ジャズ界の巨匠マイルス・デイヴィスの生誕100年を記念した時計〈ナビタイマー B09 クロノグラフ 41 マイルス・デイヴィス〉が発表された。着想源となったのは、デイヴィス自身が愛用していたナビタイマー Ref. 806 Mk5。41mmのステンレススチールケースにリバースパンダダイアル、ヴィンテージ調のクリームカラーのスーパールミノバ、ツインジェットロゴを組み合わせ、手巻きマニュファクチュールキャリバーB09を搭載する。ひとりの音楽家と名作時計の関係を現代に蘇らせたモデルだ。
Marking a Milestone With The Breitling Navitimer B09 Chronograph 41 Tribute to Miles Davis
ブライトリング、マイルス・デイヴィス生誕100年を祝う
〈ナビタイマー B09 クロノグラフ 41 マイルス・デイヴィス〉
ジャズ界の巨匠マイルス・デイヴィスの生誕100年を記念した時計〈ナビタイマー B09 クロノグラフ 41 マイルス・デイヴィス〉が発表された。着想源となったのは、デイヴィス自身が愛用していたナビタイマー Ref. 806 Mk5。41mmのステンレススチールケースにリバースパンダダイアル、ヴィンテージ調のクリームカラーのスーパールミノバ、ツインジェットロゴを組み合わせ、手巻きマニュファクチュールキャリバーB09を搭載する。ひとりの音楽家と名作時計の関係を現代に蘇らせたモデルだ。
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by Joyceline Tully. Sep 2, 2026 |
1939年に起きたこと
1939年は、歴史の大きな転換点となった年だった。第一次世界大戦の終結からわずか20年余りで、世界は再び大きな戦争へと突入。一方で、ハインケルHe 178がターボジェットエンジンによる世界初の飛行に成功し、ヨーロッパの科学者たちは核分裂に関する画期的な論文を発表、原子力と核兵器へとつながる科学的基盤を築いた。さらにシカゴ・オートショーでは、自動車用エアコンも初めて披露されている。
ポップカルチャーに目を向ければ、バットマンが『Detective Comics No. 27』でコミックデビューを果たし、その数カ月後には『オズの魔法使い』と『風と共に去りぬ』が映画館に登場した。音楽ではスウィングがアメリカでもっとも人気のあるジャンルとなり、ビリー・ホリデイの「Strange Fruit」は人種差別と暴力に抗議する象徴的な楽曲となった。
そしてイリノイ州イースト・セントルイスでは、ひとりの少年が13歳の誕生日に父親からトランペットを贈られていた。シカゴ・ジャズとセントルイス・ブルースが交差するこの街で、その贈り物はその後50年以上にわたり、音楽史を変えることになる。その少年こそ、マイルス・デイヴィス。史上もっとも偉大で、そして間違いなくもっとも大きな影響を与えたジャズ・ミュージシャンのひとりである。
2026年、マイルス・デイヴィス生誕100年を記念して、ブライトリングは〈ナビタイマー B09 クロノグラフ 41 マイルス・デイヴィス〉を発表した。限定500本で展開されるこのモデルは、2027年後半に始動予定の会員制「ブライトリング・ソーシャル・クラブ」に向けた序章とも位置づけられている。

▲ブライトリング〈ナビタイマー B09 クロノグラフ 41 マイルス・デイヴィス〉
クールの誕生
マイルス・デイヴィスは、一般的な意味でのブライトリングのアンバサダーではなかった。ブライトリングを選ぶために報酬を受け取っていたわけでもなければ、着用して写真に収まる契約があったわけでもない。
それでも彼は、自らブライトリングを選び、そして実際にその時計を身につけた姿を何度も写真に残している。

▲ジャズの歴史を塗り替えた巨匠、マイルス・ディヴィス。
デイヴィスが選んだブライトリングは、彼の音楽的な世界とは一見かけ離れたモデルだった。1952年、世界最大のパイロット・クラブである航空機オーナーおよびパイロット協会(AOPA)のために開発された〈ナビタイマー〉は、単に時刻を示すだけの時計ではない。平均速度や飛行距離、燃料消費量など、飛行中に必要な各種計算を手首の上で行える“フライトコンピューター”として誕生した。
その名が示すとおり、「ナビタイマー」は“navigation(航法)”と“timer(計時)”を組み合わせた造語である。航空のために生まれた実用時計を、ジャズ界の革新者マイルス・デイヴィスが自ら選んだ。その意外な組み合わせこそが、後にこの時計をいっそう特別な存在へと変えていくことになる。

▲ 1952年に誕生した“フライトコンピューター”〈ナビタイマー〉
ブライトリングが〈ナビタイマー〉の最初の市販リファレンスを正式に発売したのは、1955年末のことだった。Ref. 806は、名機として知られる手巻きクロノグラフ・キャリバー、ヴィーナス178を搭載した3カウンターのクロノグラフである。
オールブラックのダイアルには同色のサブダイアルを配し、計算尺、夜光入りインデックス、シリンジ型の針を採用。外周には125個のノッチを備えた細身の回転ベゼルが組み合わされていた。
このベゼルの存在もあって、ケース径40mmという数値以上に大きく見えた〈ナビタイマー〉は、36mmを超える時計がまだ珍しかった当時、腕元でひときわ強い存在感を放った。
1960年代にマイルス・デイヴィスがRef. 806 Mk5を着用している姿が確認される頃には、〈ナビタイマー〉の人気はすでに航空関係者の枠を大きく超えていた。パイロットだけでなく、グラハム・ヒル、ジム・クラーク、アラン・ドロン、トニー・カーティスといったレーシングドライバーやハリウッドスターたちも〈ナビタイマー〉を愛用していた。

▲ 1950年代のブライトリング〈ナビタイマー〉Ref. 806(©Revolution)
しかし、マイルス・デイヴィスが身につけることで、〈ナビタイマー〉はまったく新しい意味での“クール”を獲得した。
デイヴィスは、絶えず変化を求め、自らの音楽だけでなく、自分自身までも更新し続けたカメレオンのような存在だった。そのサウンドには一貫して彼らしさがありながら、音楽性はひとつのジャンルに収まることがなかった。
『ウォーキン』に代表されるハード・バップから、『カインド・オブ・ブルー』のモード・ジャズ、『ビッチェズ・ブリュー』のジャズ・フュージョンまで、50年以上にわたるキャリアのなかで新たなスタイルを切り拓き続けた。
そして、彼を音楽界の枠を超えた存在にしたのは、ファッションやクルマ、そして何よりその佇まいだった。ジャガー、ランボルギーニ、そして何台ものフェラーリ。誇り高く、どこか無頓着で、反骨的かつ妥協を知らない。そのすべてが、ステージ上の音楽だけには収まらない“マイルス・デイヴィス”というパフォーマンスを形作っていた。
1960年代にデイヴィスのクインテットに参加したピアニスト、ハービー・ハンコックは、2006年にデイヴィスがロックの殿堂入りを果たす際の『ローリング・ストーン』誌のインタビューで、彼を「クールの体現者」と評している。薬物依存や激しい気性、波乱に満ちた私生活がたびたび報じられた人物でありながら、それでもなお、マイルス・デイヴィスは疑いようもなく“クール”だった。
マイルスが愛したブライトリング
そんなデイヴィスは、ファッションや音楽と同じように、ゴールドプレート仕様のRef. 806 Mk5も堂々と自分のスタイルとして着けこなした。1965年頃に登場したMk5は、ダイアル上の2機のジェット機を象ったロゴから「ツインジェット」の愛称で呼ばれ、1973年にRef. 806が生産終了となるまで、その基本デザインを形作ったモデルである。
Mk3で初めて採用されたリバースパンダ構成を受け継ぎ、漆黒のダイアルにホワイトのサブダイアルを組み合わせた一方、それ以前のビーズ状ベゼルに代えて、細かな溝を刻んだシャープなベゼルを採用。その後、「ビッグアイ」と呼ばれる大型インダイアルや、赤枠で囲んだ「10」など細部には変化が加えられたが、Mk5によって後世へと続く基本スタイルが確立された。
デイヴィスはこのRef. 806 Mk5を、シャープに仕立てたイタリアンスーツに合わせ、後年にはゆったりとしたインディアンシャツやレザーパンツともコーディネートした。腕元にはレザー製のブンドストラップ。〈ナビタイマー〉さえも、完全に“マイルス流”にしてしまったのである。

▲ ゴールドプレート仕様のRef. 806 Mk5を堂々と着けこなすマイルス・デイヴィス(Image: MilesDavis.com)
ブライトリングを擁するハウス・オブ・ブランドのCEO、ジョージ・カーンはこう語る。「マイルス・デイヴィスの腕元で、〈ナビタイマー〉はより大きなカルチャーの物語の一部になりました」
今年発表された限定モデル〈ナビタイマー B09 クロノグラフ 41 マイルス・デイヴィス〉は、デイヴィスが愛用したRef. 806 Mk5を名作たらしめた主要な特徴を受け継ぎながら、現代的なアップデートも加えている。
ブライトリングCEOのジャン=マルク・ポントルエはいう。
「私たちの目的は歴史的な時計をそのまま再現することではありませんでした。マイルス・デイヴィスが自分のスタイルとして身につけた〈ナビタイマー〉の本質を捉えながら、現代のブライトリングに求められる性能とクラフツマンシップを実現することでした」

▲ブライトリング〈ナビタイマー B09 クロノグラフ 41 マイルス・デイヴィス〉
そこで今回の〈ナビタイマー B09 クロノグラフ 41 マイルス・デイヴィス〉では、41mmというケース径をはじめ、モノクロームのリバースパンダダイアル、インデックスと針に施されたヴィンテージ調のクリームカラーのスーパールミノバ、そして当時を象徴する「ツインジェット」ロゴなど、Ref. 806 Mk5の特徴が受け継がれている。
一方で、デイヴィスが愛用したMk5がゴールドプレート仕様だったのに対し、2026年の限定モデルはステンレススチール製。ストラップはクラシックなブラウンカーフレザー、または1960年代のラリースタイルを思わせる、通気孔を備えたステンレススチール製「エアレーサー」ブレスレットから選ぶことができる。
1969年以前、Ref. 806を含むクロノグラフはすべて手巻きだった。ブライトリングが同年、名高いキャリバー11を搭載した自動巻き〈ナビタイマー〉を発表した際には、ケース径を48mmへと拡大し、新たにRef. 1806が与えられている。
今回の新作に手巻きのマニュファクチュールキャリバーB09を採用したのは、そうした歴史へのさりげないオマージュでもある。ブライトリングのコレクターなら、きっと見逃さないポイントだろう。しかも、その実力は申し分ない。4Hzで振動するキャリバーB09はCOSC認定クロノメーターで、約70時間のパワーリザーブを備えている。

▲ 2026年のトリビュートモデルでは、手巻きマニュファクチュールキャリバーB09が採用されている。
マイルス、その先へ
今回のマイルス・デイヴィスへのトリビュートは、来年予定されている、より大きなプロジェクトへの序章でもある。それが「ブライトリング・ソーシャルクラブ」だ。
第1号となるクラブは、ニューヨーク・ブルックリンのウィリアムズバーグにオープンする予定で、ブライトリングのコミュニティや世界中のコレクター、起業家、アーティスト、そしてもちろんミュージシャンたちが集う会員制スペースとして構想されている。
ブライトリングによれば、クラブではブランドの精神を体現する特別なホスピタリティやカルチャー体験を年間を通じて提供する予定だという。利用できるのは会員に限られるが、〈ナビタイマー B09 クロノグラフ 41 マイルス・デイヴィス〉のオーナー500名には、それぞれ2年間のメンバーシップが付与される。

▲ブライトリング〈ナビタイマー B09 クロノグラフ 41 マイルス・デイヴィス〉ライフタイムクラブ メンバーセット ボックス。
さらに、50セット限定の特別な「マイルス・デイヴィス エディション」も用意される。こちらは「ライフタイム クラブ メンバーセット」と名付けられ、ブライトリング・ソーシャルクラブの生涯メンバーシップが付与される特別仕様だ。
セットには、Ref. 806 Mk5へのトリビュートモデル3本を収録。素材はステンレススチール、18Kイエローゴールド、プラチナで、前者2本はオリジナルを思わせるブラック&ホワイトのクラシックなダイアル構成を採用する。一方、プラチナモデルにはネイビーブルーのダイアルとホワイトのサブダイアルが組み合わされる。
3本は、伝統的なトランペットケースを思わせる専用ボックスに収められ、内装は深いブルーで仕立てられている。これは、マイルス・デイヴィスの代表作『カインド・オブ・ブルー』への洒落たオマージュでもある。
Tech Specs
ブライトリング〈ナビタイマー B09 クロノグラフ 41 マイルス・デイヴィス〉 リファレンス:AB09501A1B1X1、AB09501A1B1A1 ムーブメント:手巻きブライトリング マニュファクチュールキャリバーB09、パワーリザーブ約70時間 機能:時、分、スモールセコンド、クロノグラフ ケース:41mm、ステンレススチール、3気圧防水 ダイアル:ブラックのサンレイ仕上げ、ホワイトのサブダイアル、アプライド・アワーマーカー ストラップ/ブレスレット:ステンレススチール製エアレーサーブレスレット、またはブラウンレザー+フォールディングクラスプ 限定数:500本 ¥1,325,500(レザーストラップ) 1,408,000(ブレスレット)
Brands:Breitling
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