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オーデマ ピゲ〈ロイヤル オーク コンセプト〉の進化論

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マーベルのスーパーヒーローから最新のKAWSコラボまで──〈ロイヤル オーク コンセプト〉コレクションは、スタイルと創造性でウォッチメイキングの限界を押し

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How Audemars Piguet’s Royal Oak Concept Line Evolved

オーデマ ピゲ〈ロイヤル オーク コンセプト〉の進化論

マーベルのスーパーヒーローから最新のKAWSコラボまで──〈ロイヤル オーク コンセプト〉コレクションは、スタイルと創造性でウォッチメイキングの限界を押し広げてきた。

by Neha S Bajpai . Nov 20, 2024

驚きのコラボレーション

 オーデマ ピゲによるマーベルとのコラボレーションは、ハイテク時計とポップカルチャーを融合させる試みだった。2021年の〈ロイヤル オーク コンセプト フライング トゥールビヨン〉に始まり、2023年の〈スパイダーマン〉エディションへと続いた。

 ダイヤル上には今にも動き出しそうな3Dスカルプチャーのヒーローが配置され、世界を驚かせた。これらの限定モデルは、APのクラフツマンシップを誇示しただけでなく、オートオルロジュリーの世界に新しいファンを呼び込んだ。

 一部のピュリストは眉をひそめたものの、マーベルとのコラボはまさにゲームチェンジャーであり、コミックカルチャーとラグジュアリーの世界を橋渡し役になった。

 そして今回、KAWSことブライアン・ドネリとの最新コラボが登場したことで、その試みは単なる時計づくりの枠を超え、新たな段階に進んだ。時計であり、ステータスシンボルであり、そして身につけられるアート。そのすべてを兼ね備えた存在だ。

 KAWSのサクセスストーリーは、まさに伝説的だ。ニューヨークのバス停をタグ(落書き)し始めた彼は、90年代末に発表した限定ビニールトイが日本で爆発的人気となり、一気にスターダムへ。そこから巨大な立体作品、カラフルなペインティング、ナイキやコム・デ・ギャルソンとのコラボへと活動を広げていった。

 ちなみに、カニエ・ウェストのアルバムカバーも彼のデザインだ。

AP×マーベルが組んだ〈ロイヤル オーク コンセプト フライング トゥールビヨン  〉

オーデマ ピゲ〈ロイヤル オーク コンセプト トゥールビヨン “スパイダーマン”〉© 2023 MARVEL

オーデマ ピゲ〈ロイヤル オーク コンセプト トゥールビヨン “コンパニオン”〉

  KAWS とオーデマ ピゲのタッグは、オートオルロジュリーの世界に“遊び心”という新風を吹き込んでいる。しかし、APはどうやって、大胆でアーティスティックなコラボを展開しながらも、メゾンの技術的名声を守り続けているのだろうか。

 その答えを、オーデマ ピゲのチーフ インダストリアル オフィサー、ルーカス・ラッジが語ってくれた。

「私たちは、どんなコラボレーションでも、単にクールな時計を作るだけでなく、自らを超えた技術に挑戦しています。新しい領域に踏み込む必要があるのです。マーベルのときもそうでしたし、今回のコラボではさらにその先へ進みました。難しいのは、ふたつのクリエイティブ世界の融合です。通常の時計作りでは、デザインも機能も100%私たちがコントロールできます。しかしコラボでは、外部のビジョンが入ってくる。時計づくりの精密さとアーティストの自由をどう折り合わせるか——これが純粋な技術的課題よりはるかに難しいのです」

ロイヤル  オーク  コンセプトの旅路

 過去50年にわたり、オーデマ ピゲは時計づくりの“再定義”を続けてきた。ひとつのデザインやフォルムに固執するのではなく、常に技術的限界を押し広げることに注力してきたのである。

 そんなAPが2002年、ロイヤル オーク誕生30周年を祝して発表したのがコンセプト ウォッチ1(CW1)。これは、時計界における“コンセプトカー”そのものだった。大胆で、実験的で、そして未来のオートオルロジュリーを予告する革新的な技術を満載した、まさにゲームチェンジャーだったのである。

オーデマ ピゲ〈コンセプト ウォッチ 1〉(Image: Phillips)

左:オーストラリア出身のファッションデザイナー、タマラ・ラルフ。右:オーデマ ピゲ 〈ロイヤル オーク コンセプト フライング トゥールビヨン “タマラ・ラルフ”〉

 ロイヤル オーク コンセプト コレクションはオーデマ ピゲが技術革新を披露する重要なステージとなっている。マーベルのスーパーヒーロー、タマラ・ラルフのエレガンス、そして最新のKAWSによる遊び心……。その歩みは、ニッチな実験から、ブランドを象徴する存在へと成長した。

 ラッジは語る。

「ロイヤル オーク生誕30周年のために作られた最初のコンセプトは、もともとシリーズ化する予定などなく、150本限定のワンオフ作品でした。しかし、それが新しい探求の扉を開いたのです。私たちはこのコレクションを、表示方法から素材、装飾技法に至るまで、あらゆる要素を実験するためのプラットフォームとして位置づけました。当社の新しいイノベーションを投入し、学び続ける場所なのです」

2015年に“スーパーソヌリ”を初搭載した〈ロイヤル オーク スーパーソヌリ (RD#1)〉

 ロイヤル オーク コンセプト コレクションは、オーデマ ピゲにとって、ムーブメント、素材、人間工学の新境地を切り開くための実験場だった。同時に、伝統的なダイヤルを持たない“ダイヤルレス”の時計を最初に実現したシリーズのひとつでもある。

 2008年の〈ロイヤル オーク コンセプト カーボン〉は、フォージドカーボン、チタン、セラミックという異素材を組み合わせ、237時間のパワーリザーブと革新的なファンクションセレクターを搭載するなど、既存の枠を大胆に打ち破った。

 2011年にはこのアイデアを洗練させた〈ロイヤル オーク コンセプト GMT〉が登場し、GMT機能を加えつつ、より控えめで実用的な美観へと進化した。

 そして2015年、APは複雑クロノグラフの限界に挑み、〈ロイヤルオーク コンセプト ラップタイマー “ミハエル・シューマッハ”〉を発表。キャリバー2923は、単一のクロノグラフでありながら、独立制御できる2本のクロノ針を備え、ラップ計測を可能にする前代未聞の構造を実現した。

 こうした挑戦を積み重ねることで、ロイヤル オーク コンセプト コレクションは、APの技術的創造力と野心が最も濃密に凝縮されたダイナミックな実験プラットフォームへと育っていった。

“スーパーソヌリ”を世に知らしめた

 コンセプトの歴史におけるハイライトのひとつが、2015年の〈ロイヤル オーク コンセプト スーパーソヌリ(RD#1)〉の登場である。このモデルこそが“スーパーソヌリ”技術を取り入れた、現代最高峰の音量と音質を誇るミニッツリピーターであった。

 ラッジは語る。

「50センチ離れたところでもはっきり聞こえ、なおかつ現代の時計らしく防水性も確保したミニッツリピーターをつくりたかったのです。同時に、レギュレーター(ゴングの調速機)のノイズを抑え、外部環境に左右されず安定して美しい音が鳴るよう制御する必要がありました。そのために、私たちは“RDプログラム”を立ち上げ、スーパーソヌリのような画期的技術に集中して取り組んだのです。APのチャイム機構を、さらに極限へと押し広げるために」

〈ロイヤル オーク コンセプト ラップタイマー “ミハエル・シューマッハ”〉(2015年)のために開発された、世界唯一のラップタイマー専用クロノグラフ・ムーブメント、キャリバー2923。

 AP が、もっとも複雑な腕時計〈CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ ウルトラ コンプリケーション ユニヴェルセル(RD#4)〉の舞台として〈CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ〉を選んだのには理由がある。

 ブランドの革新へのアプローチはコレクションごとに分かれており、それぞれ独自の進化を担っているからだ。

 ラッジはこう説明する。

「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ では、伝統的な機械式機構を現代的なアプローチで探求しています。一方、ロイヤル オーク コンセプトは、素材や時刻表示のまったく新しい可能性を実験するための場です。ウルトラ シン機構を入れることもありません。あれはロイヤル オークの領域だからです」

 この探求の精神を象徴する一本が、〈コンセプト スプリットセコンド クロノグラフ GMT ラージデイト〉だ。クラシックなスプリットセコンド・クロノグラフを、現代的な視点で再解釈している。

   ラッジは続ける。

「スプリットセコンド表示を時計の中心に据えたまま、現代的な自動巻き機構の利点も取り入れたいと考えました」

 この革新的なアプローチによって、APはスプリットセコンド特有の伝統的な外観と操作性を保ちつつ、自動巻きならではの利便性を融合させることに成功した。まさに過去と現在をつなぐ橋渡しとなる進化と言えるだろう。

CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ ウルトラ コンプリケーション ユニヴェルセル(RD#4)

  ラッジはロイヤル オーク コンセプト コレクションの進化において、素材開発とムーブメント・アーキテクチャの重要性がさらに高まるという。

 ラッジはいう。

「われわれは素材開発に力を入れています。そして、さまざまな新しいアイデアを抱えています。また、ムーブメント構造のまったく新しい領域にも踏み出しています。そのために、より大きなケースを使う場合も出てくるかもしれません」

 オーデマ ピゲは長年にわたり、あらゆるコラボレーションを昇華させ、ハイアートと革命的テクノロジーをシームレスに融合し、もっとも印象的で心に残る作品へと結実させてきた。

 こうした革新への揺るぎない姿勢こそが、オーデマ ピゲをトップブランドたらしめているのだ。

 Brands:Audemars Piguet

Brand:Audemars Piguet
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