一度は歴史の幕を閉じた伝説のブランドが、現代の技術と哲学を携えて鮮やかによみがえった。ダニエル・ロートの美学を未来へつなぐ、新たな傑作である。
Revolution Awards 2025: Best Men’s Watch — Daniel Roth Extra Plat Rose Gold
Revolution Awards 2025:ベスト・メンズ・ウォッチ賞「復活進化」
ダニエル・ロート〈エクストラ プラット ローズゴールド〉
一度は歴史の幕を閉じた伝説のブランドが、現代の技術と哲学を携えて鮮やかによみがえった。ダニエル・ロートの美学を未来へつなぐ、新たな傑作である。
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by by Sheng Lee. Jan 27, 2026 |
ベスト・メンズ・ウォッチ賞は、おそらくRevolution Awardsの中でも最も選考が難しい部門のひとつである。特に近年は、多くの独立時計師がクラシカルなドレスウォッチの制作に情熱を注ぐ一方、この分野で長い歴史を築いてきた名門メゾンも健在で、候補作はいずれも高い完成度を誇っているからだ。
Revolutionが重視したのは、洗練された美しさ、完璧なプロポーション、そして真に優れた時計製造技術が融合しているかどうかである。その点、最も強い印象を残したのが、ダニエル・ロート〈エクストラ プラット ローズゴールド〉だった。
この時計には、作り手の情熱と膨大な努力が惜しみなく注ぎ込まれている。そして何より、そのこだわりは一目見ただけで伝わってくるのである。

▲ ダニエル・ロート〈エクストラ プラット ローズゴールド〉(©Revolution)
1989年、ダニエル・ロートは独立時計師としてのキャリアをスタートさせ、その第一作として発表したのが、特徴的なダブルエリプスケースを備えたトゥールビヨン〈C187〉だった。そして翌1990年、よりシンプルな時刻表示のみのモデルとして登場したのが、後に現代を代表するメンズウォッチ・デザインのひとつと評価されることになる薄型モデル〈C107〉である。
その後、時代の流れとともにブランドは表舞台から姿を消し、この物語は終わったかに思われた。しかし近年、ルイ・ヴィトンがダニエル・ロートを復活させ、その歴史は新たな章を迎えることとなる。
この復活劇は、オリジナルブランドの歩みを忠実になぞっている。まず発表されたのは〈トゥールビヨン スースクリプション〉、続いて〈エクストラ プラット スースクリプション〉であった。
この再始動が魅力的なのは、ダニエル・ロートが築いた美学やプロポーションを忠実に継承しているだけではなく、機械式時計への飽くなき探求心までも受け継いでいる点にある。
のモデルには、ルイ・ヴィトンのウォッチメイキングアトリエ「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」のもとで一から新たに設計・開発されたムーブメントを搭載。構造設計から仕上げに至るまで、単なる過去の再現ではなく、その遺産をさらに高い次元へと昇華させることを目指しているのである。

▲ ダニエル・ロート〈エクストラ プラット スースクリプション〉(©Revolution)
2025年初頭に発表された限定モデル〈エクストラ プラット スースクリプション〉は、1990年のオリジナルC107に対する“第2章”ともいえる存在だ。長い年月と経験、そして現代の製造技術を得たことで、当時のアイデアをさらに洗練させた“理想形”といってよい。
その象徴がギヨシェダイアルである。自社内で製作され、多くの時間と手間を惜しまず注ぎ込むことで、彫りの輪郭は驚くほどシャープかつ精緻に仕上げられている。そこへブルーラッカーを丁寧に流し込み、ブルースティール製の針と完璧な色調で調和させた。遠目にも強い存在感を放ち、近づくほどにその精密な仕事ぶりが味わえるダイアルとなっている。
ケースサイズは38.6×35.5mm、厚さはわずか7.7mm。イエローゴールド製ケースには、美しく湾曲したラグがつけられている。この曲線は、ストレートラグを採用していたヴィンテージのオリジナルには存在しなかったものであり、その違いは装着感にも大きく表れる。手首への収まりが格段によくなり、時計全体のエレガンスを一層引き立てている。

▲ダニエル・ロート〈エクストラ プラット スースクリプション〉
しかし〈エクストラ プラット スースクリプション〉は、わずか20本限定で製作されたモデルだった。そのため、多くの愛好家が通常生産モデルの登場を待ち望んでいた。そして数カ月後、その期待に応えるように、5Nローズゴールドケースをまとったレギュラーモデルが発表される。
ケースサイズはスースクリプションと同じながら、素材を5Nローズゴールドへ変更したことで、より現代的で洗練された表情となっている。ダイアルはホワイトゴールドとローズゴールドの無垢素材によるツートーン仕様で、ハンドメイドによる「ギヨシェ・アン・リーニュ(直線ギヨシェ)」が施されている。

▲ ローズゴールドケースを採用したダニエル・ロート〈エクストラ プラット スースクリプション〉
いずれのモデルにも、自社開発による極薄ムーブメントが搭載されている。これは今回の復活における、重要な進化といえるだろう。オリジナルのダニエル・ロートは自社製キャリバーを採用していなかったが、それは決して欠点ではなかった。しかし、完全自社設計・自社開発のムーブメントを備えることで、ブランドの物語は、より力強いものとなっている。
かつてはフレデリック・ピゲ製ムーブメントをベースとしていたのに対し、新開発ムーブメントは毎時2万8800振動で駆動し、約65時間のパワーリザーブを備える。さらに、先に発表された〈トゥールビヨン スースクリプション〉と共通する設計思想に基づく、洗練されたマルチブリッジ構造を採用している点も見逃せない。
また、〈エクストラ プラット スースクリプション〉はオリジナルモデルへのオマージュとしてソリッドケースバックを採用している一方、ローズゴールドのレギュラーモデルには、Cal.DR002を鑑賞できるサファイアクリスタル製ケースバックが備えられている。

▲自社開発ムーブメントCal.DR002(©Revolution)

Brands:Daniel Roth
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