優れたコラボレーションとは、互いの個性を競い合うのではなく、高め合うことで生まれる。タグ・ホイヤーと藤原ヒロシによる3度目の共演は、〈カレラ〉の伝統と現代のデザイン感覚を見事に融合させた。
Revolution Awards 2025: Best Collaboration — TAG Heuer Carrera Chronograph × Fragment Limited Edition
Revolution Awards 2025:ベスト・コラボレーション賞
タグ・ホイヤー〈タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ × フラグメント リミテッドエディション〉
優れたコラボレーションとは、互いの個性を競い合うのではなく、高め合うことで生まれる。タグ・ホイヤーと藤原ヒロシによる3度目の共演は、〈カレラ〉の伝統と現代のデザイン感覚を見事に融合させた。
![]() |
by Joyceline Tully. Jan 27, 2026 |
この賞は、異なる分野が互いの強みを生かし合い、時計製造とデザイン、アート、あるいは科学を新たな形で結びつけたプロジェクトに贈られる。
今年も有力な候補が揃い、とりわけユリス・ナルダンとウルベルクによるコラボレーションは強く印象に残った。しかし最終的にRevolutionが選んだのは、タグ・ホイヤー〈タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ × フラグメント リミテッドエディション〉である。

▲タグ・ホイヤー〈タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ × フラグメント リミテッドエディション〉(©Revolution)
2025年後半に発表されたこのモデルは、タグ・ホイヤーと、フラグメントデザインの創設者であり、“ストリートカルチャーのゴッドファーザー”とも称される藤原ヒロシとの3度目のコラボレーションである。
デザイナー、ミュージシャン、そしてDJとしても活躍する藤原ヒロシは、1990年代に東京のアンダーグラウンドな音楽・ファッションシーンから頭角を現した。なかでも、カルチャーの潮流を生み出すキーパーソンとして世界的な評価を確立し、ナイキやルイ・ヴィトンをはじめ、数多くのブランドとのコラボレーションを成功へ導いてきた。タグ・ホイヤーとの協業は、その代表例である。

▲ “ストリートカルチャーのゴッドファーザー”藤原ヒロシ。
藤原ヒロシのコラボレーションは、話題性や派手な演出に頼るものではない。彼が常に大切にしてきたのは、引き算の美学である。例えば2016年に発表したルイ・ヴィトンとの初のコラボレーションでは、モノグラムをモノクロで再解釈し、フラグメントの稲妻ロゴをさりげなく織り込んだ。そのデザインは、「知る人ぞ知る」という藤原らしい美学を体現していた。
今年のタグ・ホイヤー〈タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ × フラグメント リミテッドエディション〉も、その哲学を受け継いでいる。タグ・ホイヤーとのコラボレーションは今回で3作目となるが、どの作品にも共通するのは、時計の歴史への深い敬意と、繊細なデザインアプローチだ。
時計愛好家でありコレクターでもある藤原ヒロシは、時計が持つ伝統や歴史を尊重することを何より重視している。その姿勢は、2018年の〈タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー 02 by Fragment Hiroshi Fujiwara〉でブランドのDNAと〈カレラ〉の伝統をクラシカルなデザインで表現したことにも、2020年の〈タグ・ホイヤー × フラグメント デザイン キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ〉にもはっきりと表れていた。
そして最新作〈タグ・ホイヤー カレラ クロノグラフ × フラグメント リミテッドエディション〉でも、タグ・ホイヤーの歴史への敬意と、自身ならではのデザインセンスを見事なバランスで融合させている。

▲サファイアクリスタル製ケースバックからは、フラグメントのアイコンである稲妻ロゴと、ブラックライン仕上げが施されたローターを鑑賞できる。
ブラック・オン・ブラックのダイアルは、タグ・ホイヤーとの最初のコラボレーションを思わせるデザインを受け継ぎながら、さらに装飾を削ぎ落とし、ミニマルな美しさを際立たせている。
ケースには、現行39mmのグラスボックスデザイン仕様〈カレラ〉を採用。さらに今年登場した7連ライスビーズブレスレットを組み合わせることで、クラシカルでありながら洗練された印象に仕上げられている。
細部にも藤原ヒロシらしい美学が息づく。フラグメントの稲妻ロゴは、日付ディスクの「1」と「11」にさりげなく忍ばせるだけにとどめ、主張しすぎることはない。
さらに裏返すと、ムーブメント中央にももうひとつの稲妻ロゴを配置。その下では、グラフィカルに再解釈されたタグ・ホイヤーのロゴがローターを兼ねている。いずれのロゴも控えめな存在感に徹しており、このモデルが単なるダブルネームではなく、両者の美学が高い次元で融合したコラボレーションであることを物語っている。

▲ホワイトフランジがブラックオパーリン仕上げのダイアルを引き立てる(©Revolution)
Revolutionがこのモデルを「ベスト・コラボレーション賞」に選んだ理由も、まさにそこにある。これは単に両者の名前を並べたコラボレーションではない。藤原ヒロシは、自身らしい抑制の効いたデザインを通して、〈カレラ〉という名作の魅力を改めて引き出し、その時代ならではの感性を自然に重ね合わせてみせた。両者の個性が見事に調和した、コラボレーションの理想形といえる一本なのである。
Brands:TAG Heuer
Revolution Awards 2025 受賞一覧はこちら
・
