時計販売店は数多く存在する。しかし、ティファニーは別格だ。Revolutionは、時計ブランドが自社の文字盤にティファニーの名を許してきた理由を探る。
Revolution Awards 2025: Best Revival Watch — Universal Genève Tribute to Compax
Revolution Awards 2025:ベスト・リバイバル・ウォッチ賞
ユニバーサル・ジュネーブ〈トリビュート・トゥ・コンパックス “ニーナ”〉
名作をよみがえらせることは、単なる復刻ではない。そのブランドが築いてきた哲学や技術、そして未来への意思まで受け継いでこそ、本当のリバイバルといえる。この1本は、その理想を見事にカタチにしたのである。
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by Tracey Llewellyn . Jan 27, 2026 |
ユニバーサル・ジュネーブの時計製造復活を象徴する一本となったのが、2025年のベスト・リバイバル・ウォッチ賞に選ばれた〈トリビュート・トゥ・コンパックス “ニーナ”〉である。
この賞は、伝説的な名作を現代によみがえらせたモデルに贈られるもので、通常コレクション、あるいは限定モデルであるかは問わない。
今回受賞した〈トリビュート・トゥ・コンパックス “ニーナ”〉は、その価値がデザインだけで築かれたわけではない。1960年代後半、サーキットでこの時計を身につけていたレーシングドライバー、ヨッヘン・リントの妻、ニーナ・リントの存在によって、この実用的なクロノグラフは、やがて世界中のコレクターが憧れる伝説的な一本となったのである。

▲ユニバーサル・ジュネーブ〈コンパックス〉を着用したニーナ・リント(©Revolution)
新しい〈トリビュート・トゥ・コンパックス〉が目指したのは、現代的なアレンジではなく、オリジナルへの忠実な再現である。36mmケース、ポンププッシャー、ツイストラグ、そしてパンダダイアルまで、ニーナ・リントが愛用したモデルの特徴を細部に至るまで受け継いでいる。視認性を高めるため、彼女自身の希望で採用されたとされるレッドのクロノグラフ秒針も、象徴的なディテールとして復活した。
そして、この復刻を特別なものにしているのは、そのこだわりが外観だけにとどまらないことだ。ユニバーサル・ジュネーブは、自社のアーカイブをもとに手巻き・コラムホイール式ムーブメントCal.281を復活。すべてのムーブメントはメイランの工房で分解・再組立て・手仕上げが施されており、この復活劇が単なるノスタルジーではなく、本格的な時計製造の復興であることを物語っている。

▲ユニバーサル・ジュネーブ〈トリビュート・トゥ・コンパックス〉(©Revolution)
その姿勢は、ダイアルの仕上げにも貫かれている。ホワイトゴールド3本、レッドゴールド3本の計6本すべてに、高温で焼成する伝統技法「グラン・フー・エナメル」のダイヤルを採用。少量生産でしか実現できないこの技法によって、豊かな奥行きと半永久的な美しさを備えたダイヤルが生み出されている。これは、ユニバーサル・ジュネーブがミッドセンチュリーを代表する名作で培ってきたクラフツマンシップを、現代に受け継ぐという意思の表れでもある。
さらに、ストラップにはフランス国家最優秀職人章(MOF)を受章した日本人レザー職人、細井聡が手掛けたハンドメイドのバンドストラップを採用。ストラップ自体にも価値があるのだ。
ブレスレットや一般的なレザーストラップではなく、あえてバンドストラップを選んだことにも、ニーナ・リントが実際に時計を身につけていたスタイルへのオマージュが込められている。

この復刻は、ブライトリングのオーナー企業によるユニバーサル・ジュネーブ買収後、ブランドとして本格的に打ち出した再始動のメッセージでもある。その後ろ盾によって、長く眠っていたメゾンを再建するための資金力と安定した基盤、そして明確なビジョンがもたらされた。
生産数も意図的に絞られ、3本ずつを1組とした2セット、合計6本のみが製作される。販売による収益は、ジュネーブ時計学校を支援するために活用される予定だ。
つまり、この復刻は過去の名作をよみがえらせるだけではない。ブランドの未来を支える時計師を育て、その技術を次世代へ受け継いでいくという、ユニバーサル・ジュネーブの新たな決意を象徴するプロジェクトでもある。

〈トリビュート・トゥ・コンパックス “ニーナ”〉がベスト・リバイバル・ウォッチ賞に選ばれた理由は、その復刻の完成度にある。
これは単に往年の名作を再現したモデルではない。ブランドを象徴する一本から再出発し、かつてユニバーサル・ジュネーブが高い評価を築いた時計づくりの哲学までを現代によみがえらせようとする挑戦なのである。
その結果生まれた〈トリビュート・トゥ・コンパックス〉は、ブランドの豊かな歴史を尊重しながら、新たなオーナーのもとで歩み始めたユニバーサル・ジュネーブの未来への意思を力強く示している。そして、この一本は、輝かしい過去を未来への礎とする、新時代の幕開けを告げる時計なのだ。
Brands:Universal Genève
日本でのお問い合わせ先:ユニバーサル・ジュネーブ(House of Brands Japan)contact.jp@universalgeneve.com
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