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フランス海軍が選び続けたチューダー、その信頼の系譜を辿る

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チューダーが積極的に展開しているフランス海軍(マリーン ナシオナル)とのパートナーシップに、人気のサブコレクションへさらなる一品が加わった。〈ペラゴス FXD GMT “ズールータイム”〉である。

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How Tudor Became The Issued Watch Of The French Navy

フランス海軍が選び続けたチューダー、その信頼の系譜を辿る

1956年に始まったチューダーとフランス海軍(マリーン ナシオナル)の関係は、ブランドを代表する数々の名作を生み出してきた。軍用時計として培われた実用性と、その歴史をたどる。

by Rob Nudds . Nov 27, 2024

フランス海軍との蜜月

 チューダーが積極的に展開しているフランス海軍(マリーン ナシオナル)とのパートナーシップに、人気のサブコレクションへさらなる一品が加わった。〈ペラゴス FXD GMT “ズールータイム”〉である。同ブランドとフランス海軍との長い関係性が、ここにまた一つ更新された。

 1956年から1980年代までの間、チューダーはフランス海軍に腕時計を供給していた。その初期の協業が終わってから実に約40年の時を経て、2021年に待望の〈ペラゴス FXD “マリーン ナシオナル”〉が発表されることになる。

 チューダーとフランス海軍の密接な関係は、今なお続いている。2009年のブランド復興時、ファンの間で最も再登場を望まれたのは、往年のクラシックモデル――特にフランス海軍に採用された時計であった。

1956年:Ref. 7922 & 7923

 すべては1956年、この2つのリファレンス――7922と7923(いずれも37mm径)から始まった。チューダーは、このオイスター プリンス サブマリーナー 2モデルを、トゥーロン海軍基地に拠点を置く潜水調査研究グループ(G.E.R.S.)に試験用として送付した。

 100m防水を備えたこれらの堅牢かつ信頼性の高い時計は、G.E.R.S.の指揮官を大いに満足させ、フランス海軍が正式に採用した最初のモデルとなった。

左:チューダー オイスター プリンス サブマリーナー Ref. 7922(1954年) 右:チューダー オイスター サブマリーナー Ref. 7923(1955年)(Image:Tudor)

 7922は1954年に、その翌年には7923が開発された。見た目は非常に似ているものの、マリーン ナシオナル最初期の2つのリファレンスには決定的な違いが2点あった。

 ひとつは、7922は自動巻き、7923は手巻き(ETA 1182)であること。そのため 7923 のほうがケースが薄く仕上がっている。

 この手巻きモデルはチューダーのサブマリーナー系においてきわめて珍しい存在で、ブランド史上唯一の“非・自動巻き”サブマリーナーでもある。

 また両モデルとも 6mm径のスモールクラウンを備えているが、これを採用したのはこの2本が最後となった。1958年のRef.7924の登場とともに、クラウンは8mmへと大型化されることになる。

1958年:Ref. 7924

 7924 は、マリーン ナシオナルに選ばれた7922と7923の後継機として登場した。その結果、“ビッグクラウン”の愛称で知られるようになり、200m防水を実現した点でも際立った存在となった。

チューダー オイスター プリンス サブマリーナー “ビッグクラウン” Ref. 7924(1958年)(Image:Tudor)

 しかし、7924が標準仕様として初めて大型リューズを採用したモデルであったにもかかわらず、実はその前段階として、フランス海軍向けに開発された7922の初期試作機の一部にもビッグクラウンが存在していた。

 興味深いことに(そして珍品好きのコレクターには間違いなく刺さる部分だが)、これら初期のビッグクラウン仕様7922の何本かにはロレックス Ref.6328のケースバックが取り付けられていた。

 ケースバック内側の“6328”の数字は打ち消され、その下により大きく細いフォントで“7922”が彫り直されているのだ。

 また、チューダー側は、7922が7923より先に登場したと説明している(リファレンス番号の順という点では理にかなう)

 しかし シリアル番号の実態を見ると、別のタイムラインが浮かび上がってくる。

 7923には217xxx〜218xxx台のシリアルが確認されている一方、7922のシリアルは 244xxx〜288xxxの範囲に分布している。これは後に作られたはずの7922のほうが、数字上は大きいという奇妙な状況だ。

 さらに、もし公式の時系列が正しいとすれば、自動巻きの7922より後に、手巻きの7923 が作られたことになる。しかし技術的には手巻きへの逆行で、これもまた不自然に見える。

 ここで発想を転換し、「発売順が逆だった」と仮定してみると、いろいろと辻褄が合う。

 もし7923が実はチューダー初のダイバーズだったとすれば、手巻き、37mm、100m防水、6mm クラウンのみ、というスペックは極めて自然だ。

 その後、

→ 6mm クラウンの自動巻き7922

→ 8mm ビッグクラウンの7922(ロレックスケースバック仕様)

→ そして1958年に、ビッグクラウンを正式採用した7924(本家ビッグクラウン)

 という流れは非常にスムーズにつながる。

1959–1960年:Ref. 7928

 その1年後、チューダーは Ref.7928 を発表した。7924で問題となった突き出したリューズを守るため、クラウンガード(リューズガード)を初めて導入し、スリムさよりも堅牢性を優先したモデルだった。

 この7928には複数のバリエーションが続き、マリーン ナシオナルのダイバーたちのお気に入りとして約10年間採用され続けた。その地位が終わりを迎えるのは、後継となるRef.7016が登場する時である。

左:チューダー オイスター プリンス サブマリーナー “スクエアクラウンガード” Ref. 7928(1959年) 右:チューダー オイスター プリンス サブマリーナー “ポインテッドクラウンガード” Ref. 7928(1960年)(Image:Tudor)

1969年:Ref. 7016

 7016では、今日“スノーフレーク”の名で知られる有名なダイヤルデザインが誕生した。この呼び名は、独特な形状の時針が雪の結晶を思わせることに由来している。

 大ぶりで判読性に優れた時針に加え、夜光インデックスも丸型からスクエア型へ変更された。これはフランス海軍が水中での視認性を求めたからで、単なるスタイルではなかった。

スクエア型のインデックスは、同じ直径の丸型より多くの夜光塗料を載せられる利点がある。

 33mmのスクエアケースは対角線は約46mmとなるため、同径のラウンドケースより視覚的に大きく見えるのだ。この設計思想こそが、スノーフレーク・ダイヤルが実用性に優れた理由である。

1969年のRef.7016は7928の後継であり、チューダー サブマリーナーとして初めて自動巻きのETAムーブメントを採用したモデルである。

 デビューから5年後、Ref.7016はついに“TUDOR M.N.”(Marine Nationale =フランス海軍)の刻印が入れられた初のモデルとなった。そのため、この最初期のダブルネーム個体は、現在ではコレクターの間で極めて高い人気を誇っている。

1976年:Ref. 9401

 翌年の1975年に登場したRef.9401は、青いダイヤルとベゼルから、のちに“チューダーブルー”の愛称で親しまれるモデルとなった。このモデルにも “TUDOR M.N.”の刻印が入り、すでにおなじみとなっていたスノーフレーク・ダイヤルに加えて、三角形インデックスを採用したバリエーションも支給された。

 9401の現役期間はじつに長く、1970年代後半から1980年代にかけてフランス海軍へ継続的に納入され、使用は世紀の変わり目まで続いた。2010年頃には退役となったものの、現在でも多くの海軍予備役や元隊員たちに愛用されている。

Ref. 9401/0 は、1976年に登場したノンデイト仕様のサブマリーナーである(Image: Tudor Collector)

2024年:チューダー ペラゴス FXD GMT “ズールータイム”

 2024年、ペラゴス・ファミリーに〈ペラゴス FXD GMT “ズールータイム”〉(Ref. M2542G247NU-0002)が新たに加わった。ひと目見ると、この端正なモデルのカラーリングは、かつて話題となったペラゴス LHDを思わせる。

 クリーミーな夜光インデックス、文字色との色合わせ、赤の差し色、そして背景色まで調和させたルーレット式デイトホイールなど、LHD特有の美しい色使いを彷彿とさせるのだ。

 色彩設計の巧みさこそ、このモデル最大の魅力である。マリーン ナシオナル由来の伝統どおり、金属ブレスレットではなくファブリックストラップを合わせているが、今回採用された深いミリタリーグリーンは、MN刺繍のキーパーとともに、時計本体のカラーリングとよく調和する。

 赤と緑という補色関係が生み出すコントラストは、青とオレンジのそれと同様に、人間の目に最も心地よいバランスをもたらす。黒とクリームのニュートラルなトーンを挟むことで自然だが、全体としては軍用機器らしい凛とした男らしさが漂う。

 オリーブドラブの軍用品のイメージ、ブラックケースが放つステルス性、そして赤が象徴するアクションと決断。これらが作用し、ペラゴス FXD GMT “ズールータイム”の存在感を際立たせている。

 このモデルの堅牢性は、固定式(FXD)ラグと高強度ウェビングストラップの組み合わせによっていっそう高められている。視認性は最重要事項として設計され、フランス海軍の水中航法を専門とする特殊部隊との共同開発によって磨き上げられた。

 水中でのナビゲーションは、秒単位で方向転換のタイミングを管理することが不可欠であり、幅広の蓄光セラミック製24時間表示ベゼルは、分針と組み合わせることで暗闇の中でも正確な進路を示す。

 さらに、世界各地で任務にあたる隊員に欠かせないGMT機能を搭載。複数のタイムゾーンにまたがって活動するオペレーターにとっての実用性は言うまでもないが、これは民間人にとっても有用なコンプリケーションである。

 頻繁に海外を行き来するビジネスマンにとっても、リモートワーカーにとっても、このGMT機能ほど頼もしい相棒はない。

 チューダーがこの機能を“ZULU(ズールー)タイム”と呼ぶのは、軍用語に馴染みのない人にとっては少々わかりにくいかもしれない。ズールータイム(Z)は協定世界時(UTC)やグリニッジ標準時(GMT)と同義であり、軍がゼロ子午線を指す際に使うコードネームである。

 パワートレインには自社製自動巻きキャリバーMT5652-Uを搭載し、COSCとMETASの両認定を取得。パワーリザーブは65時間だ。ケースサイズは42mm径、厚さ12.7mm、ラグ幅22mm。素材はサテン仕上げのチタンで、200mの防水性能を備える。

 さらに、チューダーは自社の品質に絶対の自信を示すかのように、登録不要・点検不要の5年保証(譲渡可)を提供している。

 このモデルは現在、オンラインおよび世界中のチューダー正規販売店で購入可能だ。ペラゴス・コレクション全体の中では中間の価格帯であるが、主要ブランドの中で考えると、最強クラスの“バリュー”を誇る一本といえる。

Tech Specs

チューダー 〈ペラゴス FXD “ズールータイム”〉 ムーブメント: マニュファクチュール キャリバー MT5652-U(COSC認定)、パワーリザーブ約65時間 機能:時・分、センターセコンド、セカンドタイムゾーン(GMT) ケース:42mm×12.7mm、グレード2チタニウム、200m防水 ダイヤル: ブラック ストラップ:グリーン・ファブリックストラップ ¥755,700 

Brands:Tudor

Brand:Tudor
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