1996年、ショパールは高級自社製ムーブメント〈L.U.C〉を発表し、マニュファクチュールに返り咲いた。今年は、その30周年にあたる。開発を主導した現共同社長のカー
L.U.C at 30: Karl-Friedrich Scheufele on Chopard’s Pursuit of Watchmaking Excellence
L.U.C 誕生30周年——ショイフレ氏が語る、ショパールの哲学
1996年、ショパールは高級自社製ムーブメント〈L.U.C〉を発表し、マニュファクチュールに返り咲いた。今年は、その30周年にあたる。開発を主導した現共同社長のカール‐フリードリッヒ・ショイフレ氏に、アニバーサリーイヤーへの想いを訊いた。
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by Norio Takagi. July 16, 2026 |

▲ カール‐フリードリッヒ・ショイフレ ショパール共同社長。1958年、ドイツ生まれ。15歳でスイスに移住。HECローザンヌ校卒業後、ショパールの経営に参画。〈ミッレ ミリア コレクション〉(1988年)や自社製ムーブメント〈L.U.C〉(1996年)の開発を主導した。
・「L.U.Cの開発に着手した1990年代初頭は、機械式時計がようやく再評価されはじめた頃でした。上質な仕上げや装飾に対する市場の要求や理解は今よりもはるかに少なく、高級ムーブメントを自社開発することは、かなりチャレンジングなことでした」
と、カール‐フリードリッヒ・ショイフレ氏は30数年前を振り返った。L.U.C搭載の初号機がリリースされた1997年、高性能と手仕上げによる美観を併せ持つ真の高級ムーブメントは、市場では稀有な存在。それでも敢えて開発に挑んだのは、「ブランドとしての独自性を高めるためであり、将来的にショパールの重要な財産なると信じていた」から。

▲ 自社開発ムーブメントL.U.C開発当時のことを振り返り、感慨に浸るショイフレ氏。
クォーツショックの間に多くの伝統的手仕事が失われていたため、開発は難航した。それだけに、
「最初に出来上がったムーブメントが、カチカチと時を刻み始めた瞬間の感動は、いまでも鮮明に覚えています」
その後L.U.Cは、2000年に9日間という超ロングパワーリザーブを時計界で先駆けるなど、ラインアップを拡充。20周年を迎えた2016年にはミニッツリピーターを実現し、主要なコンプリケーションが取り揃った。しかもゴングをサファイアクリスタルとモノブロック構造とし、凛とした美しい音色と朗々とした響きを両立させるという世界初の離れ業で。

▲〈L.U.C ストライク ワン チタン〉毎正時にゴングを打ち鳴らす、パッシングチャイム機構の新装。ハニカムパターンのギョーシェダイヤルの一部を開口し、ハンマーの動きを覗かせた。時打ちのON/OFFは、リューズ同軸のボタンで切り替えられる。自動巻き、チタンケース、40mm。¥9,438,000
今年の新作〈L.U.C ストライク ワン チタン〉も、このモノブロックサファイアゴングが備わる。ダイヤルには、ショパールオリジナルのハニカムモチーフのハンドギョーシェを採用。これは、メゾンの黎明期に用いていたミツバチとその巣のシンボルにちなみ、創作された。ダイヤル製作を手掛けたのは、ル・ロックルを拠点とするメタレム(Metalem)。ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2026(以下、W&W)の会場では、職人が100年以上前に製造された手動のストレートエンジンを操るギョーシェ彫りが実演され、同社がショパール傘下であることが正式にアナウンスされた。
「メタレムは、20年以上に渡ってショパールの重要なパートナーでした。そしてダイヤル製造においても独立性を確保したいと願い、同社をグループの傘下に収めました」
メタレムは、名だたるメゾンが信頼を置いてきたダイヤル製造の名手。かのフィリップ・デュフォー氏も、顧客の一人だ。
「ギョーシェ以外にも、さまざまな装飾技術をメタレムは有しています。そして現在も、多くの他社のダイヤルを手掛けていますが、どのブランドのどんなダイヤルを作っているのかは、我々は関知していません」
ショパールにおいてもギョーシェだけでなく、全モデルの約80%のダイヤルがメタレム製だという。
「メタレムには、高級ダイヤルの伝統を守って欲しい。だから他社製品にかかわることに、口出ししたくない。時計の顔であるダイヤルには、皆さんが想像する以上に多くの職人技が詰まっています。例えばL.U.Cのクロノグラフのダイヤルを製造するには、70以上の工程が必要です。だからこそ、優れたパートナーであるメタレムとより強固な関係性を築きたかったのです」

▲〈ザ・ビーハイブ テーブル クロック〉ショイフレ家の3世代を象徴する3匹のミツバチは、ゴールドプレート処理を施したスターリングシルバー製。搭載された機械式ムーブメントは、約8日間駆動する。限定30台。手巻き、ステンレススティール製、H25.8×Φ16.5mm。¥10,296,000(※他にチャイミング機構が備わるホウケイ酸ガラス製も)
またメタレムとは異なる優れた技術を持つメゾンとの協業による、30周年記念モデルもW&Wで披露された。マニュファクチュールの象徴であるミツバチの巣をモチーフとした〈ザ・ビーハイブ テーブル クロック〉である。製作を手掛けたのは、1839年創業の老舗クロックメゾン、レペ 1839。巣にとまる3匹のミツバチのうち、下の2匹が、それぞれ時・分を示す仕組みだ。
「ミツバチは、勤勉さ、団結力、持続性の象徴です。デザインと企画はショパールが、開発・製造をレペ 1839が担当しました」
写真にあるのは、先ごろ追加された巣をステンレススティールとした新バージョン。W&W発表モデルは、巣が透明なホウケイ酸ガラス(極めて高い透明度、耐熱性、硬度を誇る)だった。
「内部のムーブメントが丸見えになるので、各パーツは、L.U.Cと同等の仕上げを要求しました」
ショイフレ氏が求める手仕上げの美しさに到達するまで、実に3年を要したとか。
「レペ 1839とってショパールは、かなり厄介なクライアントだったと思います(笑)。彼らは、我々の期待に十分こたえてくれました。出来栄えには、大満足。今後もレペ 1839と協業でクロック製作を続けていく予定です」
4年後には、創業170周年が控える。その記念モデルにどんなウォッチとクロックが登場するのか? 期待は高まるばかりだ。
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〈Chopard—注目の新作〉

▲〈L.U.C タイム トラベラー ワン〉30周年記念モデルの1つ。2016年に登場したワールドタイマーを、チタンの表面をセラマイズド(セラミック化)した硬くて軽いケースに収めた。4時位置のリューズで都市名リングを操作する仕組み。限定250本。自動巻き、チタンケース、42mm。¥2,871,000

▲〈L.U.C XPS プルシアンブルー〉セクターダイヤルの新色は、17世紀にベルリンで発見された染料をモチーフとした。ケースは、原料の約80%をリサイクル由来とした独自のSS製。COCS公認クロノメーターを取得の高精度を誇る。自動巻き、ルーセントスティール™ケース、40mm。¥1,925,000

▲〈L.U.C 1860〉1997年に誕生したL.U.C初号機の姿を、色味が深いアリューズブルーのダイヤルと独自のSS製ケースで再解釈。ダイヤルのロゴから広がるギョーシェパターンは、メタレムによって施された。L.U.C初号機のギョーシェパターンはセンターから放射状に広がるものだった。(自動巻き、ルーセントスティール™ケース、36.5mm。¥4,213,000

▲〈アルパイン イーグル 41 XP CSゴールド〉センターセコンドCal.L.U.C 96.42-L搭載の第2弾。RG製のブレスレットは、テーパードを強め、より良好な装着感をかなえた。ダイヤルは、木の断面にも似たブラウンのグラデーションが美しい。自動巻き、エシカルローズゴールドケース、41mm。¥12,804,000
Brands: Chopard
photograpy Tatsuya Ozawa.
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