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過去と未来が交差する——ブルガリ×ヴィアネイ・ハルター

Editorial

ブルガリと独立時計師ヴィアネイ・ハルターが、3年にわたる共同開発の末に生み出した1本だ。ハルターを象徴するレトロフューチャーな世界観と、ブルガリの現代的な〈オクト フィニッシモ〉を融合し、4つのサブダイヤルでローカルタイム、ホームタイム、日付、昼夜表示を表示する。さらにベースキャリバーBVL 138にGMTなどの機能を加えた新キャリバーBVF 200を開発。デザインだけにとどまらず、機構にまで踏み込んだ特別なコラボレーションである。。

Editorial

Past Future Perfect with Bvlgari Octo Finissimo Dual Time x Vianney Halter

過去と未来が交差する——ブルガリ×ヴィアネイ・ハルター

オクト フィニッシモ ヴィアネイ・ハルター 限定モデル

ブルガリと独立時計師ヴィアネイ・ハルターが、3年にわたる共同開発の末に生み出した1本だ。ハルターを象徴するレトロフューチャーな世界観と、ブルガリの現代的な〈オクト フィニッシモ〉を融合し、4つのサブダイヤルでローカルタイム、ホームタイム、日付、昼夜表示を表示する。さらにベースキャリバーBVL 138にGMTなどの機能を加えた新キャリバーBVF 200を開発。デザインだけにとどまらず、機構にまで踏み込んだ特別なコラボレーションである。

by Joyceline Tully . Sep 2, 2026

まったく違うふたつの個性がひとつに

 このコラボレーションには3年もの歳月がかかったが、ブルガリのプロダクト クリエイション エグゼクティブ ディレクター、ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニに言わせれば、それだけの時間を費やす価値は十分にあったという。

 ブルガリが〈オクト フィニッシモ〉の名のもとに発表した最新の限定コラボレーションは、数々の世界記録を打ち立ててきたアイコンと、独立時計師ヴィアネイ・ハルターならではのレトロフューチャリスティックな美学を融合させたものだ。まったく異なるふたつの個性が出会うことで生まれたその仕上がりは、想像をはるかに超えるものとなった。

ブルガリのプロダクト クリエイション エグゼクティブ ディレクター、ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ(左)と独立時計師ヴィアネイ・ハルター(右)。

 まず目を奪われるのは、その圧倒的なルックスだ。〈オクト フィニッシモ  ヴィアネイ・ハルター 限定モデル〉のダイヤルには、4つのサブダイヤルが配置されている。リベット留めされた舷窓やアシンメトリーな表示といった、1998年の〈アンティコア〉を思わせる、ハルターならではのスチームパンク的なデザインである。

 舷窓のような4つの表示のうち2つはローカルタイムとホームタイムを示し、もうひとつは昼夜表示、残るひとつは日付を表示する。針はそれぞれ異なる形状に仕立てられ、立体的に造形されるとともに、ハルターのシグネチャーであるフレームブルー仕上げが施されている。インクブラックの数字や目盛りとのコントラストも鮮烈だ。そして控えめに配された赤い矢印が、秒を刻む。

ブルガリ〈オクト フィニッシモ  ヴィアネイ・ハルター 限定モデル〉

 ハルターらしい意匠は随所に見られる。それでいて、この時計は紛れもなく〈オクト フィニッシモ〉だ。大胆で彫刻的なラインと鋭いエッジはそのままに、ひとつひとつのディテールがふたつの世界をまたぐように巧みにバランスされている。

 ボナマッサ・スティリアーニは語る。

「最初から具体的な案があったわけではありません。アイデアはただひとつ。どうすれば一緒に時計をつくれるか、その方法を見つけることでした」

 デザインを上から一方的に規定するようなブリーフを設けることは、彼の言葉を借りれば「自殺行為」だという。なぜなら、こうしたコラボレーションで何より重要なのは、「共通の道筋を見つけること」だからだ。

スチームパンク的なハルターの意匠と〈オクト フィニッシモ〉のデザインが融合している。

 昨年のプロジェクト、ブルガリ ✕ MB&F〈セルペンティ〉では、両者の役割は明確に分かれていた。ブルガリがデザインを手がけ、MB&Fが自社製の手巻きムーブメントを用いて製作を担ったのである。それから1年。今回は、その境界線をあえて曖昧にした。

 ボナマッサ・スティリアーニはいう。

「私たちはこれまでとは違う方法で取り組みたいと考えました。〈オクト フィニッシモ〉というアイデアを軸に、時計師と一緒にムーブメントそのものをつくり上げたかったのです」

 こうして、従来のコラボレーションの枠組みはいったん取り払われた。

〈オクト フィニッシモ〉とスチームパンクの邂逅

 当初から、ボナマッサ・スティリアーニが強く意識していたのがハルターの〈アンティコア〉だった。

「私は〈アンティコア〉の大ファンでした。デザインという点で、本当に素晴らしい時計だと思っています。ただ、それは過去に生まれたものです。だから、私たちはそこから何か違うものをつくることができると考えました」

左:ヴィアネイ・ハルター〈アンティコア〉(©Revolution) 右:ブルガリ〈オクト フィニッシモ オートマティック〉

 もちろん、単純にふたつのまったく異なる美学を持ち寄り、混ぜ合わせればいいという話ではなかった。ハルターが指摘するように、〈オクト〉は非常に未来的なクリエイションである一方、〈アンティコア〉はスチームパンクをベースにしながら、特定の時代に属さない独自の存在感を持っている。

 議論を重ねるうちに、ひとつのアイデアが徐々に輪郭を現していった。ボナマッサ・スティリアーニはそれを、「純粋な幾何学的フォルムを持つ〈オクト〉に、サブダイヤルで意外性のあるアプローチを加えること」と表現する。

コラボレーションには3年の歳月が費やされ、ハルターは時計のあらゆる要素についてブルガリのチームと直接協働した。

 ボナマッサ・スティリアーニは振り返る。

「ケースと仕上げという点では、これまで手がけてきた〈オクト フィニッシモ〉のなかでも、最も難しい時計でした。ケースの外装については、私たちにとって新しい挑戦でした。そもそも〈オクト フィニッシモ〉は、これほど複雑な構成を前提として設計されていません。ダイヤルの上に3つのベゼルを重ね、そこにリベットを配し、それらを手作業で仕上げる。さらに多数のガラスやガスケットを組み込み、そのうえ〈オクト〉特有のケース形状を維持しなければならない。そこが最大の難関でした」

 ヴィアネイ・ハルターもこう続ける。

「〈オクト〉という制約されたプラットフォームのなかで、アイデアを成立させるために頭を悩ませました。複雑なものをつくるのは、いつだって挑戦です。しかし私の場合、むしろシンプルな時計をつくるほうが難しいんです。ブルガリの人たちも、今では『ヴィアネイは簡単な奴じゃない』と思い知ったでしょう(笑)。でも、不可能なことはありません。必要なのは、時間と努力だけなのです」

ダイヤルを狙いどおりに仕上げることは、この時計における最大の難関のひとつだった。

 ハルターはブルガリのチームと直接協働し、開発の過程で次々に現れた課題をひとつずつ解決していった。そのなかでも大きな難題のひとつが、3つのダイヤルの色調を揃えることだった。

 日付ディスクはムーブメントの一部であるためル・サンティエで製作された。一方、それ以外のダイヤルは、ダイヤル、ケース、ブレスレットの製造を担うブルガリのセニェレジエのマニュファクチュールで製作された。

 つまり、異なる素材をベースに、異なる技法と工具を用いてつくられた部品同士で、4つすべてのオパラインホワイトを同じ色調に揃えなければならなかったのである。それは決して容易な作業ではなかった。

 ケースのほかの部分でも、難題は続いた。ベゼルに配されたリベットはあまりにも小さく、一般的な工具ではねじ込むことができなかったため、ブルガリは専用工具を開発し、通常とは異なる方法で組み付ける必要があった。

 一体型のリューズガードも再設計された。ケース径を約40mmに抑えるため、通常ならケース内に収められるプッシュボタンをボタンカバーの内側へ組み込んだのである。極めて限られたスペースのなかで、機構をきちんと収め、なおかつ確実に作動させることが大きな課題であった。

素材はチタンとローズゴールドの2モデルをラインナップする。

 ハルターはいう。

「複雑な仕事でした。かなり多くの作業を重ねましたが、最終的には、目指すものと、それを実現するために必要な仕事とのあいだで、私たちなりの完璧なバランスを見つけることができました。それは100%〈オクト フィニッシモ〉であり、同時に100%ヴィアネイ・ハルターの時計でもあるものができたのです」

 ブルガリが10年以上にわたって〈オクト フィニッシモ〉で追求してきた“薄さ”は考慮すべき要素ではあっても、最優先事項ではなかった。

 ボナマッサ・スティリアーニは語る。

「この時計では極薄の〈オクト フィニッシモ〉をつくることが目的ではありませんでした。〈オクト フィニッシモ〉でのコラボレーションでは、常に既成概念の外にあるものを生み出したいと考えています。今回は、多くの共通点を持ちながらも、なお大きく異なるふたつの世界を融合させることがテーマでした」

ムーブメントも共同開発

 これまでの限定コラボレーションが主にデザイン面での協業だったのに対し、今回はケースの内側にあるメカニズムにまで踏み込んでいる。これは〈オクト フィニッシモ〉ファミリーとして初の試みだ。

 ハルターはブルガリのチームと直接協働し、ベースキャリバーBVL 138にGMT、日付、昼夜表示の各機能を組み込むためのモジュール開発にも携わった。

キャリバーBVF 200は、BVL 138をベースに開発されている。

 ブルガリによれば、BVL 138はもともと、モジュールの追加を想定して必要以上のトルクを確保した設計となっている。そのため、今回の追加モジュールを組み込むこと自体に大きな問題はなかったという。エネルギー消費も適切に管理されているため、パワーリザーブへの影響もない。

 こうして誕生したキャリバーBVF 200の厚さは5.49mm。ベースとなったBVL 138の2.23mmからは厚みを増している。それでもケース径40.5mm、ケース厚9.7mmに収めることで、〈オクト フィニッシモ〉ならではの薄くシャープなシルエットはしっかりと維持されている。

〈オクト フィニッシモ〉らしいスリムなプロポーションは、そのまま受け継がれている。

 今後、〈オクト フィニッシモ〉を舞台に、さらに複雑な機構を取り入れたコラボレーションが続く可能性はあるのだろうか。

 ボナマッサ・スティリアーニは語る。

「そうしたいとは思っていますが、簡単ではありません。〈オクト フィニッシモ〉のムーブメントは非常に特殊で、コンプリケーションによってはトルクが十分でない場合もあります。ヴィアネイは、〈オクト〉をこれまでとは違うかたちで語り、同時に彼自身の世界も表現する方法を見つけました。今回は、〈オクト〉というプラットフォームがまさに適していたのです」

 この特別なコラボレーションは2つの仕様で展開される。ひとつはサンドブラスト仕上げのチタン製ケースに、同素材の一体型ブレスレットを組み合わせたモデル。もうひとつは、サンドブラストと縦方向のヘアライン仕上げを施したローズゴールド製ケースに、ブラウンのアリゲーターストラップを合わせたモデルである。

 〈オクト フィニッシモ〉の革新性と、ヴィアネイ・ハルターの独創的な世界観。そのふたつが真正面からぶつかり合ったからこそ、この時計は単なるコラボレーションを超えた、まったく新しい一本として完成したのである。

Tech Specs

ブルガリ〈オクト フィニッシモ  ヴィアネイ・ハルター 限定モデル〉 ムーブメント:自動巻きキャリバーBVF 200、パワーリザーブ約60時間 機能:時、分、スモールセコンド、日付、GMT、昼夜表示 ケース:40.5mm × 9.7mm、チタンまたは18Kローズゴールド、30m防水 ダイヤル:オパライン仕上げを施したロジウムプレート製サブダイヤル×4 ストラップ:チタン製一体型ブレスレット+フォールディングクラスプ、またはブラウンアリゲーターストラップ+ローズゴールド製ピンバックル 限定数:チタン30本、ローズゴールド10本 価格:要問合せ
Brands:Bvlgari

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Brand:Bvlgari, Rolex

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