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Revolution Awards 2025:ベスト・コンセプト・ウォッチ賞

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「ベスト・コンセプト・ウォッチ賞」に輝いた、ブレゲの〈エクスペリメンタル 1〉。未来の技術を検証する“究極の実装試験機”として誕生した、メゾンの新

Editorial

Revolution Awards 2025: Best Concept Watch — Breguet Expérimentale 1

Revolution Awards 2025:ベスト・コンセプト・ウォッチ賞

ブレゲ〈エクスペリメンタル 1〉

2025年ベスト・コンセプト・ウォッチ賞に輝いた、ブレゲの〈エクスペリメンタル 1〉。未来の技術を検証する“究極の実装試験機”として誕生した、メゾンの新たな技術的転換点を読み解く。

by Tracey Llewellyn . Jan 27,2026

 

 ブレゲの〈エクスペリメンタル 1〉が、2025年度Revolution Awadsの「ベスト・コンセプト・ウォッチ賞」を受賞した。その理由は、従来の機械式腕時計の常識を覆す、未踏の技術的アイデアを導入した点にある。

 既存のキャリバーを磨き上げる、あるいは単なる審美的な試みを披露するといった次元ではなく、ブレゲはこの時計を、新技術を検証するための究極の実装試験機として位置づけたのだ。新たな脱進機構造、エネルギー伝達への新アプローチ、そして実働するタイムピースとしての精度を司る新たな仕組みを検証するための場としたのである。それは厳密な意味でのコンセプトウォッチであり、将来の量産型ムーブメントへと受け継がれる技術を育む、未来への第一歩に他ならない。

 ▲ブレゲ〈エクスペリメンタル 1〉。世界初となる、マグネティック・コンスタントフォース脱進機搭載のトゥールビヨン。18Kブレゲゴールドケースに収められたムーブメントには、精緻なスケルトン加工が施されている。

 この意欲的なマイルストーンの中核を成すのは、伝統的なスイスレバー脱進機と完全に決別したキャリバー 7250である。磁気トラックを備えた2つのガンギ車と、機械的な接触ではなく、磁気によって制御されるアンクルを中心に構築されたマグネティック・コンスタントフォース脱進機を採用したことにある。

 構成部品同士が接触しないため、この新しい脱進機は従来の構造に不可避であった摺動摩擦を一切排除して作動する。また、磁気インパルスが輪列からのトルク変動からテンプを解放し、ムーブメントの全作動域にわたって均一なエネルギーを供給し続けるのだ。

▲12時位置に鎮座するトゥールビヨン。

 このトゥールビヨンは 10Hz(毎時7万2,000振動)という、従来のレギュレーターを遥かに凌駕する高振動で時を刻む。ムーブメントは、脱進機内部の摩擦によって調速機構が減速しないよう設計されており、この高周波駆動を支えている。動力源は、それぞれ二つのゼンマイを備えたダブルバレルを採用し、72時間のパワーリザーブを誇る。

 これにより、高振動でありながら、作動期間を通じてテンプの振り角を維持することに成功したのだ。この手法には、実用性を重んじる時計製造の理知が息づいているのである。すなわち、精度の安定を損なうことなく、マグネティック・コンスタントフォース脱進機を備えた高振動トゥールビヨンを日常のあらゆるシーンで使いこなすことを可能にしたのである。

▲マグネティック・コンスタントフォース脱進機を搭載した、ブレゲ史上初の 10Hz トゥールビヨン。

 ムーブメントの鼓動は、43.5mmの18Kブレゲゴールドケースの中で鮮やかにその全貌を現している。文字盤側とケースバックの両方をサファイアクリスタルで仕上げたオープンな構造は、新しい脱進機とトゥールビヨンの動きを存分に鑑賞できると同時に、ブレゲのクラシックなラインナップとは一線を画す佇まいを見せる。

 オフセンターの時分表示と、トゥールビヨン上のスモールセコンドを組み合わせたレギュレータータイプの表示は、歴史的な懐中時計へのオマージュでもあるが、ここでは機構の大部分を可視化しながら高い視認性を確保する役割を果たしている。直線的でモダンなブリッジのフォルムとラバーストラップの採用は、これが伝統的なドレスウォッチということだけではなく、技術的な研究成果であることを雄弁に物語っているのだ。

▲キャリバー 7250 の裏側。世界初となる、マグネティック・コンスタントフォース脱進機搭載のトゥールビヨンを中心に構築され、細部まで入念な手作業による仕上げが施されたムーブメント。

 ブレゲはこのモデルを、世界限定75本のシリアルナンバー入りで製造する。実働機として完璧な完成度を誇る時計でありながら、〈エクスペリメンタル 1〉は長期的なコレクションの起点というよりも、少量生産のコンセプトウォッチとして位置づけられているのだ。

 その意図は、新技術を導入・洗練させ、将来の可能性を見極めることにある。これはブレゲ・マニュファクチュールにおけるここ数十年の間で最も重要な技術的転換の一つであり、ブランドが高度なムーブメント開発能力を確固たるものとする今、まさに将来のコレクションに繋ぐマスターピースなのである。

▲ブレゲ・マニュファクチュールの創業250周年の祝祭を締めくくる最終章であると同時に、未来への第一章を象徴している。

 〈エクスペリメンタル 1〉がベスト・コンセプト賞を受賞したのは、機械式時計製造における長年の難題である「摩擦の管理」、「トルクの安定化」、「歩度挙動の改善」に対し、極めて明確かつ統合的な回答を示したからである。

 それは漸進的な調整ではなく、実用化された時計の中でテストされた新しい脱進機と高周波調速システムによって成し遂げられた。それはまさにブレゲ・マニュファクチュールの研究開発の成果の賜物なのである。

Brands:Breguet

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