ヴァシュロン・コンスタンタンはメティエ・ダールの守護神だ。羽根細工、ガラス細工、折り紙、金糸刺繍、ペーパーアート、ウッドマルケトリー。6つのコンセプトウォッチにて、これらの工芸技法を42mmケースの中に凝縮させた。
Vacheron Constantin Miniaturises Six Crafts for the Animal Kingdom
ヴァシュロン・コンスタンタンが守る、6つの工芸技法
ヴァシュロン・コンスタンタンはメティエ・ダールの守護神だ。羽根細工、ガラス細工、折り紙、金糸刺繍、ペーパーアート、ウッドマルケトリー。6つのコンセプトウォッチにて、これらの工芸技法を42mmケースの中に凝縮させた。
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by Matthew De Jesus. Aug 28, 2026 |
工芸作家とのコラボレーション
ヴァシュロン・コンスタンタンは長年にわたり、時計製造における繊細かつ伝統的なメティエ・ダールのための専門工房を維持してきた。そこには、彫金、エナメル、ギヨシェ、ジェムセッティングといった技法が含まれる。
今回の最新プロジェクトでは、その領域をさらに広げ、通常は時計製造と結び付けられることの少ない6人の独立系工芸作家を起用。それぞれの技法を、時計文字盤という極小の世界へと落とし込んだ。
これらの時計は、メゾンの「One of Not Many Crafts Programme」の一環として発表され、「メティエ・ダール – 動物王国へ敬意を表して」と名付けられている。
全6本のコンセプトウォッチで構成され、それぞれ異なる動物を、対応する工芸技法によって表現している。具体的には、羽根細工で蛇、ガラス細工でタコ、マイクロオリガミでマンタの群れ、金糸刺繍で歩を進める虎、ペーパーアートでワニ、木象嵌でハヤブサを描き出している。
各作家は、ヴァシュロン・コンスタンタンの時計師やメティエ・ダールのスペシャリストと協力し、それぞれの素材と技法を小さな腕時計の中に封じ込めた。文字盤表面から風防までの間隔はわずか4mm以下。その限られた空間に収めるため、文字盤構造や固定方法、制作工程そのものを一から開発する必要があった。
6本すべてに搭載されるのは、自動巻きキャリバー 2460 G4。ヴァシュロン・コンスタンタンが2005年に開発したムーブメントで、ルーヴル美術館へのオマージュをはじめ、これまでの〈メティエ・ダール〉プロジェクトにも採用されてきた。
時刻表示は、文字盤外周に設けられた開口部を通して、時、分、曜日、日付を示す4枚のカラーマッチングされたディスクによって行われる。これにより中央部から針や数字を排し、工芸表現のための広いスペースを確保している。
羽根細工のヘビ

▲ ヴァシュロン・コンスタンタン〈メティエ・ダール – 動物王国へ敬意を表して -ヘビ〉Ref. 7630A/000G-H206
羽根細工作家ジュリアン・ヴェルミューレンとの協働によって生まれた〈メティエ・ダール – 動物王国へ敬意を表して -ヘビ〉Ref. 7630A/000G-H206では、草葉の間をうねる幻想的な蛇が描かれている。
驚くほど生命感にあふれた蛇は、文字盤面から約3mm立ち上がる立体的な造形で、その身体にはボリュームを与えるために新たに開発された金属製の土台が用いられている。
青と緑にきらめく鱗は、金属光沢を帯びた鮮やかな羽毛を持つ鳥ロフォフォールの羽根から切り出した200点以上の小片で構成され、それらをシルクペーパーの上に一つひとつ配置している。蛇の眼は18Kゴールドとエナメルで作られ、周囲の植物表現にはガチョウの羽根が用いられている。

▲ フランスの羽根細工作家、ジュリアン・ヴェルミューレン。
ミクロのスケールで作業するため、ヴェルミューレンは針を加工してマイクロスカルペル(極小のメス)を自作し、さらにごく微量の接着剤を塗布するための専用工具も、別の針を改造して作り上げた。リサーチや試作を含め、このプロジェクトには約250時間が費やされている。
この作品は18Kホワイトゴールド製ケースに収められ、リーフパターンを型押ししたグリーンのカーフスキンストラップを組み合わせることで、全体の世界観を完成させている。
ガラス細工のタコ

▲ ヴァシュロン・コンスタンタン〈メティエ・ダール – 動物王国へ敬意を表して -タコ〉Ref. 7630A/000R-H205
〈メティエ・ダール – 動物王国へ敬意を表して -タコ〉Ref. 7630A/000R-H205の中心を飾る透明なタコは、イタリア人ガラス作家シモーネ・クレスタニによって制作された。
高さ3.5mmの半透明のガラス製オクトパスは、深いブルーに仕上げた手彫りギヨシェのゴールド製文字盤ベースの上に浮かぶように配置されている。
クレスタニは極細のガラス棒を少しずつ溶かし、タングステン製の工具で成形しながら、このタコを段階的に作り上げた。触手や吸盤も一つひとつ丹念に形作られている。極細のガラスは再加熱すると表面張力によって縮んでしまうため、極めて慎重な作業が求められた。

▲ イタリアのガラス作家、シモーネ・クレスタニ。
ガラスという素材を扱ううえでは、透明性そのものも大きな課題となった。ガラスが重なるたびに、その下にあるギヨシェ模様が拡大されたり歪んで見えたりするため、クレスタニはガラスを過度に重ねることなく、触手が交差しているように見せる工夫を取り入れた。
開発には少なくとも1年を要し、最終的にはわずかに異なる4体のタコを制作。その中から完成形となる1体が選ばれた。ケースは18Kピンクゴールド製で、触手をモチーフにした型押しを施したブルーのカーフスキンストラップが組み合わされている。
折り紙のマンタ

▲ ヴァシュロン・コンスタンタン〈メティエ・ダール – 動物王国へ敬意を表して -エイ〉Ref. 7630A/000G-H204
〈メティエ・ダール – 動物王国へ敬意を表して -エイ〉Ref. 7630A/000G-H204では、ドイツを拠点に活動するマイクロオリガミ作家アーニャ・ミドリとの協働により、6匹の小さなエイが文字盤上を旋回するように配されている。
この作品のために、ミドリは実際のエイの写真や映像を丹念に研究し、そのプロポーションや動きを捉えたうえで、まったく新しい折りの工程を考案した。
エイは特別に染色した和紙を折って作られ、高さの異なる細い真鍮製のステムによって支えられている。これにより、エイの群れが水中を泳ぐ、躍動感のある情景が生み出されている。

▲ ドイツを拠点に活動するマイクロオリガミ作家、アーニャ・ミドリ。
エイはすべて、ミドリ自身の指先と爪、そして爪楊枝の先だけを使い、拡大鏡も用いずに折り上げられている。エイが泳ぐ舞台となるのは、深い青に仕上げた手彫りギヨシェのゴールド製文字盤ベースだ。さらに風防には、水面下で光が揺らめきく様子を描いた美しいモアレが施されている。
このプロジェクトの開発には2年以上を要し、初期の試作では1匹のエイを折るのに6時間かかったものもあった。ケースは18Kホワイトゴールド製で、波模様を型押ししたブルーのカーフスキンストラップが組み合わされている。
刺繍のトラ

▲ ヴァシュロン・コンスタンタン〈メティエ・ダール – 動物王国へ敬意を表して -トラ〉Ref. 7630A/000G-H207
〈メティエ・ダール – 動物王国へ敬意を表して -トラ〉Ref. 7630A/000G-H207では、手刺繍作家・テキスタイルアーティストのローラ・バヴァーストックとの協業により、金糸刺繍を時計の文字盤サイズにまで縮小して表現している。
トラの姿は、長さ1mm未満の極細9Kイエローゴールドおよびホワイトゴールドのワイヤーを、一つひとつ切り分けて構成。黒い縞模様にはセラミックコーティングを施した銅線を用い、目の表現だけでも10色のシルクを使い分けている。
背景には特別に染色したグリーンのシルクを使用し、その上に日本製の絹糸で草や植物を刺繍することで、トラが生息する自然環境を再現している。

▲ 英国を拠点に活動する手刺繍作家/テキスタイルアーティスト、ローラ・バヴァーストック。
金の含有量が高い素材を用いたので、伝統的な金糸刺繍で使われる金メッキのワイヤーに比べ、はるかに難しい課題となった。素材を縫い付けられる形状にねじり、コイル状に加工するため、新たな専用工具を開発する必要があった。バヴァーストックは、このプロジェクトのために特別に作られた直径わずか0.25mmの専用針を使用している。
作品の準備、刺繍、そして文字盤への取り付けまでには、約210時間が費やされた。時計は18Kホワイトゴールド製ケースに収められ、葉の模様を型押ししたグリーンのカーフスキンストラップが組み合わされている。
ペーパーアートのワニ

▲ ヴァシュロン・コンスタンタン〈メティエ・ダール – 動物王国へ敬意を表して -ワニ〉Ref. 7630A/000R-H202
マリアンヌ・ゲリーが手がけた〈メティエ・ダール – 動物王国へ敬意を表して -ワニ〉Ref. 7630A/000R-H202では、白いコットンペーパーによって、同じく白一色の風景の中を進むワニの姿が表現されている。
ひと目見ただけでも非常に印象的な作品だが、白い石彫を思わせるこのワニの立体造形が、実は紙で作られていると知ると、さらに驚かされる。
構成には厚さの異なる2種類の紙が使われ、ワニ本体には300g㎡のコットンペーパー、周囲の植物には250g/㎡の紙を採用。エンボス加工、レーザーカット、手作業による組み立てを経て、最終的な高さは約3mmに抑えられている。白一色の世界が、光と影、奥行きを際立たせている。

▲ フランスを拠点に活動するペーパーアーティスト/デザイナー、マリアンヌ・ゲリー。
ワニの鱗や、その周囲に配された小さな葉や枝を表現するため、彫刻を施した真鍮製の型を60〜70℃に加熱し、紙にプレスして模様を刻み込んでいる。強い圧力を伴うエンボス加工でも破れたり反ったりしないよう、素材には特殊な無酸性のコットンペーパーが選ばれた。
〈ペーパークロック〉は18Kピンクゴールド製ケースに収められ、葉の模様を型押ししたグレーのカーフスキンストラップが組み合わされている。
ウッドマルケトリーのハヤブサ

▲ ヴァシュロン・コンスタンタン〈メティエ・ダール – 動物王国へ敬意を表して -ハヤブサ〉Ref. 7630A/000R-H203
最後を飾るのは、今にも飛び立とうとするハヤブサだ。ヴァシュロン・コンスタンタン〈メティエ・ダール – 動物王国へ敬意を表して -ハヤブサ〉Ref. 7630A/000R-H203は、マルケトリー作家アンナ・ル・コルノとのコラボレーションによって生まれた。
文字盤には、色合い、木目、そして極小スケールでの彫刻に耐えられるかどうかを基準に選ばれた、12種類の木材が使われている。さらに、3種類のマルケトリー技法が組み合わされている。
背景には家具製作の技法を応用した円形マルケトリー、ハヤブサの胴体には複数の薄板を重ねて組み上げた後に手作業で彫刻する技法、そして大きく広げた翼には、羽根を一枚ずつ組み上げるために新たに考案された構造が用いられている。

▲フランスを拠点に活動するマルケトリー(木象嵌)作家、アンナ・ル・コルノ。
翼は文字盤の上に張り出すように配置され、その羽根の先端は風防の裏側すれすれにまで迫る。これによって、文字盤全体の立体感がいっそう強調されている。ル・コルノは制作にあたり、外科用器具に近い精密なメスや、極小の超硬ビット、手製の研磨工具を使用した。家具や大型の立体作品を手がける際に用いる通常の木工道具とは、まったく異なる装備が必要だったという。
文字盤を囲むのは18Kピンクゴールド製ケース。ストライプ模様を型押ししたブルーのカーフスキンストラップが組み合わされている。
共通する機械式のキャンバス
6本の時計は、ムーブメントとケースに加え、特別にデザインされた22Kゴールド製のローターをシェアしている。サファイアクリスタル製ケースバックから眺めることができるローターには、職人が使う道具から着想を得たモチーフが手彫りされ、クラフツマンシップへのオマージュが表現されている。
キャリバー 2460 G4は4Hzで振動し、約40時間のパワーリザーブを備える。6本はいずれも直径42mm、厚さ12.9mmで、防水性能は3気圧だ。
動物のモチーフは、ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史に繰り返し登場してきた。1826年に製作されたエナメル装飾の蛇をあしらった懐中時計、1910年のスカラベ(フンコロガシ)をモチーフにしたペンダントウォッチ、1996年の鳥類画家ジョン・ジェームズ・オーデュボンに着想を得たエナメルウォッチ、そして2022年のユニークピース〈レ・キャビノティエ トゥールビヨン ジョアイユリー – イポカンプ(タツノオトシゴ)〉などがその例である。

▲ ヴァシュロン・コンスタンタンの歴史的なエナメル装飾の蛇モチーフ懐中時計(1826年頃/左)、スカラベのペンダント(1910年頃/中)、そしてユニークピース〈レ・キャビノティエ・トゥールビヨン・ジュエリー – タツノオトシゴ〉(2022年/右)
〈メティエ・ダール – 動物王国へ敬意を表して -〉は、これまでとはまったく異なる素材と職人を迎えながらも、メティエ・ダールの守護者としてのブランドの伝統を受け継いでいる。
ヴァシュロン・コンスタンタンは6本すべてをコンセプトウォッチと位置づけており、提供されたプレスリリースでは、価格、生産本数、販売の有無については明らかにされていない。
Brands:Vacheron Constantin
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