年間約100本という少量生産を貫くNaoya Hida & Co.が、ブランド史上最大規模となる全10モデルの新作を発表。定番モデルの進化に加え、待望の初クロノグラフや31mmの新作ドレスウォッチまで、
Naoya Hida’s 2026 Releases, Including Updated Favourites and a Brand New Chronograph
Naoya Hida & Co. 2026年コレクション―「新作寸評」
年間約100本という少量生産を貫くNaoya Hida & Co.が、ブランド史上最大規模となる全10モデルの新作を発表。定番モデルの進化に加え、待望の初クロノグラフや31mmの新作ドレスウォッチまで、日本屈指のクラフトマンシップが新たなステージへ踏み出した。
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by Felix Scholz. May 4, 2026 |
ブランドの概要
2012年の創業以来(そして2019年の初コレクション発表以来)、Naoya Hida & Co.(ナオヤヒダ アンド コー)は、日本を代表する“知る人ぞ知る”時計ブランドへと成長してきた。
ブランドが手がけるのは、ヴィンテージウォッチに着想を得た少量生産の時計たち。クラシカルなデザイン、無駄を削ぎ落とした美しさ、そしてシャープな彫金によって、独自の工芸的世界観を築いている。
生産規模も少しずつ拡大しており、当初はわずか7本だったシリーズは、近年では年間およそ100本規模にまで成長した。
2026年の新作コレクションが特別なのは、単に新モデルが登場したからではない。全10モデルという幅広いラインアップそのものが大きな見どころなのである。
昨年から継続される3モデルに加え、新たに7モデルを発表。その中には既存モデルを進化させたものもあれば、完全新作、さらには意外性のあるサプライズモデルまで含まれている。
NH TYPE1E
まず、ブランドを代表する定番モデル〈TYPE1〉の最新進化版〈NH TYPE1E〉である。従来の〈TYPE1D〉から名称が変更されており、それに合わせて細かなデザイン変更も加えられた。
ケースサイズは37mmから36mmへとわずかに小型化。一方で、新設計のドーム型サファイアクリスタルを採用したことで、厚さは9.8mmから10.9mmへと増している。
こうした構造面の変更はあるものの、第5世代となる〈TYPE1〉には、このモデルを現代のカルトクラシックへ押し上げた魅力がしっかりと受け継がれている。
例えば……、
・カラトラバを思わせるクラシックなケース
・大ぶりなリューズ
・バルジュー系ベースの手巻きムーブメント
・洋銀製ダイアル
・彫り込みによるブレゲ数字
・ブルースティールのリーフ針
といったディテールである。

▲ NH TYPE1E 2026〜2027年の生産予定数:約25本。¥2,970,000
NH TYPE2C-2
Naoya Hida & Co.〈TYPE2〉は、2020年に登場したモデルである。基本的な思想は〈TYPE1〉と共通しており、古典的な時計デザインを現代的な工芸技術で再解釈した一本だ。
洋銀製ダイアルには手彫りのインデックスを採用。センターセコンド仕様としつつ、ダイアルデザインにはミッドセンチュリー的な雰囲気が与えられていた。特に、主要な位置に配されたアラビア数字が特徴となっている。
そして今年、このモデルは〈TYPE2C-2〉へと進化した。最大の特徴は、ブランド初となるポーセリンダイアルの採用である。
これはNaoya Hida & Co.にとって重要な進化と言える。これまでブランドは、洋銀に彫刻を施したダイアル表現を中心としてきたが、ここで新たにポーセリンという素材へ踏み出したからだ。
もっとも、その表現は単なる方向転換ではない。クラシカルで静かな美意識という、ブランドらしさはしっかりと保たれている。

▲ NH TYPE2C-2 2026〜2027年の生産予定数:約10本。¥3,135,000
NH TYPE3B-4
続いて登場するのは、より重厚で複雑なモデル〈NH TYPE3B-4〉である。これは2024年モデルを発展させた一本で、手彫り装飾を施したイエローゴールドケースに、ムーンフェイズ表示を組み合わせている。
まず目を引くのは、ケース側面やラグに施されたアールヌーヴォー風の彫刻だろう。非常に華やかな装飾だが、この時計で注目すべきなのはムーンフェイズの表現でもある。
クラシカルな月の描写は、Naoya Hida & Co.らしく極めて繊細な彫刻で仕上げられており、その背景にはラピスラズリによる夜空が広がる。
さらに、ゴールドテーマは細部まで徹底されている。針や、リーフ模様を内部にあしらった数字にもゴールドカラーが用いられているのである。

▲ NH TYPE3B-4 2026〜2027年の生産予定数:当然ながら極めて少なくおよそ2本。¥16,500,000
NH TYPE5B / TYPE5B-1
2024年、Naoya Hida & Co.はブランド初となる角型ケースモデル〈TYPE5B〉を発表した。そして今年、そのデザインにさらに細かな改良が加えられた。
新作では、
・ダイアルデザインの見直し
・ラグの短縮
・ケース側面の段差部分をよりワイドに変更
といったアップデートを実施。一つひとつは小さな変更だが、全体として見ると時計の印象はかなり洗練されている。
特に、大きくなった針や段差付きラグの効果は大きい。
〈TYPE5B〉は、これまで通りミッドセンチュリー調のアラビア数字を採用。一方の〈TYPE5B-1〉では、よりクラシカルなブレゲ風数字へ変更されている。
さらに〈TYPE5B-1〉では、風防にアクリルを採用。ヴィンテージウォッチらしい柔らかな表情を強めているのである。

▲ NH TYPE5B

▲ NH TYPE5B-1 2026〜2027年の生産予定数:いずれも約10本。各¥4,070,000
NH TYPE7A
ここまで少し引っ張ってしまった感もあるが、今回最大の注目作はやはり〈NH TYPE7A〉だろう。ブランド初となるクロノグラフである。
デザインには、ミッドセンチュリー期のパテック フィリップの影響が色濃く表れている。カールしたラグからスポーティなポンププッシャーに至るまで、その雰囲気は明確だ。
ケースは36mm径のコンパクトなスティール製。スポーティでありながら、同時に非常にエレガントなクロノグラフに仕上げられている。ダイヤルにはおなじみの洋銀製を採用する。
そして何より興味深いのがムーブメントだ。Naoya Hida & Co.は、伝説的手巻きクロノグラフムーブメントとして知られるバルジュー23のデッドストックを少数確保。このムーブメントは、パテック フィリップやヴァシュロン・コンスタンタンをはじめとする名門ブランドでも使われた、歴史的名機のひとつである。
つまり〈TYPE7A〉は、あらゆる意味で“クロノグラフ黄金時代”への愛情に満ちたオマージュと言えるのだ。

▲ NH TYPE7A 2026〜2027年の生産予定数:約10本。¥5,830,000
NH TYPE8A
最後に紹介される完全新作が〈NH TYPE8A〉である。このモデルは、パテック フィリップRef.96やブレゲRef.3210のようなクラシックドレスウォッチに着想を得た一本で、ケース径はわずか31mm。現代ではかなり小ぶりなサイズ感だ。
ムーブメントには新開発のCal.2326SSを搭載。ダイアルは6時位置にスモールセコンドを備えた伝統的レイアウトを採用している。
さらに、
・シースルーバック
・ドーム型サファイアクリスタル
など、クラシカルな雰囲気と現代的仕上げを組み合わせている点も特徴だ。非常に端正で、静かな美しさを持つドレスウォッチと言えるだろう。

▲ NH TYPE8A 2026〜2027年の生産予定数:約20本。¥3,520,000
Brands:Naoya Hida & Co
