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ナポリの名門マリネッラとパルミジャーニ・フルリエ

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The Art of Understated Elegance: E. Marinella Meets Parmigiani Fleurier

ナポリの名門マリネッラとパルミジャーニ・フルリエ

ふたつの美意識が共鳴する〈トリック プティ・セコンド〉

ナポリの老舗ネクタイブランド、E.マリネッラの4代目、アレッサンドロ・マリネッラ。パルミジャーニ・フルリエの愛用者でもある彼が、同ブランドとの特別なコラボレーションに登場した。イタリアのサルトリア文化とスイスの高級時計製造。異なる分野で受け継がれてきた職人技と美意識は、どこで交わるのだろうか。その答えは、彼の腕に収まる〈トリック プティ・セコンド〉にある。

by Revolution Japan. Oct 23, 2026

ナポリが育んだエレガンスの象徴

 イタリア・ナポリを代表するネクタイブランド、E.マリネッラ。その歴史は1914年、エウジェニオ・マリネッラがナポリのリヴィエラ・ディ・キアイアに小さな店を開いたことに始まる。

 上質なシルクを用い、熟練した職人が丁寧に仕立てるネクタイは、イタリアを代表するクラシックスタイルの象徴として知られている。英国的な端正さとナポリらしい軽快さを併せ持つそのスタイルは、時代を超えて多くの紳士たちに支持されてきた。

 なかでも、独特の色彩感覚と繊細な柄使い、そして手仕事による柔らかな仕立ては、E.マリネッラの真骨頂といえる。

 現在、その伝統を受け継ぐのが4代目のアレッサンドロ・マリネッラだ。父マウリツィオとともに家業に携わりながら、100年以上にわたって培われてきたクラフツマンシップを守り、現代の感性を取り入れたブランドの発展に取り組んでいる。

 そんなアレッサンドロが愛用する時計のひとつが、スイスの高級時計ブランド、パルミジャーニ・フルリエの〈トリック プティ・セコンド〉である。

ふたつのブランドに共通する「控えめな贅沢」

 2026年10月、ミラノ・ウォッチ・ウィークに合わせて、パルミジャーニ・フルリエはアレッサンドロ・マリネッラとの特別なコラボレーションを発表した。

 「The Private Codes of Elegance(エレガンスの私的な美学)」と題されたこのプロジェクトは、イタリアのサルトリア文化とスイスの高級時計製造に共通する価値観を探るものだ。

 一見すると、ネクタイと機械式時計は異なる世界に属している。しかし、両者のものづくりには驚くほど多くの共通点がある。

 例えば、プロポーションに対する徹底したこだわり。上質なネクタイは、長さや幅、芯地の厚み、結び目のボリュームといった微妙なバランスによって、その美しさが決まる。同様に時計も、ケースの直径や厚み、ラグの形状、文字盤上の各要素の配置など、細部に至るまで計算されたプロポーションが重要になる。

 そして何より、両者が共有するのが、華美な装飾やブランドの存在感によって自己を誇示するのではなく、身につける人の個性を引き立てるという美意識だ。

 アレッサンドロは、その哲学を次のように表現している。

「あるものがエレガントかどうかは、まずそれを身につけている人に目が行き、その後にそのものの存在に気づくかどうかでわかる」

 これは、パルミジャーニ・フルリエが掲げる「プライベート・ラグジュアリー」という理念にも通じる。

 誰かに見せるためではなく、自分自身がその価値を理解し、楽しむための贅沢。そこではブランドの知名度や外面的な華やかさよりも、素材の品質、職人の技術、そして細部に込められた美意識が重視される。

 今回のコラボレーションは、そうした両者の共通する哲学を、アレッサンドロのライフスタイルを通じて表現する試みなのである。

サルトリアの精神を宿す〈トリック プティ・セコンド〉

 今回、アレッサンドロが腕に着けているのは、パルミジャーニ・フルリエの〈トリック プティ・セコンド〉。プラチナケースに淡いブルーのダイヤルを組み合わせたモデルだ。

 〈トリック〉は、1996年のブランド創業時に発表されたコレクションの名称を受け継ぐ、パルミジャーニ・フルリエを象徴するシリーズである。

 その特徴は、ベゼルを縁取る繊細なローレット装飾と、クラシカルでありながら現代的なプロポーションにある。

 2024年に復活した新世代の〈トリック〉では、ブランドの原点ともいえる伝統的な意匠を継承しながら、より洗練されたミニマルなデザインが追求されている。

 今回のプラチナモデルでひときわ目を引くのが、淡いブルーの文字盤だ。ゴールド製のダイヤルには、伝統的なグレイン仕上げが施されている。これは、時計修復師としてキャリアをスタートさせた創業者ミシェル・パルミジャーニが、その知識と技術によって現代に蘇らせた装飾技法のひとつだ。

 きめ細かな粒子状の質感が生み出す柔らかな光の表情は、通常のサンレイ仕上げやラッカー仕上げとは異なる独特の奥行きを備えている。

 さらに、6時位置にはスモールセコンドを配置。シンプルな2針の時分表示と組み合わせることで、文字盤全体に静謐な美しさをもたらしている。

ナポリの手仕事と響き合うストラップ

 この時計とサルトリア文化とのつながりを、より直接的に感じさせるのがストラップである。柔らかなグレーのヌバックストラップには、「プント・ア・マーノ」と呼ばれる手縫いの技法が取り入れられている。

 プント・ア・マーノとは、イタリア語で「手による一針」を意味する言葉。ナポリの仕立て文化に深く根づいた手仕事の精神を象徴する表現でもある。

 機械による均一な仕上がりとは異なり、職人の手によって生み出される微妙な表情や柔らかさを尊重する。その考え方は、E.マリネッラのネクタイづくりにも共通している。

 プラチナのケース、ゴールドの文字盤、そして手仕事の温もりを感じさせるヌバックストラップ……。それぞれが高級素材でありながら、決して過剰な華やかさを主張しない。むしろ素材の質感と仕上げの美しさを丁寧に組み合わせることで、控えめで洗練された佇まいを実現している。

 アレッサンドロが着用するネイビーのスーツやブルーのネクタイとの調和も見事だ。時計が装いの主役になるのではなく、全体のエレガンスをさりげなく引き立てている。

伝統を継承するということ

 今回のプロジェクトでパルミジャーニ・フルリエが伝えようとしているのは、単なる時計とファッションの親和性ではない。ナポリのネクタイ職人とスイスの時計職人。異なる土地で育まれたふたつの伝統に共通するのは、過去の技術をそのまま繰り返すのではなく、その本質を理解し、現代にふさわしい形で継承していくという姿勢である。

 E.マリネッラの4代目として伝統を未来につなぐアレッサンドロと、時計修復の技術を出発点に独自の時計づくりを築き上げたパルミジャーニ・フルリエ。その出会いは、真のラグジュアリーとは何かを改めて考えさせてくれる。

 目立つことではなく、理解されること。誇示することではなく、自らがその価値を知ること。〈トリック プティ・セコンド〉は、そんな控えめなエレガンスを体現する一本なのである。

Tech Spec

パルミジャーニ・フルリエ〈トリック プティ・セコンド プラチナ モーニングブルー〉 リファレンス:PFC940-2010008-300181 ケース:プラチナ950、直径40.6mm、厚さ8.8mm、30m防水 ベゼル:プラチナ950、ローレット加工 文字盤:18Kホワイトゴールド、モーニングブルー、手作業によるグレイン仕上げ インデックス:18Kゴールド、ロジウム仕上げ ムーブメント:自社製手巻きキャリバーPF780、毎時28,800振動、約60時間パワーリザーブ、27石、157部品、厚さ3.15mm、18Kローズゴールド製ブリッジ 機能:時・分表示、スモールセコンド ケースバック:サファイアクリスタル製シースルーバック ストラップ:アコヤグレーのヌバックアリゲーター、プント・ア・マーノによる手縫いステッチ バックル:プラチナ950製ピンバックル ¥9,207,000(予価)

Brands:Parmigiani Fleurier

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