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Revolution Awards 2025:ベスト・ニュー・コレクション賞

Editorial

2025年、シャネルのアイコン〈J12〉の誕生25周の節目に発表となった〈J12 BLEU〉の開発秘話と、職人たちがこだわり抜いた技術の結晶を深掘りする。

Editorial

Revolution Awards 2025: Best New Collection — Chanel J12 Bleu

Revolution Awards 2025:ベスト・ニュー・コレクション賞

CHANEL〈J12 BLEU〉

2025年、シャネルのアイコン〈J12〉の誕生25周の節目に発表となった〈J12 BLEU〉の開発秘話と、職人たちがこだわり抜いた技術の結晶を深掘りする。

by Tracey Llewellyn. Jan 27, 2026

 シャネルの〈J12 BLEU(ブルー)〉が、2025年ベスト・ニュー・コレクション賞を受賞した。その理由は、この時計が「J12を崩すことなく、J12を変化させる」という、一見簡単そうに見えて実は非常に困難な課題を成し遂げたからだ。

 ケース形状を変えたわけでも、過去の経緯を書き換えたわけでもない。ましてや、まったく別の時計に変えようとしたわけでもない。シャネルは、ある一つの基本的な要素を変えることで、その影響をコレクション全体に波及させたのだ。その要素とは、「色」である。あるいは、より正確に言えば「素材」だ。

 J12の本質はセラミックにあった。コーティングや単なる装飾としてではなく、時計の構造そのものとしてだ。「ブラック」と「ホワイト」は、何年も前にこの時計の不動の地位を確立したが、「ブルー」は、そこに第3の表現をもたらした。

 これは鮮やかなブルーではなく、現在の流行色を追ったものでもない。薄暗い場所ではほぼ黒に見え、日光の下では表情を変える。その表面はマットで、主張しすぎることがない。離れた場所からでも目立つことを意図した色ではなく、見る者の注意を引きつけ、二度見させるような深みがある。

シャネルのウォッチ マニュファクチュールが、J12 BLEU専用の独自の色彩を開発するまでには、5年もの研究歳月を要した。(©Revolution)

 シャネルはこのBLEUを、単なる季節限定の試みとして扱わなかった。セラミックの開発には数年を要し、完成した翌年には、定番化を決断した。BLEUは一本の時計ではない。一つのコレクションである点が重要だ。同じ素材が、3針の自動巻き、複雑機構、そして究極のサファイア構造の時計にまで採用されている。価格帯や複雑さは幅広いが、それらは確かに一つの物語でつながっている。

 エントリーモデルである自動巻きのJ12は、実直で堅牢なタイムピースである。セラミック製のケースとブレスレット。明快な視認性。ドラマ性よりも信頼性を重視して選ばれたムーブメント。これらは自らの役割をきっちりと果たし、その佇まいも美しい。シャネルはこれについて過剰な説明をしないし、その必要もないのである。

CHANEL〈J12 BLEU〉 数量限定(©Revolution)

 レンジが上になると、そのトーンは一変する。トゥールビヨンが登場し、スケルトン加工が忍び寄る。サファイアケースは、透明性という概念を極限にまで押し上げる。しかし、そのデザインが足元を見失うことは決してない。J12の構造は損なわれず、複雑機構(コンプリケーション)は誇示されるためではなく、あくまで機能の拡張として追加されている。技術的に野心的なモデルになろうとも、これらの時計は日常の着用に耐えうる実用性を決して失わない。

CHANEL〈J12 BLEU ダイヤモンド トゥールビヨン〉世界55本限定 (©Revolution)

 このコレクションは、シャネルがウォッチブランドとしてどれほどの高みに到達したかを物語っている。自社製(インハウス)キャリバーは、外部で開発されたキャリバーと堂々と並び立っている。それぞれの時計が、それぞれの役割を果たすことで、その「静かなる自信」がラインナップ全体に貫かれている。

172個の部品で構成されるキャリバー 5の開発には3年の歳月が費やされた。 (©Revolution)

 J12 BLEUはまた、ノスタルジー(懐古趣味)とも無縁である。ヴィンテージの焼き直しや、過去のアーカイブの模倣は一切ない。これは、独自の歩みで成熟することを許された現代の時計なのだ。

 ブルー セラミックは光の加減でその表情を変え、マット仕上げの表面は使い込むほどに馴染んでいく。シャネルはそれを好意的に捉えているようだ。J12はもはや、時代に媚びる必要などないのである。

 これは、スペックばかりを気にするマニアや、流行を追いかける者たちのためのコレクションではない。J12の本質を理解している人々のためのものだ。今回の受賞は、その審美眼が正しかったことを証明している。

 シャネルは時計を再発明したのではない。その立ち位置を洗練させ、そうすることで、過去25年間で最も耐久性の高いデザインの一つを、さらに強固なものにしたのである。

Brands: Chanel

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