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「大塚ローテック」「TAKANO」、伊勢丹新宿店にて世界初の常設展示!

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伊勢丹新宿店本館5階ウォッチフロアは、国内屈指の時計売り場として、常に愛好家から注目を集めてきた。ウォッチコレクターズウィーク2026がスタートした7月8日、さらなる注目を集めることが必至となる取り組みがスタートした。

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ŌTSUKA LŌTEC & TAKANO Debuts First Permanent Exhibition at Isetan Shinjuku

「大塚ローテック」「TAKANO」、伊勢丹新宿店にて世界初の常設展示!

「TAKANO」「大塚ローテック」両ブランドと、伊勢丹新宿店ウォッチバイヤーの熱意から実現した本企画。その舞台裏と、3氏の想いを特別インタビューで紐解く。

by Matsuami Yasushi. July 27, 2026 | Promotion

常設展示の背景

 伊勢丹新宿店本館5階ウォッチフロアは、国内屈指の時計売り場として、常に愛好家から注目を集めてきた。ウォッチコレクターズウィーク2026がスタートした7月8日、さらなる注目を集めることが必至となる取り組みがスタートした。

 多くの愛好家がその存在を知りながら、なかなか実機を目にすることが出来ないタイムピースを常時展示。しかし、その時計は、伊勢丹で店頭販売は行わないというのだ。この一見矛盾したかのような取り組みに、どんな意図が秘められているのか。

 今回展示がスタートしたのは「TAKANO」と「大塚ローテック」の2ブランド。

 「TAKANO」は、辣腕時計師によって構成される独立時計師アカデミー(AHCI)のメンバーで、世界中のハイエンドコレクターから熱い視線を浴びている浅岡肇氏が、2024年に復興させたブランドだ。浅岡氏は、自身が製作の全てを手がける「HAJIME ASAOKA」ブランドのほか、自身がプロデュースとデザインを手がける量産ブランド「クロノトウキョウ」を擁する東京時計精密(株)の代表取締役でもある。その東京時計精密(株)で浅岡氏が手掛ける第3のブランドとなったのが「TAKANO」だ。

 1957年から62年までのわずか5年弱しか存在しなかった国産ブランドだが、世界最高水準の時計製造を掲げ、超薄型モデルなどを発表し、技術力の高さと存在感を示した。このブランドに関心を寄せていた浅岡氏は「TAKANO」の権利を借り受け、国産ムーブメントを自社内でブラッシュアップし、フランス ブザンソン天文台でクロノメーター認定を受けるという国産初の快挙を成し遂げたモデル「シャトーヌーベル・クロノメーター」を発表するに至る。

 もうひとつ「大塚ローテック」は、カーデザイナー、プロダクトデザイナーとしてのキャリアを重ねてきた片山次朗氏が、時計製作を手掛け始め2012年に立ち上げたブランドで、2023年から東京時計精密(株) が製造をサポートしている。

 「ローテック」の名前に象徴される、どこかレトロ感のあるデザインや個性的なメカニズムを特徴とする。時計界のアカデミー賞とも呼ばれる「ジュネーブ ウォッチ グランプリ」(略称GPHG)2024に於いて、3000スイスフラン以下を対象とする「チャレンジ」部門で、時分ダブルレトログラード機構の〈6号〉がグランプリに輝き、俄然注目を集める存在となった。

 二つのブランドに共通するのは、店頭での販売は行わず、製作本数が限られているため、用意が整ったタイミングで各ブランドのウェブサイト上で申し込みを受け付け、多数の場合は抽選によって購入者を決めるシステムを採っていることだ。つまり、幸運にも時計を手にすることが出来た人以外は、これまで実機に触れることも、目にすることも容易ではなかった。

 「購入は叶わなくても、せめて実機を見ることはできないのか?」 そんな声が愛好家の間で上がっていたのも無理からぬことだった。

伊勢丹新宿店ウォッチバイヤーの熱意

 そんな状況を知って動いた人物がいた。伊勢丹新宿店ウォッチバイヤーの橋本久弥氏である。ウォッチバイヤーに就任したのは2025年4月。当初は時計に関しては素人同然だったという。

橋本久弥 1990年香川県生まれ。大学卒後の2013年、(株)三越伊勢丹入社。伊勢丹新宿店のバイヤーとして、婦人靴、バッグ、レザーアイテムなどの雑貨、化粧品の担当を経て、2025年4月伊勢丹新宿店ウォッチバイヤーに就任。それまで腕時計への関心は高くなかったものの、2005年のウォッチコレクターズウィークで天文時計の企画を通じて、急速に時計の世界に対する理解と知識を深め、同時に時計業界内での人脈も広げる。百貨店の時計売り場の未来の姿を追求するべく、バイイング活動を展開中。

 「直近で担当していたのが化粧品で、時計とのギャップの大きさに初めはとまどいました。正直なところ、それまで時計にはほとんど関心がありませんでしたから。以前、靴のバイヤーを担当したこともありましたが、時計はそれ以上に職人技の極致というイメージがあり、プレッシャーを感じながら恐る恐るこの仕事を始めました。

 ですが、時計業界の方々は想像とは真逆で、フレンドリーに接して頂くことが多く、様々な時計ブランドさんと巡り合わせて頂いています。そんな中で、「TAKANO」や「大塚ローテック」を知り、日本にこんなにユニークな時計があるのかと驚かされました。お客様からも『見たい』という声も多く寄せられていましたので、いろいろなルートを辿って東京時計精密(株)様にコンタクトを取り、約1年ほどかけてご相談させて頂きながら、「TAKANO」と「大塚ローテック」の展示の実現に漕ぎ着けました。

 初日から多くのお客様にお越し頂いています。皆さん30分ぐらいかけて様々な角度から時計をつぶさにご覧になって、撮影されていました」

 ウォッチフロアの中央付近に、この2ブランドを展示するラウンド状の2つの什器が用意された。

 「TAKANO」の什器には、〈シャトーヌーベル・クロノメーター〉のブラック&ホワイトダイヤルの2モデル、ケースバック、ムーブメントを分解したパーツ群、ブザンソン天文台のクロノメーター認定書、また1960年に製造された18KYGケースの〈シャトー スーペリア〉も収められた。

〈シャトーヌーベル・クロノメーター〉のブラック&ホワイトダイヤルの2モデル、ケースバック、ブザンソン天文台のクロノメーター認定書((Image: ©Precision Watch Tokyo Co.,Ltd.)

1960年に製造された18KYGケースのTAKANO〈シャトー スーペリア〉

 「大塚ローテック」のほうは、最新作の〈8号〉、GPHG受賞作の〈6号〉、トゥールビヨンを搭載した〈9号〉、サライトアワー機構の〈5号改〉、ジャンピングアワー機構の〈7.5号〉の5モデルに加え、GPHGのトロフィー、「現代の名工」の徽章も並ぶ。

「大塚ローテック」の5モデルが揃い、ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリの受賞トロフィーや、「現代の名工」の徽章(バッジ)も展示。

 前述したように、この2ブランドの時計はネット上での販売のみで、伊勢丹新宿店ウォッチフロアで求めることはできない。この展示の狙いとは?

 橋本バイヤーはこう説明する。

 「バイヤーとしては、お客様の期待を超える品揃えで、より大きな感動を用意することが大前提であり、ミッションでもあります。ウォッチバイヤーに着任以来、百貨店の時計売り場はもっとユニークでなくてはならない、他にないものを表現していかなくてならないという課題を以って臨んできました。日本のトップを目指す百貨店として、同じ日本の時計産業と共に歩んでいきたいという思いもありました。

 実際、浅岡さんや片山さんの時計を『見たい』という声は国内のお客様はもちろん、海外のお客様からも多数頂いていましたし、この展示がさらなる広がりを生むきっかけになればと思い、取り組んできました。これがお客様においで頂けるきっかけになっていますし、1本の時計を店頭で販売すると云々いう話ではなくて、それ以上の価値を生み出しているのを実感しています」

国産時計の文化を伝える事業としての側面

 今回の取材に、浅岡肇氏と片山次朗氏のお二人にも同席頂いた。まず、浅岡氏はこの展示に対してこうコメントする。

浅岡 肇 1965年神奈川県生まれ。東京藝術大学美術学部デザイン科卒業後、浅岡肇デザイン事務所を設立。プロダクトデザイナーの一方、グラフィックデザイナーとして、広告や雑誌の世界でも活躍。腕時計のデザイン依頼の仕事をきっかけに、独学で腕時計製作を始め、2009年に日本で初めてトゥールビヨン機構を搭載した機械式腕時計を発表。2013年、独立時計師アカデミー会員候補、15年会員。16年東京時計精密(株)を設立。サブブランド「クロノトウキョウ」を18年にスタートさせる。22年現代の名工に選出。23年ルイ・ヴィトン ウォッチプライズ審査員に選出。24年「タカノ」を東京時計精密(株)から復活させる。

 「『TAKANO』というブランドは、国産で唯一のクロノメーターを製造しているブランドです。そもそも僕が東京時計精密という会社を興した目的のひとつは、スイスにやられっぱなしの状況をなんとか盛り返したいということもありました。その意味で、クロノメーターはスイスのお家芸に対して切り込んでいくビジョンのひとつになると考えたわけです。

 それは、かつての『TAKANO』が目指したものとも重なるんじゃないかと。
今回、伊勢丹新宿店での展示にお誘い頂いたのは、文化事業の一環というふうにも捉えていて、日本の時計製造の世界にもクロノメーターというものがあるんだということを、広く知って頂けたらありがたいなと。今、日本の製造業って、ちょっと自信を失いかけているところがあるじゃないですか。でも日本はまだまだ実力があって水準も高い。

 クロノメーターは客観的に認証されたものですから、日本はモノづくりをしっかりやっている、それをもっと見て欲しいというメッセージにもなると思っています。写真と実物とは、結構違いますから、実際に見て頂かないと伝わらないものもありますからね」

 片山氏は、こう語る。

 「時計をよく御存じの方が集まってくる伊勢丹新宿店ウォッチフロアの商品群の中に混ぜてもらえるのは、ありがたいことだと思っています。これまでにも『見たいんだけど、どこで見られるの?』というのは常に言われていました。1年に1回、原宿で『大塚ローテック』の時計のディスプレイを置かせてもらったりしてきましたが、モデル数も増えてきてディスプレイの方法も工夫が必要かなと思っていたところに、常設で置いてもらえるお話を頂けたのは、こちらとしてはメリットでしかないですね」

片山次朗 1971年東京都生まれ。93年よりトヨタの系列会社でカーデザインからキャリアをスタートさせ、98年プロダクトデザイナーとして独立。2008年にカメラレンズでグッドデザイン賞を受賞。この頃、卓上旋盤を入手し独学で時計製作に手を染め、12年から「大塚ローテック」のブランド名で、ネットで時計の販売を始める。ブランド名は、工房のある豊島区大塚と、ハイテクではないローテックとを組み合わせた。24年現代の名工に選定。同年11月に開催されたGPHG2024に於いて、3000スイスフラン以下の時計を対象としたチャレンジ部門で、ダブルレトログラード機構の「6号」がグランプリを受賞。

 今回の展示は、伊勢丹新宿店サイドと「TAKANO」「大塚ローテック」サイドとのニーズが合致し、ともにウィンウィンな関係性で実現できたのみならず、エンドユーザーにとっても大きなメリットがもたらされる結果となった。今後、新作が発表された場合や、東京時計精密所属の新しいタレントの作品をお披露目する際に、この展示の場を利用する可能性もあるかもしれない。

 橋本バイヤーは、これを契機として、ウォッチフロアをより刺激的に進化させていくことを考えていきたいと語る。

 「これを一つのチャレンジとして、いろんな未来をつくっていけるなと思っています。やはり時計をもっと好きになって頂きたいですし、楽しんでもらう人を増やしたい。時計の作り手の方に会ってみたいという声もたくさん頂いていますので、今後の課題としていきたいですね」

TAKANO〈シャトーヌーベル・クロノメーター〉
国産腕時計として初めてブザンソン天文台のクロノメーター認証を受けたモデル。同天文台の認定書が付属する。同心円状のセクターダイヤルによる端正な表情も印象的。白文字盤と黒文字盤の2タイプを用意。シースルーバックから見えるローターの左上にも、ブザンソン天文台クロノメーターの認証であるテット・ドゥ・ヴィペールの刻印が施されている。自動巻き、SSケース、ケース径37㎜、クロコダイルストラップ、3気圧防水、880,000円。

大塚ローテック〈8号〉
ロンドンにあるアビーロードスタジオの往年のレコーディング機材を着想源とするモデル。文字盤左側にジャンピング式のアワーチャンネル、右側に低速で帰零するレトログラード式ミニッツフェーダー、12時位置に90秒で1回転する秒ディスクを備える。「時」チャンネルが切り替わる動きや、2階建て構造の立体感に富んだムーブメントを、右のケースサイドまで覆うワイドなサファイアクリスタル風防を通して鑑賞できる。自動巻き、SSケース、サイズ31×47.8㎜、ラバーストラップ、日常生活防水。990,000円。

大塚ローテック〈9号〉
レトロな電気メーターをインスピレーションソースとして、スクエアケースにトゥールビヨン、ジャンピングアワー、リワインディングミニッツ、アワーストライキングなどを搭載したコンプリケーションモデル。ミネベアミツミ製の特注のルビーボール・ボールベアリングも導入されている。手巻き、サイズ30×48㎜、SSケース、カーフストラップ、日常生活防水。17,600,000円。

大塚ローテック〈5号改〉
時を示す3つの数字盤が切り替わりながら、ミニッツトラックをトレースして時刻表示するサテライトアワー機構を搭載。3D感に富んだメカニズムをあらわにしたデザインで、その動きを目で楽しむことができる。自動巻き、ケース径40.5㎜、SSケース、カーフストラップ、日常生活防水。825,000円。

大塚ローテック〈6号〉
GPHG2024チャレンジ部門でグランプリを受賞したモデル。扇形に配置された時分針が、レトログラード式で時刻を示す。文字盤中央の開口部に秒表示ディスクが覗き、5時位置にはデイト表示を装備。ジャンピング機構に、エレキギターの弦が採用されているのも興味深い。自動巻き、ケース径42.6㎜、SSケース、カーフストラップ、日常生活防水。495,000円。

大塚ローテック〈7.5号〉
ケース上面にターレット状の3つの窓を配置し、10時位置にジャンピングアワー、2時位置に分ディスク、6時位置付近に秒ディスクを覗かせた。エッジと丸み、ヘアラインと『サンドブラストを組み合わせた表情も印象的。自動巻き、ケース径40mm、SSケース、カーフストラップ、日常生活防水。396,000円。

Brands: Otsuka Lotec, Takano

photograpy Natsuko Okada.

Brand:Otsuka Lotec, Precision Watch Tokyo, Takano
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