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A.ランゲ&ゾーネ〈カバレット・トゥールビヨン ハニーゴールド〉

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A.ランゲ&ゾーネが誇る独創的なレクタンギュラーウォッチ〈カバレット〉に、希少なハニーゴールド仕様の限定モデルが登場した。最大の特徴は、2008年に世界初のストップセコンド機構付きトゥールビヨンとして発表されたCal. L042.1を搭載していること。20年以上前に設計されたムーブメントが持つ古典的な美意識と、手彫りエングレービングをはじめとする卓越したクラフツマンシップが、新たな素材表現によって現代に蘇る。

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A. Lange & Söhne Unveils the Cabaret Tourbillon Honeygold

A.ランゲ&ゾーネ〈カバレット・トゥールビヨン ハニーゴールド〉

A.ランゲ&ゾーネが誇る独創的なレクタンギュラーウォッチ〈カバレット・トゥールビヨン〉に、希少なハニーゴールド仕様の限定モデルが登場した。最大の特徴は、2008年に世界初のストップセコンド機構付きトゥールビヨンとして発表されたCal. L042.1を搭載していること。20年以上前に設計されたムーブメントが持つ古典的な美意識と、手彫りエングレービングをはじめとする卓越したクラフツマンシップが、新たな素材表現によって現代に蘇る。

by by Lee Sheng. May 16, 2026

 古き良きランゲの美点

〈カバレット〉は、1997年に登場したA.ランゲ&ゾーネ初期のコレクションのひとつであり、1994年にブランド復活とともに発表された〈アーケード〉の大型レクタンギュラーモデルとして位置づけられていた。

 しかしながら、このコレクションがメゾンの中心的存在となることはついになかった。時を経るにつれて徐々に存在感を失い、最終的には2013年を最後にカタログから姿を消している。

 その後、最上位モデルである〈カバレット・トゥールビヨン〉が唯一復活したのは2021年のことだった。

 このときは“ハンドヴェルクスクンスト(工芸芸術)”仕様による限定モデルとして登場している。シリーズの名にふさわしく、手彫りによるシャンルヴェ・エナメルダイヤルを含む、極めて凝った手仕上げが施されていた。

 そして今年、〈カバレット・トゥールビヨン〉が再び帰ってきた。今回もまた限定モデルとしての登場である。つまり、通常生産モデルにはない、特別な要素が与えられているのだ。

 今回その特徴となるのは、ハニーゴールド製ケースとグレーダイヤルの組み合わせだ。このコンビネーションはランゲでも珍しい。

 直近では2020年に発表された限定モデル〈トゥールボグラフ・パーペチュアル・ハニーゴールド“F. A.ランゲへのオマージュ”〉で採用されたのみである。

新作〈カバレット・トゥールビヨン ハニーゴールド〉は、50本限定で発売される。 

 2026年に登場したこの〈カバレット〉は、実際には2004年にまで遡る開発をベースとしている。そのことは、ムーブメントのキャリバー名L042.1からも見て取れる。

 つまり、このムーブメントの基本設計は、すでに20年以上前のものということになる。

 そのため、この時計には20世紀末的なデザイン文法の名残りが色濃く残されている。シャープなプロポーションやモダンなレイアウトを持つ現代的な時計とは異なる、どこかロマンティックな雰囲気を漂わせている。

 それがよく表れているのが、4時位置と7時位置に配されたサブダイヤルだろう。小ぶりなインダイヤルが大型のレクタンギュラーケースとのあいだに魅力的なコントラストを生み出している。現代の視点では、むしろ新鮮に映る独特のバランスである

 表示はスモールセコンドとパワーリザーブインジケーターで構成され、パワーリザーブは5日間という長大さを誇る。この性能は2004年当時としては極めて珍しいものであり、現在においてもなお十分に魅力的である。

グレーとハニーゴールドの組み合わせは、クールさと温かみを同時に感じさせ、このブランドによく似合う。洗練された魅力的なコンビネーションである。

 だが、この新しい限定モデルにおける最大の見どころは、2008年の初登場以来ほとんど変わっていないレイアウトではない。真の魅力はむしろダイヤルそのものにある。

 このダイヤルは、ケースと同じくハニーゴールド製となっているのだ。メインダイヤルと2つのサブダイヤルから成る3ピース構造を採用し、その表面にはグレートーンのロジウム加工が丁寧に施されている。

 その仕上げによって、ベース素材がハニーゴールドであることをほとんど感じさせない外観となっている。

 とはいえ、“ほとんど”であって完全ではない。合金の存在を示す痕跡は随所に残されている。たとえばロゴはハニーゴールドそのままの色味を保っている。

 しかもこれは“アプライド(後付け)”仕様ではない。ロゴはダイヤルへ直接彫り込まれており、文字部分が浮き上がるレリーフ状に仕立てられている。一方、その周囲の凹部にのみロジウム加工が施されている。

 こうしたディテールこそ、ランゲが特別な限定モデルのために用いる工芸芸術である。単なるカラーバリエーション変更ではなく、高いクラフツマンシップが注ぎ込まれた時計なのだ。

ストップセコンド付きトゥールビヨン

 〈カバレット・トゥールビヨン〉が2008年に発表された際、この時計が注目を集めた理由は、ケース形状に合わせて設計された長方形ムーブメントだけではなかった。

 世界初となる“ストップセコンド機構付きトゥールビヨン”だったことが大きな話題となったのである。

 そもそもトゥールビヨンは、精度向上のために考えられた機構である。それゆえ、正確な時刻合わせを可能にするストップセコンド機構が組み合わされていて当然と思われるかもしれない。

 しかし実際には、回転するトゥールビヨンケージ内部に収められたテンプを停止させることは、長年にわたって技術的に極めて困難とされてきた。

 そこでランゲは独自の機構を開発し、特許を取得することで、この問題を解決したのである。

息を呑むほど美しいL042.1キャリバー。

 ランゲが開発したのは、単純にテンプを止めるためのブレーキレバーではなかった。採用されたのは、2点で接触するV字型の可動レバーである。

 この仕組みには、ふたつの利点がある。ひとつは、レバー自体が支点を中心に動き、角度を変えられること。もうひとつは、V字型の2本のアームによって、可動部分をしっかり挟み込めることである。

 トゥールビヨンでは、テンプが回転するケージの内部に収められている。そのため、停止機構側も回転位置に合わせて動かなければならない。

 ランゲの可動式レバーは、ケージやテンプの位置に応じて角度を変えながら作動することで、どの位置でも確実に機構を停止できるようになっているのだ。

 さらに、トゥールビヨンケージには3本の突起状アームがあるため、単純なブレーキではうまく止められない。そこでレバーが回転に合わせて角度を変えながら可動系全体を挟み込み、最終的に機構を正確に停止させる仕組みとなっている。

V字型のストップセコンドレバーは、一方のアームをトゥールビヨンケージに、もう一方をテンプに接触させる構造となっている。より正確に言えば、レバーはテンプに備わる小型の姿勢調整ネジへ接触する。一方、より大きなネジは可変慣性ウェイトとして機能している。

 ストップセコンド機構に加えて、このムーブメントは極めて高水準な仕上げによっても注目に値する。

 なかでもこのモデルでは、手彫りエングレービングが施されたブリッジをふたつ備えている。実際、ランゲのトゥールビヨンであっても、すべてのモデルがこの仕様を持つわけではない。

 さらに注目したいのが、4分の3プレートそのものの形状である。滑らかな曲線を描くプレートの輪郭は、独立したふたつのブリッジによって優雅に分断されており、ムーブメント全体に非常にエレガントな印象である。

 これもまた、このキャリバーが20年以上前に設計されたムーブメントであることを物語っている。当時のランゲのデザイナーや設計者たちは、現代とは異なる、どこか古典的な美意識をもってムーブメントデザインに取り組んでいたのである。

花模様のシグネチャー・ハンドエングレービング。

Tech Specs:

A.ランゲ&ゾーネ〈カバレット・トゥールビヨン ハニーゴールド〉 ムーブメント:手巻き、Cal. L042.1、パワーリザーブ約120時間、毎時2万1600振動(3Hz) 機能:時・分表示、スモールセコンド、パワーリザーブ表示、アウトサイズデイト、ストップセコンド付きトゥールビヨン ケース:39.2mm × 29.5mm × 10.3mm、18Kハニーゴールド製、30m防水 ストラップ:アリゲーターストラップ、ピンバックル仕様 販売:ブティック限定 限定数:50本

Brands:A. Lange & Söhne

Brand:A. Lange & Söhne