造性こそがこれまでも、そしてこれからも私たちの最大の資産だからです。
Q: 「恐れない勇気」がブランドにとって非常に強力な価値であると話しました。詳しく説明してください。
オーデマ ピゲの素晴らしい点は、まさに本物の「ディスラプター(創造的破壊者)」であるということです。これは、ジョン・メイヤーとのコラボレーションによる〈ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー〉限定モデルの発表時に彼が話していたことでもあります。私たちは、「予想外の驚き」を創り出したいのです。
無理やり破壊的イノベーション(変革)を起こそうとして、少し不自然に感じる企業もあります。しかし、オーデマ ピゲの創造的なプロセスを見れば、それが私たちのDNA(遺伝子)に根ざしたものであると理解できるでしょう。
私たちは原因と結果、インプットとアウトプットを見ていません。クリエイティビティを強要されるようなタイムラインや、画期的な成果を強制的に発表させられる期限など、私たちには存在しません。そうではなく、私たちはスタッフに有意義な創作の自由を与え、時計が真に完成した時にのみ発表するのです。
外部からは、オーデマ ピゲのクリエイティブなプロセスはカオス(混沌)で、型破りで、無秩序に映るかもしれません。しかし、それこそが私が愛する部分なのです。
なぜなら、そのカオスの中にこそ美しさがあるからです。1972年の〈ロイヤル オーク〉、1978年の〈パーペチュアルカレンダー〉、1993年の〈ロイヤル オーク オフショア〉、2002年の〈ロイヤル オーク コンセプト〉、2016年の〈ロイヤル オーク ダブルバランスホイール オープンワーク〉、そして2021年からのマーベルとのコラボレーションといった、当社の基盤となる数々の成果を振り返ってみてください。型破りな創造性は、常に社内の誰かのアイデアから生まれ、そして、それらは最初は周囲を不安にさせるようなアイデアだったのです。

▲ 左:オーデマ ピゲ 〈ロイヤル オーク 5402ST〉(1972年) 右:オーデマ ピゲ初のパーペチュアルカレンダー Ref.5548(1978年)

▲ 左:オーデマ ピゲ〈ロイヤル オーク オフショア クロノグラフ〉Ref.25721ST.OO.1000ST.01(1993年) 右:オーデマ ピゲ〈ロイヤル オーク ダブル バランスホイール オープンワーク〉Ref.15407ST.OO.1220ST.01(2016年)
それはオーディエンスに挑戦を突きつけるものでした。社内の私たちにとっても挑戦でしたが、私はそこが大好きです。SNSで批判を目にすると落ち込んでしまう人もいますが、私は全く気になりません。

▲ マーベルとのコラボレーション第1弾〈ロイヤル オーク コンセプト “ブラックパンサー”フライング トゥールビヨン〉限定モデル(2021年)
ありきたりで、誰にでも受け入れられる民主的な形というのは、「多くの人にとって悪くない」という程度のもので、結局は「誰にとっても最高ではない」ということ。私はむしろ、人によって評価が真っ二つに分かれるような時計を好みます。そこには本物のエモーションが宿っているからです。私たちにとって、感情を揺さぶるものを作り出すことこそが、すべてなのですから。
私はいつも言います。「四角いものが欲しいのに、皆がそれに手を加えることを許せば、それは丸くなってしまう」と。私は丸ではなく四角が欲しい、つまりコンセプトにおける「正確さ」「独自性」「大胆さ」を求めており、それを最後まで貫き通したいのです。
私は社内の誰もが画期的なアイデアを出せる環境を維持したい。ゴーサインが出たら、そのアイデアは決して妥協させず、変更や質を落とす行為は一切させない方針です。
CEOとして、あえて困難に立ち向かい、賛否両論ある課題にも積極的に取り組む姿勢、素晴らしいと思います。歴史を振り返れば、それこそが常にAPの成長の原動力となってきましたから。
自分のキャラクターを活かし、どんな会社に行ってもその場所にある革新と創造性の精神を守り抜くことができれば、必ず成功をつかみ取れます。一方で、組織を弱体化させるのは、自分の考え方やルールを押し付けて、組織を変えようとする人たちなのです。
私はこの創造性を守り抜きたいと考えています。それこそが、オーデマ ピゲを何世紀にもわたって存続させる原動力だからです。新しいことに挑戦することを恐れない、不器用でクリエイティブなはみ出し者たちというイメージ、このアントレプレナーシップ(起業家精神)こそが、私が愛してやまないものであり、まさにブランドが築き上げてきた礎なのです。
ですから、私たちの指針には「顧客に愛されるものを作らなければならない」「市場を破壊しなければならない」「他社に勝たなければならない」といった言葉は一切ありません。オーデマ ピゲには、そのような考えは存在しないのです。
ここにいる全社員が、限界を超えるための「創造」に情熱を燃やしているのです。

▲ この〈ロイヤル オーク “ジャンボ” エクストラ シン〉は、コレクションで初めてバルクメタリックガラス(BMG)を採用。この素材は、ベゼル、ケースバック、そしてブレスレットのリンクに使用されている。
オーデマ ピゲのチーフ インダストリアルオフィサー、ルカス・ラッジが注力しているのは、バルクメタリックガラス(BMG)のような新素材の開発です。金属の分子構造を変えることで、これまでの常識を超えた高いパフォーマンスを引き出そうとしています。これは時計製造の世界に、極めて実質的な進化をもたらすはずです。
これこそが真の変革なのです。営利目的で意図的に仕組まれた変革は、製品の端々にそれが透けて見えてしまい、嘘っぽく感じられてしまいます。
成功を予測することばかりに時間を費やしているようでは、決して成功を掴むことはできません。
Q: あえて厳しい質問をさせてください。オーデマ ピゲの顧客への接し方には、ある種の“二面性”があるように感じます。あなたは素晴らしい「AP ハウス」を創り上げ、購入から2年間時計の損傷や盗難を補償する「AP カバレッジサービス」という驚くべき画期的なサービスも打ち出しました。その一方で、新規の顧客たちは、時計一本を買うために個人情報をヒアリングされることストレスを感じているように思います。
おっしゃる通りの乖離があることは認識しており、顧客体験の面で私たちがまだ至らない点があることも事実です。しかし、より多くの方々に門戸を広げられるよう、現在、真摯に取り組んでいます。
新規のお客様にお越しいただく際、課題となっているのが供給数(在庫)の少なさです。販売ネットワークが限定的であることも一因となっており、現在、販売拠点やブティックの数は限られています。

▲ AP ハウス ミラノ
ですが、正直なところ、私たちのネットワークの素晴らしさは「広さ」ではなく「深さ」にあります。新しい出会いを増やすために、今ある大切な信頼関係を損なうようなことは、決してしたくありません。
「量」と「質」のどちらを取るかと聞かれれば、私たちはいつだって「質」を選びます。その一方で、より多くの方々にブランドを知っていただくために「AP LAB」を立ち上げました。門戸はいつでも開いています。ぜひ、どなたでも気軽にお越しください。
ミラノのような大きなAP ハウスを開設する動機もそこにあります。これにより、より多くの潜在的な顧客を受け入れ、彼らにオーデマ ピゲや一般的な時計製造について教えることができるのです。
Q: APの販売員が果たすべき使命は何ですか?
私たちは、お客様一人ひとりのライフスタイルに寄り添うことを大切にしています。私自身が、正体を隠して(お忍びで)オーデマ ピゲのブティックを訪れた時の経験をお話しします。
担当の方と1時間半ほど会話を重ねるうちに、自分が購入しようと思って店に入ったモデルが、実は自分のライフスタイルや個人的なスタイルには合っていないことに気づかされたのです。こうした対話や交流は非常に重要です。なぜなら、それによってお客様との関係をより深め、その方の人生に真にふさわしい一本を提案できるようになるからです。
実は、新しいお客様の多くは先入観を持ってご来店されます。友人が持っているから、あるいは今これがトレンドだから、という理由です。しかし、実際にブランドの深い部分に触れてみると、その人には別の商品の方がずっとフィットする、ということもよくあるのです。
〈CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ〉と複雑機構
Q: 〈CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ〉について教えてください。オーデマ ピゲは単一製品ブランドだという批判もありますが、CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲはこれに対する答えなのでしょうか?
〈CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ〉は、長期的に戦略的な柱となる価値があることを毎月証明してくれています。現在、私たちのビジネスの約12%を占めており、お客様からの関心を集め続けています。
最近までCODE 11.59 バイ オーデマ ピゲに関しては、ほとんどが41mmでの展開だったのです。

▲ 左:〈CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ オートマティック〉 38 mm、ライトブルーのダイヤル 右:〈CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ クロノグラフ〉 41 mm、ブラックダイヤル
それにもかかわらず、この時計の支持(フォロワー)は劇的に拡大しました。38mmモデルを発売したことで、全く新しい顧客層を開拓でき、さらにステンレススティールモデルを発表したことで、これまでは接点のなかった新たな層にとっても大きな注目を集める存在になったのです。
そのため、私たちはこの時計を、さらなる成長と拡大を続けるための主要な柱(ピラー)と捉えています。また、時計製造の視点からも、複雑機構(コンプリケーション)を搭載するのにこれ以上ないほど素晴らしいケースなのです。CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲのケースがなければ、昨年(2023年)のジュネーブ グランプリでの金の針賞(Aiguille d’Or)を受賞した〈CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ ウルトラ コンプリケーション ユニヴェルセル (RD#4)〉のような時計は決して作れなかったでしょう。

▲〈CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ スター ホイール〉
また、詩的な複雑機構を備えた新しい〈CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ スター ホイール〉のような時計も、作ることができなかったはずです。私たちは、常に時計の性能の限界に挑戦し、学び続けています。
RD#4を実現できたのは、〈ロイヤル オーク コンセプト スーパーソヌリ (RD#1)〉、〈ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー ウルトラ シン (RD#2)〉、そして〈ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン エクストラ シン (RD#3)〉があったからこそ、同時にCODE 11.59 バイ オーデマ ピゲのケースのおかげでもあります。
Q: RD#4は、取扱説明書を読むことのない今日の、グランドコンプリケーションの顧客のニーズに応える素晴らしい時計です。この時計は、将来の複雑機構の方向性を示しているのでしょうか?
まさに、私たちが目指すところです。〈ユニヴェルセル〉の開発目的は、世界で最も複雑な時計を作ることではありませんでした。私たちは、そのことに関心がないのです。
私たちはむしろ、顧客のライフスタイルに正確に寄り添うことに感心を持っていました。これは非常に重要なことです。なぜなら、私たちの成長を支えているのは、主に複雑機構(コンプリケーション)だからです。

▲〈CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ ウルトラ コンプリケーション ユニヴェルセル (RD#4)〉
複雑機構(コンプリケーション)と言うとき、私はパーペチュアルカレンダー、トゥールビヨン、ミニッツリピーター、そしてグランドコンプリケーションを指しています。このセグメントが示す成長率は、他のすべてのモデルを合わせたものよりもはるかに強く、群を抜いています。
オーデマ ピゲにおける大きな変化の一つは、最初から複雑機構を求めて新規のお客様が来店されるケースが増えていることです。パーペチュアルカレンダーや、あるいはトゥールビヨンから入られる新規のお客様が非常に多くなっています。
ジョン・メイヤーは、ロイヤル オークのパーペチュアルカレンダーがこの複雑機構を新しい世代にとって身近なものに変えたと語っていましたが、まさにその通りです。
私としては、トゥールビヨン、特にRD#3も、この機構を新世代にとって意義あるものにしたと付け加えたいです。ですから、複雑機構は私たちにとって極めて重要なのです。

▲〈ロイヤル オーク フライング トゥールビヨン エクストラ シン (RD#3)〉、37mm、18Kホワイトゴールド
複雑機構こそが当社の未来であると認識しています。そのため、当社の複雑機構は、業界最高レベルの人間工学(エルゴノミクス)に基づいた設計であることを大事にしたいと考えています。
ここで言う人間工学とは、時計が手首にどのようにフィットするか、と考えてください。私たちは、心地よい装着感と、すべての要素において完璧な感触を最大限に高めるために、あらゆる努力をしてきました。
しかし、ライフスタイルに関連する人間工学、つまり時計が顧客の日常生活にいかにフィットするかという観点も存在します。私たちのトゥールビヨンは、スポーツをする時に着用できるのでしょうか?私たちのスーパーソヌリは防水なのでしょうか?ユニヴェルセルは、取扱説明書を一度も読まずに操作できるのでしょうか?
使いやすさと、ライフスタイルに根ざした人間工学が、これからの私たちの焦点となります。また、複雑機構を女性の腕とライフスタイルの両方において人間工学的に適合させたのはオーデマ ピゲである、という事実も忘れてはなりません。
〈ロイヤル オーク コンセプト フライング トゥールビヨン “タマラ・ラルフ”〉のような時計はトゥールビヨンを現代にふさわしいものにし、37mmのRD#3は、それを女性にとって人間工学的に意味のある使いやすいものにしました。
コラボレーション
Q: ジョン・メイヤーとのコラボレーションモデルが大好きです。彼と話してみて、彼の情熱や知性に感銘を受けました。このコラボレーションはあなたにとってどのような意味がありますか?
ジョンは本物の時計愛好家です。彼は、最高の意味での真の「時計オタク」です。しかし同時に、彼は私たちの限界を押し広げる手助けをしてくれ、それが私たちをより良くしてくれます。

▲ ジョン・メイヤーと〈ロイヤル オーク パーペチュアルカレンダー “ジョン・メイヤー”〉、ダークブルートーンに輝くダイヤルはエンボス加工「クリスタルスカイ」仕上げ
昨日、私たちは彼の肩書きを「Creative Conduit((ブランドに創造やアイデアを提供する役割))」としました。なぜなら、彼の最大の役割は、外部の世界とAPの世界を結ぶ橋渡しとなることだからです。クリエイティブな人間である私たちにとって、芸術的な視点は非常に重要です。
私たちは音楽、映画、アート、そしてスポーツの「時代の精神(ツァイトガイスト)」の中にいます。私たちは永遠に若々しく、永遠に現代的であり続けるブランドでなければなりません。ですから、時計ブランドとして社会から孤立することは許されないのです。つまり、社会の中心で生きなければなりません。あなたが言ったように、時計を覗き込むことは、未来を覗き込むようなものです。それこそが、これらのパートナーシップの真意です。つまり、未来への架け橋となることなのです。
私たちはまもなく創業150周年を迎えます。ですから、単に過去150年を振り返るだけでなく、これからの150年がどうあるべきかを考えようとしています。
このジョン・メイヤーとのコラボレーションモデルが、最後のパーペチュアルカレンダーである理由はそこにあります。間もなく、未来を担う新しいパーペチュアルカレンダーが登場するからです。もし、私たちの革新の精神を象徴し、永遠に語り継がれるムーブメントを一つ挙げるとすれば、それはこの新しいパーペチュアルカレンダーになるでしょう。
Q: あなたにとって、コラボレーションを推し進めるきっかけは何ですか?
いかなるコラボレーションも、共通の価値観、すなわち「自らをさらなる高みへと押し上げたい」という欲求に根ざしたものでなければなりません。常に守らなければならないのは、私たちが以前よりも優れたマニュファクチュールへと進化することです。
賛否両論を巻き起こしたマーベルとのコラボレーションを例に挙げれば、それは芸術的な観点から私たちにとって大きな挑戦でもありました。トゥールビヨンを搭載したムーブメントの中に、立体的なキャラクターを配置するのは容易なことではなかったからです。たとえこれらが技術的な課題ではなかったとしても、メティエダール(伝統工芸技術)の視点からは、依然として大きな挑戦なのです。

▲〈ロイヤル オーク コンセプト トゥールビヨン “スパイダーマン”〉© 2023 MARVEL
私たちのコラボレーションにおいて、商業主義が主導権を握ることは決してありません。現在、そして未来にわたるすべてのパートナーシップの根底にあるのは、常に「自らを高め、限界に挑み続ける」という確固たる信念です。
最後に
Q: 時計に興味を持ち始めた頃は、〈ロイヤル オーク オフショア〉ばかり追いかけていました。でも、その輝きが少し薄れてしまった今、このコレクションの魅力をもう一度取り戻すには何ができるのでしょうか?
その答えは、常に過去(原点)に根ざしていると私はいつも言っています。今後は、オフショアを、その起源に忠実な、スポーティで遊び心があり、カラフルで、アウトドアを愛する人の生活にフィットするモデルとして再ポジショニングしていきます。
Q: スポーティだからといって、大きくなければならないわけではありません。過去には、素晴らしい中間サイズの〈ロイヤル オーク オフショア フルカレンダー〉をカラフルな文字盤で作っていましたね。
辛抱強くお待ちくださいとしか言えません。
Q: 最初の質問に戻りますが、レディースウォッチの分野はどれほど重要ですか?
私たちはますます多くの女性たちと接する機会に恵まれており、彼女たちが何を求めているのかに耳を傾けています。ジュエリーウォッチへの需要は確かにあります。
しかし同時に、女性向けのコンプリケーション(複雑機構)ウォッチに対する需要も存在します。女性のためのコンプリケーションは、必ずしも男性向けと同じである必要はありません。それらは特定のキャリバーやケースサイズに収められる必要があります。ここでも重要になるのは、デザインと装着感の両面におけるエルゴノミクス(人間工学)の追求です。
ひとつ具体例を挙げましょう。当社の「スターホイール」は、女性からも絶大な支持を集めている素晴らしいタイムピースです。しかし、現行モデルはケース径41mmのワンサイズしか存在しません。時の詩的な表現、そしてデザインのステートメントとして、この時計は女性にとって非常に魅力的な存在です。だからこそ、私たちはこの課題(サイズの最適化)に真摯に取り組む必要があると考えています。
Brands:Audemars Piguet
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