の打ちどころのないスタイルと、確かな実用性、そして本質的価値を見事に融合させたタイムピースである。
The origin of the Breitling Premier
ブライトリング〈プレミエ〉コレクションの起源を遡る
ブライトリング〈プレミエ B01 クロノグラフ42〉は、非の打ちどころのないスタイルと、確かな実用性、そして本質的価値を見事に融合させたタイムピースである。
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by Felix Scholz. May 19, 2023 |
切っても切れない、ブライトリングとクロノグラフ
ブライトリングは、現代においては、プロフェッショナルのためのタフで実用本位のツールウォッチとして知られているブランドである。〈ナビタイマー〉や〈スーパーオーシャン〉はその代表格だ。しかし140年有余の歴史をひもとけば、そこには確かなエレガンスの系譜も見出すことができる。
その好例が、2023年に発表された〈プレミエ B01 クロノグラフ42〉コレクションだ。魅力的な6モデルで構成され、42mmケースに、同社自慢の自社製ムーブメント、キャリバー01を搭載している。
〈プレミエ〉の歴史は1943年、実に80年前にさかのぼる。しかし、この格式あるクロノグラフの豊かな過去と明るい未来を語る前に、まずはブライトリングがなぜこれほどまでにクロノグラフと密接に結びついているのか、その背景を整理しておこう。

▲ 1948年のブライトリングの広告。
ブライトリングは、そのカタログに多くの個性的で優れた時計を擁するブランドだが、その本質をひと言で表すならば——それは“クロノグラフ”に尽きる。創業当初から、この分野に特化してきたのである。
1884年、レオン・ブライトリングはスイス・サンティミエに最初のアトリエを開設し、わずか10年足らずでラ・ショー・ド・フォンに本格的なマニュファクチュールを築き上げた。スイス時計産業の中心地において、ストップウォッチやクロノグラフの製造で頭角を現し、ブランドの未来を方向づける特許技術を次々と生み出していった。
1914年には、息子のガストン・ブライトリングが経営を引き継ぐ。計測に対する世界のニーズが変化する中で、彼は2時位置に独立したプッシャーを備えた、クロノグラフ腕時計を開発した。これにより、クロノグラフの操作性は大きく向上し、誤作動も低減された。
この革新の背景にあったのは、当時揺籃期にあった“動力飛行”という新たな分野である。これこそが、ブライトリングが後に深く関わっていく航空の世界への、最初の一歩であった。

▲ 左:1884年、ブライトリングを創業したレオン・ブライトリング。 右:1914年から1927年にかけて、ガストン・ブライトリングがこのファミリー企業の指揮を執っていた。
しかし、ガストン・ブライトリングの在任期間は比較的短く、1927年に逝去。若き息子ウィリー・ブライトリングが家業の唯一の継承者として後を継ぐこととなった。ウィリーは、50年以上にわたり会社を率い、ブランドを次々と成功へと導いていった。
1933年には彼の指揮のもと、4時位置に第2プッシャーを追加するという革新が生まれた。これにより、2時位置のスタート/ストップ、4時位置のリセットと機能が明確にわけられたのである。
このレイアウトは、機能とデザインの両面において、現代のクロノグラフの基礎となった。これがブライトリングが、クロノグラフと強く結びついてる理由である。
ウィリー・ブライトリング——クロノグラフの王

▲ 左:三代目のウィリー・ブライトリングは、この時計メーカーの発展において重要な役割を果たした。右:1915年頃、ガストン・ブライトリングによって製作された、2時位置に独立したプッシャーを備える初期のクロノグラフ。
ブライトリングの物語において、そして〈プレミエ〉誕生の核心に位置する人物が、ウィリー・ブライトリングである。ブライトリング家の三代目として会社を率いた彼の人生は、特筆すべきものだった。
彼が家業を継いだのは、わずか19歳という若さであった。ブライトリングの公式ヒストリアンであり、『Premier Story』の著者でもあるフレッド・マンデルバウムはこう語る。
「ウィリー・ブライトリングが父を亡くしたとき、彼はまだ13歳の学生でした。しかし家族の記録を見ると、彼が将来何をすべきかは明確でした。彼がブライトリングを率いることに疑いの余地はなかったのです」
当時のスイスには、20歳未満は企業のゼネラルマネージャーに就任できないという法律が存在していた。そのためウィリーは19歳の誕生日を迎える前に会社へ入り、まずは経営を掌握し、自らの準備が整っていると母親を説得した。
彼が帳簿を精査する中で、さまざまな不正が暴かれたらしい。母が雇っていたゼネラルマネージャーを解任したという逸話も残っている。そして19歳で会社を掌握し、20歳の誕生日に正式にCEOとして登録されたのだ。
通常であれば、企業を率いるには経験や能力が不足していると考えられても不思議ではない。しかしウィリーはそうした予想を覆し、短期間で有能かつ先見性を備えたリーダーであることを証明してみせた。
彼の就任初期には、そのビジョンや経営方針について、明確な記録がほとんど残っていない。少なくとも1930年代においては、ウィリーの手腕を測る指標は、会社の業績しかない。

▲ ブライトリングのヒストリアン、フレッド・マンデルバウム。
マンデルバウムはこう語る。
「ほどなくして、オーストリアの雑誌で、ウィリーがクロノグラフを前面に打ち出しているのが確認できます。理解しておくべきは、ブライトリングの核は常にクロノグラフだったということです。特許や革新の多くも、この分野から生まれています。当時、クロノグラフは腕時計そのものと同様にニッチな存在でした。男性は腕時計を身につける習慣すらなく、ベストに懐中時計を下げるのが一般的で、腕時計をしていると笑われたような時代でした」
しかしウィリーは、腕時計の時代が必ず来ると見抜いていた。そして、皆にクロノグラフを欲しがらせるにはどうすればいいか、その戦略を練っていたのだ。
「それは1935年のことでした。あるインタビューの中で彼はマーケティングについて語り、コダックの“ブローニー”カメラを引き合いに出しています。このカメラは誰でも簡単に使え、写真を万人のものへと変えた。まさにゲームチェンジャーでした。ウィリーはそこから重要なヒントを得たのです。製品を標準化し、人々が欲しくなる外観を与え、さらに価格戦略を練る必要がある、と。彼は顧客を引き込むためのエントリーラインと、高価格帯であるハイエンドラインを用意しました。20歳にしてすでに、彼は明確なマーケティング戦略を持っていたのです。当時まだ誰も思ってもいなかった時代に、『誰もが腕にクロノグラフを着けるようになる』という未来を見据えていたのです」
ウィリーがクロノグラフに賭けたこの決断は、やがて実を結ぶ。1940年代には、クロノグラフの市場は大きく拡大し、一大ブームとなったのである。
クロノグラフを再び魅力的にするには?
しかし1950年代、時計業界は別の方向へと進み始める。マンデルバウムはこう説明する。
「1950年代には、ジャック=イヴ・クストーの影響もあってダイビングの人気が高まり、ダイバーズウォッチがブームになりました。1940年代にクロノグラフに憧れていた人々は、今度はダイバーズウォッチに夢中になったのです。その結果、クロノグラフの売上は劇的に落ち込みました」
しかしウィリーには打開策があった。
「彼は1950年代、クロノグラフメーカー協会の会長を務めており、クロノグラフをいかに再び魅力的な存在にするかについて、数百ページにも及ぶ戦略や市場調査をまとめ上げました。その成果が、1960年代初頭に登場するスポーツクロノグラフです。ブライトリング〈トップタイム〉のように、今日私たちが愛してやまないモデルの多くは、この戦略から生まれたのです」
新たなマーケティングアプローチによって、1960年代には売上が10倍にまで拡大し、誰もがスポーツクロノグラフを欲しがる時代が到来した。これらはすべて記録として残っており、彼の影響力の大きさがうかがえる。
1960年代に花開くスポーツクロノグラフの成功の種は、実は1940年代初頭にすでに蒔かれていた。1940年代は大戦の時代であり、ブライトリングの計時機器や航空用クロノグラフは、RAF(英国空軍)をはじめとする軍事用途に供されていた。
注目すべきは、この混乱の時代にあっても、ブライトリングが未来を見据えていた点である。ウィリー・ブライトリングは戦争の終結を予見し、戦時需要に応えながらも、平時に向けた準備を進めていた。
マンデルバウムによれば、ウィリーの洗練されたマーケティング感覚こそが、その後数十年にわたる成功の礎を築いたのである。

▲ 現代的なカラーバリエーションによって、〈プレミエ〉はフレッシュな魅力を保っている。
〈プレミエ〉という名に込められた意味
「ウィリーは、まるで卓越したチェスプレイヤーのような人物でした。常に数十手先を見据えて動いていたのです。技術、ケースデザイン、外観――あらゆる要素を構想しながら、明確なマーケティング戦略を打ち立てていきました。それぞれのラインに固有の名前を与えたのも、その一環でした。当時としては非常に珍しく、複数の商品セグメントを展開するブランドで、コレクション名を持つ例はほとんどなかったのです。1941年、最初に登場したのが〈クロノマット〉で、その後、1943年から44年にかけて〈デュオグラフ〉、〈ダトラ〉、そして〈プレミエ〉が相次いで登場します。1943年が〈プレミエ〉の誕生年とされるのは、このとき初めてその名が与えられたからです」
マンデルバウムはさらにこう続ける。
「その名称は、時計の本質を表したものです。ウィリーにとって“Premier”とは“最初”ではなく“最高”を意味していました。ワインのプルミエ・クリュのように、最高品質を指す言葉です。最高のムーブメントと機能性を土台に、最良の品質管理、そして最良のケースメーカーやダイヤルメーカーを用いる……それが彼の描いた〈プレミエ〉のコンセプトでした」
〈プレミエ〉の登場とともに、ブライトリングの広告表現も大きく変化していった。ウィリーはハリウッドのパラマウントと契約を結び、当時の人気スターであったシーザー・ロメロを広告に起用した。
そこに据えられていたのは“希望”というメッセージである。戦争の終結を予見していたウィリーは、時計を軍需から民生市場へとシフトさせていく。ラグジュアリー、華やかさ、そして楽観主義――それらが〈プレミエ〉のコンセプトだった。〈プレミエ〉とは、まさに希望と“生きる歓び”を謳った時計なのである。

▲ 1943年頃のブライトリング〈プレミエ〉Ref.765(左)と、現代コレクションのモチーフとなった〈プレミエ〉Ref.734。
スペシャリストとの協業が生んだ傑作
現在では、ブライトリングは自社製キャリバー01を持ち、それが世界屈指のクロノグラフムーブメントであることは広く知られている。しかしウィリーの時代、時計業界の構造は大きく異なっていた。
当時のブライトリングも例外ではなく、ムーブメントを自社で生産するのではなく、専門メーカーから供給を受けていたのである。
〈プレミエ〉においては、そうしたパートナーの中でも“最良”のものだけが選ばれていた。ケースはもちろん、ムーブメントにおいても同様だ。当時最高峰とされたのが、ムーティエに拠点を置くヴィーナス社のムーブメントであった。
1937〜38年以降、ヴィーナスはキャリバー170をブライトリング向けに供給し、これはエントリークラスのクロノグラフに採用された。一方〈プレミエ〉には、より高性能なキャリバー175や178が用いられている。
これらのムーブメントは当時として極めて先進的であり、コラムホイール式クロノグラフ、インカブロック耐震装置、ブレゲ式ヒゲゼンマイを備えていた。それ自体が名機と称される存在であり、〈プレミエ〉にふさわしい心臓部であった。
“希望”から生まれた〈プレミエ〉は、その期待に見事に応えることになる。マンデルバウムによれば、80年前の個別モデルの成功を正確に測ることは難しく、残されているのは主に生産ロットの記録のみだという。
しかしその限られたデータからも、明確な傾向が読み取れる。初期は数百本単位だった生産ロットが、やがて2000本規模へと拡大。1940年代初頭から中頃にかけて、生産数は実に約8倍へと増加しているのである。
それは〈プレミエ〉が、単なる新作ではなく、時代の空気を的確に捉えていたことを物語っている。
重要リファレンス、765と777
初期のブライトリング〈プレミエ〉クロノグラフは、多彩な仕様とデザインで展開されたが、その中でもコレクターの間で特に重要視されるリファレンスがいくつか存在する。まず挙げるべきは、Ref.765とRef.777の“兄弟モデル”である。
Ref.765は38.1mmケースの3カウンター・クロノグラフで、ヴィーナス178を搭載。細く長く先細りするラグが特徴で、これが後に〈プレミエ〉のデザインを象徴する要素となった。一方のRef.777は、その2カウンター仕様にあたるモデルである。
これらのモデルは〈プレミエ〉としてコレクション名を与えらた1943年以前より存在していた。その完成度はすでにプレミエの名にふさわしく、それから1960年代までラインアップの中核として君臨し続けた。
なおRef.765の多くはスチールケースだが、ごく少数存在する金無垢モデルは極めて希少で、現在ではコレクター垂涎の存在となっている。

▲ この1945年製のRef.777に代表される初期モデルは、ヴィーナス Cal.175のような手巻きムーブメントを搭載していた。
1970年代のクオーツショックを経て、1979年にウィリーが死去すると、ブランドはアーネスト・シュナイダーへ売却された。その後、2017年までブランドはシュナイダー家が管理した。2017年にブランドは再び売却され、元IWCのジョージ・カーンがCEOに就任した。
コレクターの観点から見ると、ブランドの歴史やヘリテージの活用については、ブライトリングにはまだ改善の余地があるとマンデルバウムはいう。
「私たちが変えたいと思っているのは、ブライトリングが自らのヘリテージを十分に活用してこなかったことです。シュナイダー時代のブライトリングがなぜ過去を顧みなかったのかについては、さまざまな議論があります。例えば、ウィリー・ブライトリングの息子グレゴリーはジュネーブでハリー・ウィンストンに勤めていましたが、シュナイダー家から彼に連絡が来たことは一度もありませんでした。最初に連絡を取ったのは、ジョージ・カーンが経営を引き継いだときだったのです。理由はどうあれ、長い間ブライトリングは自らの歴史を顧みず、コレクターコミュニティも支援してきませんでした。その結果、かつてヴィンテージ市場に出回っていたプレミエの相当数が偽物になってしまいました。実際、これは簡単でした。汎用のスイス製クロノグラフに偽のブライトリングダイヤルを載せて、高値で売るだけですから。しかしここ数年で状況は改善されています。コレクター向けのガイドがあり、本物かどうかをすぐに見分けられるようになりました」
2018年、プレミエ復活
つい数年前まで、プレミエを手に入れるにはヴィンテージに頼るしかなかった。しかし2018年、その状況は一変する。プレミエがカタログに復活し、ブライトリングは再びドレッシーなクロノグラフの世界へも足を踏み入れたのである。
この復活は、2021年に発表されたプレミエ ヘリテージラインの〈プレミエ B09 クロノグラフ 40〉へと続く。40mmケースに手巻きムーブメントB09を搭載し、印象的なピスタチオカラーのダイヤルを備えたモデルが話題を呼んだ。
ブライトリングのクリエイティブ・ディレクター、シルヴァン・ベルネロンは、このプロジェクトの初期から関わってきた人物である。
ベルネロンは語る。
「リニューアルにあたっては、まず1940〜50年代のヴィンテージモデルをもとにデザインを起こしました。私はデザインチームを統括しており、最初のスケッチから最終的な設計、そして製品化に至るまで、すべてに関わっています」

▲ ブライトリングのクリエイティブ・ディレクター、シルヴァン・ベルネロンと、彼がデザインし2021年に発表された、印象的なピスタチオダイヤルを備えた〈プレミエ B09 クロノグラフ 40〉
2017年、ジョージ・カーンがブライトリングの経営に就いてからわずか1年後、ブランドは現代版プレミエの最初の進化形を発表した。42mmのクロノグラフと、40mmの3針およびデイデイトモデルである。
その復活に対する反応について、シルヴァン・ベルネロンはこう振り返った。
「2018年に受け取ったフィードバックは非常に良いものでした。『ありがとう、長い冬だった』と言ってくる人が本当に多かった。こうしたスタイルの時計を求める人にとって、それまではヴィンテージを探すしかなかった。それが日常的に安心して使える現行モデルとして手に入るようになったのです。しかも美しさはそのままに。これは大胆な試みでした。ヴィンテージのデザインを3〜5mm大きくしながら、プロポーションとエレガンスを保つのは決して簡単ではありませんでした」
もちろん、ヴィンテージ愛好家にとって、サイズ拡大は賛否の分かれるところだが、そこには明確な理由がある。
ベルネロンはいう。
「最大の違いはケースサイズです。40〜50年代の時計は36〜38mmが主流で、手巻きムーブメントしかなく、防水性もほとんどありませんでした。現代では自動巻きでロングパワーリザーブ、高精度、そして防水性やスクリューバックなど、多くの要素が加わっています。その結果、時計全体のサイズは必然的に大きくなる。現在では38mmが最小で、クロノグラフは自動巻き機構の関係で42mm前後が主流となっています」
サイズの拡大は単なるトレンドではなく、性能向上の帰結でもあるのだ。そしてベルネロンは、現代のプレミエがいかに過去の精神を受け継いでいるかについて、さらにこう続けた。
「重要なのは、全体のプロポーションなのです」
エレガンスの体現という主題
「私たちが目指したのは、これらの時計が持っていたエレガンスと繊細さをしっかり捉えることでした。焦点はあくまで“エレガンス”であり、そして私が言うところの時計づくりにおける“サブスタンス(実質)”です。ムーブメントの質、ケースの仕上げ、ダイヤルの完成度──すべてにおいて妥協はありません。タイポグラフィについても徹底的に検証しました。デザインは、1940〜50年代のブライトリングのヘリテージと直接結びつきますし、それはかなり忠実に実現できたと思います。一方でヴィンテージとの決定的な違いは、日常使いができる点です。70年、80年前の時計は扱いに非常に気を遣わなければならず、決して万能とは言えません。その点、現代のプレミエは安心して毎日身につけることができるのです」

▲ 2021年、ブライトリングは1940年代の名作を現代的に再解釈したモデルとして、ピスタチオグリーンダイヤルを備えたステンレススチール製〈プレミエ B09 クロノグラフ 40〉、ブラックダイヤルを備えた18Kレッドゴールド製〈プレミエ B15 デュオグラフ 42〉、そしてカッパーダイヤルを備えたステンレススチール製〈プレミエ B25 ダトラ 42〉を発表した。
ブライトリングのプレミエの魅力は、単に昔を偲ばせるエレガントなクロノグラフであるという点にとどまらない。それはブランドの本質、そして現代の時計における嗜好そのものにも関わっている。
「ここ10年ほど、スポーツウォッチ、とりわけ一体型ブレスレットのスチールモデルが圧倒的な人気を博してきました。これはモダニティとも関係していると思います。いまはそこまでフォーマルである必要がなく、1本で何でもこなせる時計が好まれる。その気持ちは理解できます。ただ、私がブライトリングでとても気に入っているのは、そのポートフォリオの幅広さです。手巻きムーブメントを搭載したゴールドのプレミエから、プロフェッショナル仕様のチタン製〈エマージェンシー〉まで、非常に幅広いラインナップを持っている。これは他のブランドとの大きな違いであり、この多様性は必ず守っていかなければならないものだと思います」
ベルネロンは続ける。
「プレミエコレクションは、商業的な理由以上に“作りたいから作る”という気持ちで開発を続けてきたものです。市場は振り子のように動くものだと思っています。ここまで一体型スチールスポーツウォッチに振れた今、多くの人がすでに1本は持っているはずです。だからこそ、今後はより薄く、より時計としての本質的な価値を備えたモデルへと回帰していくのではないでしょうか」

▲ レッドゴールドでもステンレススチールでも、オパーリン(半マット)の仕上げが、プレミエのエレガントな美意識を最も体現する。
最新のプレミエコレクションに加わったモデル群が、本格的な中身を備えていることに疑いの余地はない。ブライトリングの記念碑的クロノグラフ誕生から80年──その最新形として登場したのが〈プレミエ B01 クロノグラフ 42〉である。いずれも、ブライトリング自社製ムーブメント“キャリバー01”を搭載している。

▲ 新作プレミエモデルには、ブライトリング自社製ムーブメント〈キャリバー01〉が搭載されている。
魅力的なラインナップ
2009年に登場したキャリバー01――専用設計の統合型クロノグラフムーブメントは、信頼性と堅牢性を徹底的に追求して開発され、現在でも屈指の評価を誇るクロノグラフキャリバーである。2022年に刷新された最新仕様では、ローターの小型化によって、従来以上にスリムな設計を実現している。
また、このムーブメントは、ブライトリング独自の過酷な耐久テストを経ている。これは約16年の使用を想定した試験で、約60,000回の500G衝撃、10万回以上のリューズ巻き上げ、約5,840回のクロノグラフ操作(スタート/ストップ/リセット)、さらには約350万回におよぶローター回転試験などが含まれる。
こうした徹底した検証のもと、5年間の保証が付帯される点も特筆に値する。すなわち、毎日安心して着用できるというわけだ。パワーリザーブも十分で、腕から外した状態で約70時間動き続ける。
ブライトリングはこのハイエンドクロノグラフムーブメントの魅力も余すところなく見せている。サファイアケースバックを通して、その精緻な機構を堪能することができる。

▲ サーモンダイヤルの温かみある色調は、そのルーツに忠実でありながら、同時に現代のトレンドにも合致している。
デビューコレクションにおいて、ブライトリングは王道ともいえるカラーを選択した。ブラック、ブルー、サーモン、グリーン、クリームの5色が揃い、いずれもサブダイヤルやインデックスなどのダイヤルパーツはトーンを揃えた統一感ある仕上げとなっている。
ダイヤルデザインはあくまでクラシカルで節度のあるもの。繊細にプリントされた数字、外周のタキメータースケール、6時位置に自然に溶け込む日付表示、そしてポリッシュ仕上げのアラビア数字インデックスが、整然とした表情を生み出している。構造面でも手が込んでおり、多層構造に異なる仕上げを組み合わせることで、豊かな奥行きと質感を実現している。
針にも同様のこだわりが見て取れる。時針・分針には、先端が鋭く伸びるシリンジ(注射器)型が採用され、たっぷりと夜光塗料が充填されている。クリームとブラックは最も伝統的な表情を持ち、ブルーとグリーンはやや現代的なニュアンスを帯びる。一方、多くの人にとって主役となるのはサーモンダイヤルだろう。温かみのある色調が、プレミエのヴィンテージ感をいっそう引き立てている。
ドレッシーな性格にふさわしく、標準ではダイヤルカラーに合わせたアリゲーターストラップが装着される。よりタフでカジュアルな装いを求めるなら、ブライトリング伝統の7連スチールブレスレットを選ぶことも可能だ。

▲ グリーンダイヤルにスチールブレスレットを組み合わせると、クラシカルなデザインに現代的なニュアンスが加わる。
特筆すべきはレッドゴールドモデルだ。クリームダイヤルに、同じくレッドゴールドトーンの針とアワーマーカーを組み合わせ、艶やかなブラウンのアリゲーターストラップを装着している。この一本こそ、プレミエの価値観を表している。
すべての要素は最高水準のクオリティで構成されており、80年前にウィリー・ブライトリングが世に送り出した初代プレミエの哲学を見事に受け継いでいる。現代において、このようなドレッシーなクロノグラフはスポーティなスチールウォッチ全盛の流れに逆らう存在かもしれない。だが、優れた美意識というものは決して時代に左右されるものではないのだ。

▲ ドレッシーな佇まいでありながら、プレミエは日常使いを前提に設計されている。
Tech Specs
<スチールモデル> ムーブメント:自動巻きキャリバー01(パワーリザーブ約70時間) 機能:時・分表示、日付、クロノグラフ ケース:42mm × 厚さ13.6mm/ステンレススチール/防水10気圧 ストラップ:カラーバリエーションのあるアリゲーターレザー(フォールディングバックル)または7連スチールブレスレット(バタフライクラスプ)
レッドゴールドモデル ムーブメント:自動巻きキャリバー01(パワーリザーブ約70時間) 機能:時・分表示、スモールセコンド、日付、クロノグラフ ケース:42mm × 厚さ13.6mm/18Kレッドゴールド/防水10気圧 ストラップ:ブラウンアリゲーターレザー(18Kレッドゴールド製フォールディングバックル)または18Kレッドゴールド製7連ブレスレット(バタフライクラスプ)
Brands:Breitling(House of Brands Japan)
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