モリッツ・グロスマンが、創始者カール・モリッツ・グロスマンの生誕200周年を記念する〈テフヌート36 シルバーフリクション ターコイズブルー〉を発表した。世界限定12本という希少性以上に、この時計を特別な存在にしているのは、随所に施された「人の手」の技である。銀の粉末を何度も擦り込み、インデックスやロゴを手で彫り、その溝にラッカーを充填する。針は一本ずつ仕上げられ、焼き戻しによって深いブルーを纏う。19世紀から受け継がれるクラフトマンシップを、鮮やかなターコイズブルーとともに現代へ映し出した一本だ。
The Art of the Hand: Moritz Grossmann Tefnut 36 Silver-Plated by Friction Turquoise Blue
モリッツ・グロスマンの新作——文字盤に残された、手仕事の痕跡
〈テフヌート36 シルバーフリクション ターコイズブルー〉
モリッツ・グロスマンが、創始者カール・モリッツ・グロスマンの生誕200周年を記念する〈テフヌート36 シルバーフリクション ターコイズブルー〉を発表した。世界限定12本という希少性以上に、この時計を特別な存在にしているのは、随所に施された「人の手」の技である。銀の粉末を何度も擦り込み、インデックスやロゴを手で彫り、その溝にラッカーを充填する。針は一本ずつ仕上げられ、焼き戻しによって深いブルーを纏う。19世紀から受け継がれるクラフトマンシップを、鮮やかなターコイズブルーとともに現代へ映し出した一本だ。
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by Revolution Japan. Aug 12,2026 |
時計に残る、人の手の痕跡
高級時計の世界では「ハンドクラフト」という言葉が頻繁に使われる。しかし、本当に手仕事でなければ生み出せないものとは何だろうか。
〈テフヌート36 シルバーフリクション ターコイズブルー〉の文字盤を眺めていると、その答えが見えてくる。
採用されたのは、シルバーフリクションと呼ばれる古典的な文字盤仕上げだ。銀のパウダー、塩、クリーム状の酒石、水を混ぜたペーストを小さなブラシに取り、文字盤表面へ何度も塗り込み、擦りながら馴染ませていく。きめ細かな質感と美しい銀色が現れるまで、この工程を幾度も繰り返す。
機械によって均一に塗装するのとはまったく異なる。ペーストの量、ブラシにかける力、塗り重ねる回数。そのわずかな違いが、最終的な文字盤の表情を左右する。熟練した技術と経験、そして高い集中力が求められる技法であり、今日これを行える職人はごく限られているという。
モリッツ・グロスマンにとって、シルバーフリクションは単なるヴィンテージ風の演出ではない。カール・モリッツ・グロスマンが活躍した19世紀から受け継がれてきた技法であり、かつてグラスヒュッテで製作された時計にも用いられていた。この仕上げを施した当時の振り子時計や懐中時計は、現在まで残されている。

銀の下には、手彫りがある
さらに興味深いのは、シルバーフリクションを施す前の工程である。
ローマンインデックスやロゴなどのディテールは、まず職人の手によって文字盤へ彫り込まれる。その溝にターコイズブルーとブラックのラッカーを充填し、窯で焼成する。
鮮やかなターコイズブルーのローマ数字に対し、「M. Grossmann」のロゴやミニッツ/セコンドトラックは落ち着いたブラックで表現される。マットな銀色の地に、ふたつの色彩が浮かび上がる。
重要なのは、これらが単に文字盤表面へ印刷されているわけではないということだ。まず金属を人の手で彫り、そこに色を宿しているのである。
そのため文字盤は、均一な工業製品とは異なる奥行きを持つ。光を受ければ銀の粒子が柔らかく反応し、見る角度を変えれば、マットな表面の奥からターコイズブルーが浮かび上がる。光と影、艶とマット。その微妙なコントラストこそ、この文字盤の魅力だ。
一本の針にも宿る手仕事
手仕事は文字盤だけで終わらない。
細身の針も自社製であり、一本ずつ手作業で仕上げられる。丸みを帯びたフォルムから先端へ向かって優雅に細く伸びる針を丹念に仕上げ、最後に熱による焼き戻しを施すことで深いブルーを生み出している。
ターコイズブルーのローマ数字とは微妙に異なる、焼き戻しならではのブルー。そのふたつが銀色の文字盤上で静かに呼応する。こうした針への執着もまた、現在のモリッツ・グロスマンを特徴づけるものだ。
時計産業が高度に機械化された現在、精密な部品を製造すること自体は、かつてほど困難ではない。しかしモリッツ・グロスマンが守ろうとしているものは、数字では測ることのできない領域にある。
わずかに異なる青。磨き上げられたエッジ。彫刻刀が金属を通過した痕跡。それらが、この時計に「人が作ったもの」という感覚を与えている。

1826年から2008年へ
こうした姿勢は、ブランドの歴史を知ることで、さらに明確になる。
カール・モリッツ・グロスマンは1826年、ドレスデンに生まれた。若くして時計師として才能を示し、フェルディナント・アドルフ・ランゲとも親交を結び、1854年にグラスヒュッテへ自身の工房を設立する。
時計師としてだけでなく、研究者、著述家としても活動し、1878年にはドイツ時計学校の設立に尽力した。だが1885年に急逝すると、その工房は解体され、モリッツ・グロスマンの名はいったん時計製造の表舞台から姿を消すことになる。
その名を100年以上の時を経て蘇らせたのが、女流時計師クリスティーネ・フッターだった。
ヴェンペ、グラスヒュッテ・オリジナル、A.ランゲ&ゾーネなどで経験を積んだフッターは、グロスマンが残した時計製造の思想に可能性を見いだし、ブランドの権利を取得。2008年11月11日、グラスヒュッテに現在のグロスマン・ウーレン社を設立した。
しかし、彼女が目指したのは過去の時計をそのまま再現することではなかった。
もし19世紀の時計師が、現代の工作機械や素材、技術を手にしていたなら、どのような時計を生み出したのか。その問いへの答えを形にすることだったのである。

手仕事はムーブメントにも宿る
〈テフヌート36 シルバーフリクション ターコイズブルー〉のケースは、直径36mm、厚さ8.5mmのステンレススティール製。搭載するのは、自社製手巻きキャリバー102.1だ。
3/5プレートや古典的な支柱構造、グロスマン製精密調整ネジ、ゴールドシャトンなど、グラスヒュッテの伝統を色濃く受け継ぐ構造を備えている。
しかし、このムーブメントで本当に目を奪われるのは、数字ではなく仕上げだ。
グラスヒュッテ・ストライプが施されたプレートには文字が手彫りされ、テンプ受けとガンギ車受けには、職人による花模様のハンドエングレービングが刻まれる。さらに生誕200周年を記念して、テンプ受けには創始者の生年である「1826」の数字が刻まれた。
文字盤だけではない。ケースバックを覗いても、この時計は人の手から逃れることができない。
高級時計における贅沢とは、希少な素材や複雑な機構だけではない。職人が時間をかけて金属と向き合い、そこに残された手仕事の痕跡を感じ取ること。それもまた、現代における真のラグジュアリーである。
モリッツ・グロスマンの〈テフヌート36 シルバーフリクション ターコイズブルー〉は、時計製造が本来持っていた、そんな根源的な贅沢を思い出させてくれる一本だ。
Tech Specs
モリッツ・グロスマン〈テフヌート36 シルバーフリクション ターコイズブルー〉 リファレンス:MG-004153 ケース:ステンレススティール。直径36.0mm、厚さ8.5mm ダイヤル:ブルーおよびブラックのラッカーを充填したシルバーフリクションコーティング。ローマンインデックスやロゴなどに手彫りのエングレービング 針:自社製。手仕上げ、ブルーに焼き戻したスティール ストラップ:手縫いクーズーストラップ。ステンレススティール製ピンバックル ムーブメント:自社製手巻 キャリバー102.1。直径26.0mm、厚さ4.0mm 部品数:188個 石数:22石。うち3石はネジ留め式ゴールドシャトンに使用 振動数:毎時2万1600振動(3Hz) パワーリザーブ:約48時間 機能:時、分、スモールセコンド、ストップセコンド 仕上げ:3/5プレート、支柱構造、グロスマン製精密調整ネジ、ゴールドシャトン、グラスヒュッテ・ストライプ、テンプ受けおよびガンギ車受けのハンドエングレービング。テンプ受けに「1826」の刻印 限定数:世界限定12本 ¥6,160,000
Brands: Moritz Grossmann
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