Urwerk’s Wandering Hours Take a New Shape
創業30年、ウルベルクが時刻表示の新たな可能性を切り開く
ワンダリングアワーを再構築した新作〈UR-300 タイム・クアンタム〉
創業以来、ワンダリングアワー機構の進化を追求してきたウルベルクが、新たな時刻表示の仕組みを開発した。新作〈UR-300 タイム・クアンタム〉では、従来の回転アームに代わり、1時間ごとに配置を変える独創的な「Tフレーム」を採用。4個の三面プリズムとジャンピング機構を組み合わせ、ブランドを象徴する時刻表示に新たな可能性を切り開いた。
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by Lee Sheng. Oct 15, 2026 |
1997年、17世紀半ばにまで遡る複雑機構「ワンダリングアワー(彷徨う時表示)」をコンセプトに創業したウルベルクは、約30年にわたり、その機構を進化させ続けてきた。回転するディスクから立体的なキューブに至るまで、時刻表示の方法はますます高度なものへと発展している。
しかし、その基本原理は一貫して変わっていない。すなわち、ディスクやキューブを搭載した左右対称のアームが回転するという構造である。

▲チタン製の新作〈UR-300 タイム・クアンタム〉
今回、ウルベルクはこれまでとは異なるアプローチを採用した。〈UR-300 タイム・クアンタム〉では、従来の左右対称のアームに代わり、2本のバーで構成されたT字型のフレームを導入。このフレームは1時間ごとに瞬時にジャンプし、その配置を切り替える仕組みとなっている。

新たなコンセプト
変わっていない部分もある。時表示は従来どおり、6時位置に設けられた108度の円弧状の分目盛りに沿って移動し、時を示す数字そのものが分針の役割を果たす。しかし、その時表示を動かす仕組みは、まったく新しいものとなった。
新たな時表示機構の中心となるのが、ウルベルクが「Tフレーム」と呼ぶ構造だ。従来のキューブに代わり、3つの面を持つ4個のプリズムを採用し、それぞれに3つずつ、合計12の時数字を割り当てている。
一見すると、T字型のフレームは一体構造のように見えるが、実際には2本の独立したバーで構成されている。それぞれのバーの両端にはプリズムが取り付けられており、一方は分目盛りに向かって下方に伸びる垂直のバー、もう一方は上部を横切る水平のバーとなっている。この2本のバーが、交互に役割を入れ替える仕組みだ。

▲Tフレームの構造がひと目でわかる。
1時間の経過とともに、垂直のバーの下端にあるプリズムが分目盛りに沿ってゆっくりと移動する。そして60分の位置に達すると、3つの動作が同時に起こる。
まず、2本のバーが位置を入れ替える。それぞれが自身の中心を軸に回転し、それまで垂直だったバーは上部で水平になり、水平だったバーは新たに垂直のバーとなる。
同時に、2本のバーを搭載したカルーセルが72度ジャンプし、新たな垂直のバーを分目盛りの始点へと移動させる。最後に、4個のプリズムすべてが次の面へと回転し、下端に正しい時数字が表示される。

▲機構の分解図。
巧妙な数学的ロジック
時数字の配置には、実に巧妙なロジックが隠されている。4個のプリズムは交互にT字型フレームの下端へと移動するため、それぞれのプリズムが時刻を表示するのは4時間に1回となる。そのため、各プリズムには4時間ずつ離れた時数字が割り当てられている。例えば、あるプリズムには「1、5、9」、別のプリズムには「2、6、10」という具合だ。
すべてのプリズムは、1時間ごとのジャンプのたびに1面ずつ回転する。つまり、あるプリズムが再びT字型フレームの下端に戻ってくるまでに、合計4回、面を切り替えることになる。各プリズムは3面構造のため、3回の切り替えで元の面に戻り、4回目で次の数字を示す。
例えば、「1」を表示しているプリズムは、回転するたびに「5」「9」「1」と表示を切り替え、4回目の回転で再び「5」を示す。これは最初に「1」を表示してから、ちょうど4時間後の時刻に一致する。

▲すっきりとしたインダストリアルな仕上げも、この時計のコンセプトによく調和している。
従来のウルベルクの時計では、次に時刻表示を担うディスクやキューブだけが回転していたのに対し、今回の機構では4個のプリズムすべてが同時に回転する。
これは、各バーに取り付けられたプリズムが、その中心にある共通の歯車と連動しているためだ。1時間の終わりに機構が作動すると、すべてのプリズムが回転する仕組みとなっている。
しかし、前述した巧妙な数字の配置によって、T字型フレームの下端には常に正しい時数字が表示される。この追加的な動作には、より多くのエネルギーが必要になると考えられ、約43時間というパワーリザーブは、近年のウルベルクの多くのモデルと比較して数時間短い。
時計のその他の特徴
近年、ウルベルクのサテライト式時表示を備えたモデルは小型化が進んでいるが、〈UR-300〉は複雑なジャンピング式Tフレーム機構を幅45.2mmのケースに収めている。ただし、厚さは18.25mmと、かなり存在感のある時計だ。
また、これまでのウルベルクには見られなかった新しいケースデザインを採用している。ケース素材はグレード5チタンで、サテン仕上げとマイクロブラスト仕上げを組み合わせた〈UR-300 Titanium〉と、PE-CVD法によるDLCコーティングを施した〈UR-300 AlTiN〉の2種類を用意している。

▲ブラックコーティングを施した〈UR-300 AlTiN〉
内部には自動巻きムーブメントが搭載され、その上にTフレームを備えたウルベルク独自のモジュールが組み込まれている。分目盛りの脇には、控えめな秒表示も設けられている。120度の円弧状の目盛りに沿って3本の針がそれぞれ20秒ずつを受け持ち、秒を表示する仕組みだ。
さらに、このムーブメントには、ウルベルクが特許を取得した「デュアル・フロー・タービンズ(Dual Flow Turbines)」も組み込まれている。これは自動巻きローターの回転速度を制御することで、機構の摩耗や損傷を軽減するためのシステムである。

▲専用設計のローターが、時計全体のデザインを完成させている。
Tech Spec
ウルベルク〈UR-300 タイム・クアンタム〉 リファレンス:UR-300-TQ ムーブメント:自動巻きキャリバーUR-30.01、毎時28,800振動(4Hz)、約43時間パワーリザーブ
機能:ジャンピング式Tフレームによるワンダリングアワー表示、分表示、秒表示 ケース:グレード5チタン(サテン&マイクロブラスト仕上げ、またはPE-CVD法によるDLCコーティング)、45.2×58.8mm、厚さ18.25mm、30m防水 ストラップ:ナイロンストラップ 限定本数:〈UR-300 Titanium〉25本、〈UR-300 AlTiN〉25本、合計50本 価格:16万8000スイスフラン(税別、日本国内価格未確認)
Brands: Urwerk
